深夜のコンビニで出会った運命の相手は、実は…
真夜中の2時。コンビニの自動ドアが開く音と共に、私の人生も大きく動き出すことになるとは、その時は想像もしていなかった。
深夜のアイスクリーム
締切に追われる仕事の合間、甘いものが無性に食べたくなった私は、近所の24時間コンビニへと足を運んだ。アイスクリームの陳列棚の前で悩んでいると、隣でも誰かが同じように品定めをしている。
「あ、すみません」
手が重なったその瞬間、目が合った。それは、私の幼なじみだった彼女との再会から7年ぶりだった。
思いがけない再会
「え?萌?こんな時間に?」
「隆一くん...!」
互いの名前を呼び合った瞬間、時間が止まったような感覚に陥った。彼女は相変わらずショートカットで、昔と変わらない笑顔を見せる。ただ、その目元には疲れの色が見えた。
深夜のカフェテリア
「少し話していく?」という私の提案に、彼女は少し迷った様子を見せたが、頷いてくれた。コンビニのイートインコーナーで向かい合って座る。アイスクリームは結局、二人とも同じものを選んでいた。
7年の空白
彼女は今、ウェブデザイナーとして働いているという。私と同じように、締切に追われる毎日を送っていた。高校卒業後、それぞれの道を歩み始めて以来、SNSでも繋がることなく過ごしてきた7年間。
「引っ越してきたの、先月なんです」
「え?ここに?」
「ええ、実は...」
運命のいたずら
彼女が引っ越してきた場所は、なんと私のマンションの隣棟だった。同じ地域に住んでいながら、これまで一度も出会わなかったことが不思議なほど。
「毎日このコンビニ使ってるのに、一度も会わなかったね」
「私、普段はもっと早い時間に来てるから...」
明かされる真実
話を続けていくうちに、彼女が深夜にコンビニに来た本当の理由が明らかになった。実は今日、彼女の愛猫が亡くなったという。寂しさを紛らわすために、無性に甘いものが食べたくなったのだと。
「ごめんね、こんな話...」
涙ぐむ彼女の姿に、思わず手を伸ばしていた。
深夜が結ぶ絆
それから私たちは、深夜のコンビニで定期的に会うようになった。仕事の愚痴を言い合ったり、昔の思い出を語り合ったり。気がつけば、お互いの生活の一部になっていた。
予期せぬ展開
ある日、彼女から思いがけない告白を受けた。
「実は...あの日から毎晩、この時間にコンビニに来てたの」
7年前、高校卒業の時に言えなかった想いを、彼女は今も持ち続けていたという。
運命の相手は、実は…
今、私たちは同じマンションに住んでいる。あの深夜のコンビニでの再会から1年、私たちは結婚を決めた。運命の相手は、遠い場所にいるのではなく、ずっとこんなに近くにいた。
深夜のコンビニで出会った運命の相手。それは、新しい誰かではなく、ずっと心の中にいた大切な人だった。時には人生は、思いもよらない形で、私たちを正しい場所へと導いてくれる。
今でも私たちは、たまに深夜のコンビニに行く。同じアイスクリームを買って、イートインコーナーで語り合う。あの日のように。