聖地巡礼〜今幸せ、が連れて行く場所〜8.津軽三味線 と郷土料理の店 杏 (あんず、青森県弘前市)
2020年7月。全国の緊急事態宣言も解除され、当たり前だった暮らしに喜びと感謝を沢山感じた夏。
「津軽三味線の生演奏なんか聴きながら、郷土料理とお酒、いただけたりしたらサイコー」
なんて言いながら予約もせず繰り出した夕暮れの弘前。
目に付いた居酒屋に入るも次々と断られる…。
今晩入れるお店はどこにも無いの?
途方にくれる私達の目の前に現れたのは、
津軽三味線演奏と郷土料理の写真が描かれた大きな看板。
恐る恐る居酒屋「杏(あんず)」さんのドアを開ける。
「今日が営業再開の初日なんです。常連さんに請われて。家族ももうやるべきだ、と言ってくれて。うちの玄関を叩いてくれたお客様、どなたでも受け入れさせて頂きます。」
次々と出してくださる心の込もった美味しい津軽料理。
細かく刻んだ山菜に根菜、凍み豆腐、枝豆…こりこりとした食感の具たっぷりの、けの汁。
お口の中でふわっと溶ろけてなくなる程柔らかい大間のマグロ。
感激して味わっているうちに、
「そろそろ始めさせて頂きます😌」
父、息子、娘…
津軽三味線演奏が始まりました!
さっきまで甲斐甲斐しくお料理を出してくださっていた店主の多田さんは、実は津軽三味線演奏で日本一になった名手、
一本何百万円もする三味線を製作する工房を持つ匠でもあったのです!
その日に市に行って買い付けて来た食材を使って、津軽三味線ライブハウス居酒屋を切り盛りしながら、三味線作りもし、夜が明ける前に起きて何時間も三味線の練習されているという多田さん。
本当に腰の低い、優しい佇まいからは到底想像出来なかった、魂を揺さぶる様な、青い炎の様な演奏でした。
娘さんは三才から三味線を。
大人になってから演奏を始めたという息子さんの三味線には本当に血の跡が滲んでいました。
何気なく口にした言葉に導かれ、本当に素晴らしい時間を過ごさせて頂きました。言葉は神なりです。
奥様が握られたおむすび、ふわふわで美味しかった。
弘前に行ったらまた必ず行きたい聖地です^^
弦魂
青森ねぷた
多田さん御一家と。バックに春馬さん^^
大好きになった弘前。
文部科学省に選定されている、浜松市楽器博物館DVDの「楽器コレクション③ 津軽三味線 一音に込める激情鮮烈の世界」には、
「津軽三味線の真実の音を追求する名手」
として、レクチャーコンサートライブ映像と、楽器製作の工程が収録されています。
本当に凄い人だったのでした…
DVDを拝見して、
「間違えたら、間違えたところから音を繋いでいく」
というお言葉と、まるで自分の中の神様とお話をしている様な真摯な演奏が心に響きました。