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足ることを知らない現代人

少子高齢化、教育格差、非正規雇用、虐待、貧困、部落差別、性的マイノリティー、過労死、自然災害、SNSトラブル、、、

 学校の授業で目の見えない人から生活での困り事を聞いたからと言って聞いた人全員が視覚障害者に関する社会課題に携わろうとは考えないだろう。友人が虐待を受けていることを知ったからと言って福祉分野の仕事を選択する人は限られている。
 それなのに一つ一つの課題に取り組んでいる人はまるで同一人物であるかのように「この課題を頭の片隅においておいてほしい」とか「この課題こそが見過ごされているのだ」と口にする。知らぬうちに私たちは課題は解決されるべきものだと考えているのだ。

 なぜこんな話をするのか。それは私が本音と建前を区別するのがものすごく苦手だからだ。色々な本を読んで自分にはそういう特性があるとわかっていても気づいたら真に受け止めて行動してしまうことがある。今度遊びにおいでと言われて遊びに行ったら驚かれたというような経験が数え切れない位ある。だから次々へと課題を示してくるような近年の動きが苦手なのかもしれない。

 社会課題を解決しようとする動きは素晴らしいものであると思うが、そればかりを意識することで本来あるはずの楽しみや喜びが見過ごされてしまってはもったいない。足ることを知ることを解いた古人がいたような気がするがまさに現代の私たちに向けてのメッセージであるだろう。社会の発展によって驚くほど豊かになった私たちは課題の存在しないカンペキな世界を作り上げようとしているのかもしれない。まるでちょっと曲がった大根が市場に出回らないように。

 

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