「同人小説を一文字も書いたことがない」人向け、どうにかして文章を捻出する方法

※これは、「小説を一文字も書いたことがない、一文字も書けない」方に向けた「私個人がどう書いているのか」の簡易的な覚書のようなものです。
この方法が正しい!というわけではありません、ご了承くださいませ。

いざ小説を書こうとアプリやメモ帳を開くも、真っ白な画面を前に「何を……どう書き始めたらいいの……?」となることはありませんか?
私はあります。萌えを形にしたい!と色々頭で考えて、いざメモ帳を開いたけれど一文字も書けませんでした。初めてとはそんなものです。

なお、これは「同人小説」ひいては「二次創作小説」の書き方です。
山なし、オチなし、意味なし。書きたい場面だけ書く方法です。ご注意ください。

では、私がどうやって書いているのか、実際に例を出しつつ説明していこうと思います。

1.妄想する

これが一番大切です。しっかりと妄想ができれば、小説の大部分は出来たと同じです。何を書きたいのか、どんな流れにするのかを煮詰めましょう。
実際に下記の小説の登場人物でネタをまとめていきたいと思います。

佐々 博章:ぶっきらぼうで体格の良い男子高生
水上 菫子:恥ずかしがり屋で清楚な女子高生

ネタ:手をつなぐ、手に触れる

ネタ出しはこれくらいで十分です。「〇〇くんの〇〇がみたい!!」というパッションが大事です。それが話の主軸になりますので、その気持ちを大切に持ち続けてください。
次に、このネタを深掘りしていきます。さらに妄想を重ねていく、という感じでしょうか。

ネタ:手をつなぐ、手に触れる
・菫子が博章の手を握る。
・博章が戸惑う。
・二人で照れる

箇条書きでなくても構いませんが、今回は説明しやすいのでこの書き方をしています。
箇条書きが出来たら、各項目をさらに深掘りしていきます。

ネタ:手をつなぐ、手に触れる
菫子が博章の手を握る。
 →菫子から博章の手を突然握る。
・博章が戸惑う。
 →急に握られたので戸惑う。嫌ではない、不愉快でもない。
・二人で照れる
 →照れる博章を見て菫子も照れる。

いい感じに話が出来てきましたね。
ここで満足せず、さらに妄想を重ねていきましょう。

ネタ:手をつなぐ、手に触れる
菫子が博章の手を握る。
 →菫子から博章の手を握る。
  →自分とは違う無骨な手が気になって触りたくなった。実際に触ると固くてゴツゴツしててタコもあって、剣を握る人の手だなと思った。
・博章が戸惑う。
 →急に握られたので戸惑う。嫌ではない、不愉快でもない。
  →自分とは違う、細くて柔らかい手。にぎにぎされて恥ずかしくなって顔が赤くなる。顔をそらす。
・二人で照れる
 →照れる博章を見て菫子も照れる。
  →顔をそらして照れている博章を見て、自分がとんでもなく恥ずかしいことをしている事に気づいて顔が真っ赤になる。

ここまで出来ればひとまず大丈夫です。もちろん、さらに妄想を重ねても良いです。妄想すればするほど実際に小説を書く時に楽になります。
次はこれを小説の形にするための下地を作っていきます。

2.流れの下地を作る

実際に作ったネタをもとに、話の流れを書き出します。
ですが、ここで大事なことを一つ決めます。それは「どちらのキャラ視点の話にするか」です。
小説には「一人称視点」と「三人称視点」がありますが、「三人称視点」の書き方はとても難しいので「一人称視点」をおすすめします。
今回は博章視点の話として下地を作っていきます。

突然菫子が博章の手を握る。

急に握られたので戸惑う。嫌ではない、不愉快でもない。

自分とは違う、細くて柔らかい手。

にぎにぎされて恥ずかしくなって顔が赤くなる。顔をそらす。

顔を真っ赤にさせる菫子。

菫子視点のネタは省いて、最後の部分は博章から見た描写に変更しました。

3.下地をもとに、小説の形を作っていく

間の空白をキャラのセリフで埋めていきます。人によってはここが一番楽しい部分かもしれませんね。

突然菫子が博章の手を握る。
「んっ……!?」
急に握られたので戸惑う。嫌ではない、不愉快でもない。
「すごい……大きいですね……。それに……これは、タコ?」
自分とは違う、細くて柔らかい手。
「いや、あの……」
「…………。」
にぎにぎされて恥ずかしくなって顔が赤くなる。顔をそらす。

