目覚め、覚醒、輪廻からの解放ー『マトリクス4 レザレクションズ』ー
マトリクス4 レザレクションズ
「マトリックス4 レザレクションズ」先日夫婦で見に行ってまいりました。
思えば、マトリックスという映画との出会いは1999年。今から20年以上前にもなります。当時学生だった私は、一緒に映画館に足を運んだ友達と、映画鑑賞後の帰りに興奮しながらマトリックスの話をしたのを思い出します。
トリニティのまねをして、壁を走ろうとしたり、バレットタイムのまねごとをして遊んでいました。
間違いなくこれまで見た映画の中での最高峰の映画に出会った時でした。西暦の表記がキリストの誕生以前はBC(Before Christ)と表され、誕生後はADと表記されるように、映画界のとくにアクション映画では、マトリックス前とマトリクス後という表現がよく用いられました。
また、そのテーマは最新の量子論と仏教、キリスト教、輪廻転生、覚醒、目覚めを扱っているテーマであるため、スピリチュアル界隈ではマトリクスの例えが頻発するようになりました。
私自身も覚醒の原理や目覚めについて話す時には、マトリクスの映画を何度例えに出したことか・・・。
それぐらい強烈に私に、いや、人間の意識の転換ともなった映画だと言って過言ではないではと思います。
マトリックス公開後、マトリックス2,3と順次公開されますが、個人的には最初の映画としてのインパクトは徐々に薄れていきました。
しかしながら、扱うテーマは常に新鮮で、2作目と3作目については映画のアクションというよりは、そのテーマと哲学的背景、知識がそのまま現実世界の覚醒にリンクする内容で、年齢を重ねるごとにこの映画の深淵さを深めていきました。
映画マトリックスについて哲学者で、意識研究のアインシュタインと呼ばれるケン・ウィルバーがコメンタリーを担当するなど、業界を超えた影響力を持っています。
マトリックスという映画との出会いは、元来スピリチュアルの覚醒と進化・成長というものに最も強い関心がある私には、無意識に常に影響を与えていた作品だったといえます。
監督ラナ・ウォシャゥスキーは、支配からのスッピリチュアルな解放をテーマにした映画が多い
マトリックスの監督であるラナ・ウォシャウスキーについて紹介したいと思います。
ラリー・ウォシャウスキーとして、弟のアンディとともに執筆した初めての脚本が、1995年にシルベスター・スタローン主演の「暗殺者」として映画化される。翌96年、ウォシャウスキー兄弟として、製作総指揮・脚本を兼ねた「バウンド」で監督デビューを果たす。キアヌ・リーブス主演のSFアクション「マトリックス」(99)は革命的な視覚効果が話題を呼んで世界的に大ヒットし、03年に2本の続編「リローデッド」「レボリューションズ」を発表し、「マトリックス」3部作として完結させた。続いて「Vフォー・ヴェンデッタ」(05)で製作・脚本を務め、日本のTVアニメ「マッハGoGoGo」を「スピード・レーサー」(08)として実写映画化。同作の後、性転換し、ラナに改名。ウォシャウスキー姉弟として「クラウド アトラス」(13)、「ジュピター」(15)といったSF大作を発表。15年にはTVドラマ「センス8」も手がけた。16年3月、弟のアンディもトランスジェンダーであることを公表してリリーに改名、ウォシャウスキー姉妹となった。
もともと映画が好きな私は、関連作品その後よく鑑賞しました。
『Vフォー・ヴェンデッタ』
・ディストピアを革命で破壊するテーマ。
『クラウドアトラス』
・輪廻転生をテーマにした恐怖による支配システムからの解放をテーマにした。
『ジュピター』
・どこにでもいるさえない地球人の女性が、女王であることに目覚め、地球の支配層のエイリアンからの革命と解放を描いた。
映画とは、監督の人生の投影とも言われます。監督はトランスジェンダーでもある映画クリエイターです。
商業の映画監督であるということは、単なる芸術作品を作り出すだけでは成立せず、利益を出さなければなりません。
もともとマトリクスという映画はトランスジェンダーもテーマに入れる予定だったのが、それでは視聴者がついてゆかず、興行収入に結びつかないということで、その資本主義的、商業的理由から却下されたという経緯があるようです。
このように、芸術作品と、大衆受けを狙う商業主義には矛盾が潜むことや、監督のトランスジェンダーという背景などから、社会システムの矛盾と支配構造という認知が常に監督の中にあり、そこからの目覚めと解放が、この監督のライフテーマであるように感じます。
マトリックスがヒットする背景は、一人一人にネオがいるため
しかし、この映画がこれほどまでにヒットし、商業的にも、芸術分野、スピリチュアル分野にも長く影響を与え続けている、ということは、多くの人にとってこの映画の覚醒・目覚めというテーマにシンパシーを感じる部分があるという証拠です。
