131.突然のプロポーズ
はい、203号室の南雲あかりです!
夜、東さんと中の島大橋を歩いています。
「『たまひらハイツ』、戻って来てよかったです」
東さんはそう言いました。
え?嫌がってなかったっけ?
「戻って来なかったら、あかりさんには出会えなかったから」
そんなこと言ってくれるんだ。
必殺玉平カムバック!
玉平さんは、まるで、なんでも知ってるみたいね。
夜の桜って、皆さんはどう思いますか?
「うーん、不気味かなぁ」
そう答えたのは、東さんでした。
西口さんは、逆っだったな…
わたしも不気味だと思うから。
平穏な毎日かぁ…
確かに、それが幸せね。
『たまひらハイツ』に来てすぐの頃、わたしは顔をあげた時には桜の花が散っている、そんな人生かなって思ってたの。
迷子になったことがないなんて嘘よ。
人生の迷子。誰も肯定してくれるはずがない。分かってた。
東さんは、未だ、人生の迷子?
なら、またわたしが送り届けてあげるよ。
あんたのダメなところいっぱい知ってる。
バカだし、ドジだし、無鉄砲だし、真剣なのにダサかったり、ポンコツなのにカッコつけてみたり。
だけど、自分の気持ちを殺してまでして、相手のことを応援する。
西口さんより…わたしのことを知ってる。
いつも想ってくれている。
ねぇ、わたしのこと何でも肯定してくれるんだよね?
こんな、年上のオバさんでも?
うさぎにうさちゃんって名付けたり、犬にいぬって名付けたりする人でも?
知らないおばあさんが『鬼は外』ってまいた豆を、あげるっていきなり渡されるような人でも?
じゃあ、お願い聞いてくれる?
わたしと…、結婚して…
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