7.怪人エモーションの日常〜雨はお好き?描く太陽は赤だって言うけれど〜
怪人エモーションだ!
人間というのは、やはりよく分からない。
人間の生態を調べる実験は今日も続く。
人間は、絵を描く生き物らしい。
地球上で起きていることを絵にする者、自分の感情のままを絵に起こす者。
絵は表現であり、何もかも自由だ。
しかし、自由を失った絵があったようだ。
わたしの生態調査によると、ある幼稚園で事件が起きたことが分かった。
ある園児Aは、オレンジで太陽を描いたらしい。
すると園児Bが、「太陽は赤で描くんだよ!」とAに言ったらしい。
はらわたが煮えくり返ったAは、太陽は赤だと主張するBを外に連れ出し、「あれが赤に見えるのか!」と発言したそうだ。そしてBは言葉を詰まらせた。
Aは自分がオレンジだと思ったからオレンジで描くと意思を曲げることはなかった。
誰が太陽は赤で描かなければならないと指導したのだろうか。
大変気分が悪いぞ!!
では、実際太陽は何色だ?
眩しすぎてよく見えないな。
赤ではないだろう。しかし、オレンジかと言われたらそうでもない気がする。
突き詰めれば全ての色であり、白だ!!
では、空は青なのか?
晴れた日は青空が広がり、夕方は赤くなる。曇りであれば灰色だ。
空はいつだって姿を変える。太陽に操られている。だから素晴らしいのだ。
やはり、この地球を手に入れよう。
雨の日が嫌いだと言う人物がいる。好きだと言う人間はどうやら多くはないのだろう。
雨の日は美学だ。
時にその雨が美しく、雨でよかったと思える日だってあるのではないか?
ラーメン屋『ことだま』の店先には、傘立てが置かれていて、そこには少しぼろい傘が一本。
『ご自由にお借りください』と書かれていた。
傘立てから一本の傘を手に取る。
それがラーメン屋『ことだま』との出会いだという人物もいるだろう。
雨は出会いだ。特別な出会いが待っているかもしれない。
この店は、傘を持たない人物がいつ来たとしても、傘を差し伸べてくれる店だ。
“文字だけの君”にも、きっと、そうだろう。
絵を描く人間よ、表現は自由ではないのか?
教えてくれ!地球という大きな水槽に飼われている愚かな人間よ。
自由といっては、固定概念で縛り付ける。
その感情に名前をつけたなら、それはなんと呼ぶのだろう。
今週金曜日は“文字だけの君”第十一夜
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