つまり、作中で主人公ネオが「自分は救世主という特別な存在じゃない」と何度も言うように、ありきたりな表現ですが、救世主とは私たち一人一人のことを言い表しています。
私たち一人一人の中の「目覚め」という流れの力が束になって、マトリックス現象を生み出しています。つまり、マトリックス現象は、人間の意識の目覚めという、世界精神の現れとも解釈できます。
これについては、2作目『マトリックス リローデッド』でネオを崇拝するキッドという少年が、自分の進路である、将来兵士として志願する際、ネオと同じ船に乗ることを申し出るシーンを思い出させます。
キッド(自分がネオと同じ船に乗船するという運命を見出したことについて)「これは運命だよ。ネオのおかげだ。」
ネオ「お前が俺を見つけたんだ。」
キッド「でも僕を救ってくれたろ。」
ネオ「自分の力だよ」
というやり取りにあるように、人は目覚めても、また羊のように自分のあこがれや崇拝する人に自らの力を投影し、預け、再び支配されていた時と同じメカニズムで生きようとしてしまいます。
主従関係などの支配と従属の関係性は、支配側がにとにかく注目が当てられますが、この関係性は相互作用で生じているので、従属者も支配者を作り出しているという関係性に気づけません。
その背景には、被害意識と怒りの感情が邪魔をして、自分自身を力のない尾従属者として縛り続けるのです。従属者が目覚め、行動し続けなければもとの木阿弥です。
このメッセージは、マトリックスという映画を超えた、監督のライフテーマであり、最大のメッセージの一つのように感じます。
そして、今回の作品「マトリックス 4 レザレクションズ」という映画は、一人一人が目覚めることを実は拒否し、眠り続けることを選択し続ける様相も描かれています。
最後のシーンでは、当にパンデミック下の現代社会の深い洗脳をテーマにしているようで、身に迫るものを感じました。
また、本作品で重要な役割として登場する精神療法家のアナリストが、目覚めではなく深い眠りにいざなう役割として登場します。
私自身の心理士という仕事から、少なからず色々考えさせられました。
本作品が日本にまず全世界先行上映された、ということも、日本に対しての深いメッセジがあるのでしょう。
レビュー
しかしながら映画のレビューは酷評が多く、よくある過去のオマージュ作品だとか、今流行のジェンダーを扱う女性へのエンパワーメント映画だ、というような感想をよく見かけました。
先週のヤフーの映画レビューでは、2.9と3点台を切ってしまうスタートでした。
レビューで作品の全てがが語られるわけではないのですが、ヤフーレビューで2点台である映画は、私の個人的な経験上、やはりエンターテイメントとしては楽しめない作品が殆どででした。
なので、マトリクス4は失敗してしまったのか・・・と半ば悲しくあきらめていた中での観賞でした。(ちなみに鑑賞した時のヤフーレビューは3.3でした)
結果、感想としましては、私個人的にはかなりの高評価です。
最初から最後まで、2時間以上、全く退屈することなく鑑賞することが出来ました。
最後は、感動して涙ぐんでしまいました。
映画冒頭から始まる世界が仮想なのか、現実なのか、という手法を用いた展開はさすがで、視聴者自身も巻き込んだ臨場感が感じられました。
そして、その目覚めと覚醒というテーマも、パンデミックの今日ではなお色濃くその様相を考えさせられました。
しかしながら一緒に鑑賞した妻も楽しんでいましたが、私ほどヒットはしていませんでした。感想は人それぞれです。
確かに、20年前にこの作品をリアルタイムで見ているせだいには感慨深い者があるのだろうと思います。
その経験がない20代や10 代の視聴者は、私ほど感慨深い感想は残らない可能性があるのは否めません。
また、1999年の1作目が登場した時のような、革命的な驚きや感動を求めると、がっかりするかもしれません。
しかし最終シーンのアクションなどは、かなり興奮しましたし、ストーリー展開は素晴らしいものがありました。
私個人的には何度も見たくなる作品でした。個人的には映画として楽しめた感想は、1>4>2>3という順番に面白さを感じた次第です。
作品に流れる哲学的テーマについては
2=3=4>1といった順番で面白かったです。
個人的にはマトリックスシリーズの作品の中では「4 レザレクジョンズ」は上位に位置する面白さでした。
このシリーズは3部作で、マトリックス5、6と続いていくとも聞いています。監督には世間の酷評など気にせず、今後も自身のライフテーマを十分に表現し、多くの覚醒者を導く作品を創って頂きたいです。
目覚めや覚醒、輪廻からの解放に関心のある人々は、是非「マトリックス4 レザレクションズ」をご覧ください!
とってもお勧めです!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?