顔を真っ赤にさせる菫子。

今回はあまりセリフが無いですね。主人公の博章が口下手なのもありますが……。
次に地の文を追加します。ここが難しい!という人も多いかと思います。
地の文は「キャラの行動と感情」を書くものだと思えば良いです。セリフの前後にあっただろう行動、それに伴う感情を書きましょう。
また、下地の部分もキャラ視点の描写に変更します。

突然菫子が博章の手を握る。
 道場でぼーっとしていると、いきなり彼女が俺の左手を掴んできた。
「んっ……!?」
急に握られたので戸惑う。嫌ではない、不愉快でもない。
 突然だったので変な声が出た。
「すごい……大きいですね……。それに……これは、タコ?」
自分とは違う、細くて柔らかい手。
 彼女は真剣な目で俺の手を握ったりさすったりしている。俺とは違う、細くて柔らかくて小さい手だ。
「いや、あの……」
「…………。」
にぎにぎされて恥ずかしくなって顔が赤くなる。顔をそらす。
 恥ずかしくなって彼女から顔をそらす。
顔を真っ赤にさせる菫子。
 彼女の手が離れる。見ると、顔を真っ赤にさせている彼女がいた。

主に行動部分を書き足しましたが、ものすごく淡白で物足りないですよね?
そうです、萌えは「感情」なのです。キャラがどう思ったのか、どう感じたのか、状況やキャラの心情を書き連ねましょう。ときめく文章にするためにはここが一番大切なところです。
また、感情だけでなく比喩表現も足してみましょう。

突然菫子が博章の手を握る。
 道場でぼーっとしていると、いきなり何かが俺の左手を掴んできた。
「んっ……!?」
急に握られたので戸惑う。嫌ではない、不愉快でもない。
 突然だったので変な声が出た。隣を見ると許嫁である「水上菫子」が俺の手をじっと見つめていた。
 というか、近くに来ていたことに全然気づかなかった。足音を消した親父だろうと間合いに入ればすぐ気づくってのに。そもそもいつの間にウチに来てたんだ? 今日は平日なんだが……。
「すごい……大きいですね……。それに……これは、タコ?」
自分とは違う、細くて柔らかい手。
 彼女はいつものおっとりとした雰囲気とは違う、真剣な眼差しで俺の手を握ったりさすったりしている。……白い手だ。細くて柔らかい、握ったら折れてしまいそうな小さい手。無骨でデカい俺の手とは違う。
 触れた手から伝わる熱がこっちに移ってるのか、だんだん自分の顔が熱くなるのを感じる。
「いや、あの……み、水上?」
「…………。」
にぎにぎされて恥ずかしくなって顔が赤くなる。顔をそらす。
 名前を呼ぶも返事がない。彼女はひたすら俺の手をいじっている。
 ……別にアイツに手を握られるのが嫌なわけじゃない。不愉快でもない。けど、なんとなく恥ずかしいのだ。触れる感覚が、伝わる熱が、アイツの存在を否応なく俺に伝えてくる。……それが、どうしようもなく恥ずかしかったのだ。
 まともに顔を見ることが出来なくて彼女から顔をそらす。……いや、本当になんでこうなった。これは罰ゲームか何かか? それか、最近忙しくて彼女に構えなかったから怒らせたとか……。
顔を真っ赤にさせる菫子。
 しばらく耐えていると、突然彼女の手が離れた。チラリと視線を横に移せば、耳まで顔を真っ赤にさせた彼女が俯いて小さく震えているのが見えた。……恥ずかしいんならやらなきゃいいのに。思わず溜息がこぼれた。

こんな感じでしょうか。SSとして体裁は整っていると思います。二次創作SSならこれくらいの長さでも問題ないかと。

Q.「地の文はどれだけ書けばいいの?」
A.これは個人の好みにもよりますが、私はセリフより地の文が多い方です。倍以上ある時もあります。(そもそも私が地の文を書くのが好きなのですよね……。)

Q.「感情ってどう書けば……」
A.約めて言えば「独り言」です。極論、一人称のキャラの独り言を書けばそれっぽくなります。慣れてくればさじ加減が分かってくると思います。

Q.「全然上手くかけない!」
A.とりあえず完成させましょう。完成とは「区切り」です。「完璧に作る」ということではありません(これが出来ればベストですが)。
 作品を作る→サイトにアップ→反応がもらえてやる気が湧く
そしていつの間にか沢山の作品を生み出せるようになるのです。
まずははじめの一歩!

以上、拙いですが説明を終わります。
この覚書が誰かの助けになれば幸いです。


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鷲仙そらまめ
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