新しい世界


昨日は、夏季短期アルバイトの最終日だった。

前日から、私は何か変な感じがしていて。

それは、新しい世界との対面、においての反応だったのではないかと思う。


一昨日

私の勤務が昨日で最後だと知った同僚が、涙を浮かべて「さみしいです」と言ってくれた。

そして暑い中、昼休みにコンビニまで行ってお菓子を買ってきてくれて、帰りにプレゼントしてくれた。

ある人は、「私、くじらさんの専属ですから」と、仕事中に私の体調を何かと気遣ってくれた。

「くじらさん、元気なーい。大丈夫ですかあ?」と。(確かに疲れからか省エネモードだった)

私を見てくれている人がいる、と思って、一瞬止まった。


そして、昨日は。


「明日で最後だねえ」と、おととい何度も言ってくれた人が、昨日また何度も「今日で最後だねえ」と言ってくれた。

「今日はくじらさんと一緒に働くの最後ですから、かみしめて働きます」と言ってくれた人、私のために贈りものを用意してくれていた。

私はその包みをとても大切に想った。

帰宅後、袋を開けたら、ハンカチとメッセージが入っていた。

ハンカチのスナフキンを見て、とてもうれしかった。ムーミンの中でも大好きな人だから。

ちょっと頼りないけど優しいボスは、私が退職のことで気になっていたことに、最後の最後まで汗かきながら必死で対応してくれた。

たくさんの人が、声を掛けてくれて、またいつでも遊びに来てねと言ってくれた。


私の中で何が起こっているのか?

呆然と、無音の中で、見たことのない景色を、見つめている感じ。

微細でも、感覚は数年前とは違うのは明らかで。

大げさかもしれないけど、新しい扉から、新しい世界が見えた気がした。

知らなかった領域、遠くに見えて、すぐとなりにあった世界。


「ひとりでやること」

「思い通りにすること」

「物事がうまくいくこと」

「失敗しないこと」


今まで私が、意識的にも無意識的にも重要視していたこと。

(もちろん今でも根強い)

人と何かをすることが苦手で

傷つきたくなくて、トラブルとか、めんどくさいことが怖くて

鎧をつけて、壁をつくり、ひとりになって、正当化して

当たり障りなく、無難に生きることを善しとしていた気がする。

(実はこのディフェンスな生き方はまったく無難でないのだが)


自分ひとりの、小さな世界で

失敗しないということが生きる目的。

何かにつけて、失敗か成功か、間違いか正解か、勝ちか負けか、自分が自分をおいつめている。

四六時中、自分が自分に評価を下し続ける人生。

自分ひとりだけの、小さな、小さな世界で。


人生はこんなもんじゃない。


起きているのは

評価とは無縁の

ありのままの、「生」の連続。

シンプルに見えて、それはとても豊潤なもの。

ただただ、私たちは今を生きていて

そしてそこにはいつも人がいる。

人はひとりで生きてない。

いつも誰かが、一緒に今を生きている。

自分と同じように、血の通った、この世界にたったひとりの、誰か。

たくさんの人が、一緒に今を生きている。


まちがわないことより

完璧にすることより

うまくいくことより


人の心を取り戻すこと

人の優しさに触れること

目を見て「その人」を感じること

「その人」に触れること

愛を感じること

この世界の中で、人とともに、「生きる」をすること


日常の、本当にすぐとなりに、尊いことがあったんだな。


人がいることが

ありがたいことだなあと思う

そんな瞬間がときおり訪れる。


大きな大人になって知る、生まれて初めて見る景色

二次元から三次元へ

平面の世界から立体の世界へ


せっかくだから、じっくり、ゆっくり、味わおう。

初めての世界の、この奥行きを、高さを、色を、においを、大切に感じたい。

一歩一歩の成長を、自分が自分のために祝おう。


改めて思うのは、この成長の歩みは、そのままシュタイナー教育であるということ。

そして、自分を癒すその過程を、大人の自己教育を、目に見える世界、目に見えない世界、あらゆる面から現実的に支え、根本的な変容をもたらしてくれるのが、キャラクトロジー心理学だということ。

現在の反応の場所も、こどもの頃の傷の場所も、痛みの場所も、同じ場所でわかってくれる人がいるところ。

その傷の先の、癒しと超越の場所を見据えて。


ここにたどり着いていること

私は本当に幸運だと思う。


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タイトルを「新しい世界」にして、そういえばと

映画『アラジン』のA whole new worldを思い出した。


まさに、これ。

アラジンは外にはいない。

誰もが、自分自身のアラジンになれる。

必ずなれる。


新しい世界へ

もう元の世界には戻れない

目をとじないで

大丈夫

呼吸をして

"私"を信じて












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