フォード VS フェラーリ
あらすじ:カーレース界でフェラーリが圧倒的な力を持っていた1966年、エンジニアのキャロル・シェルビーはフォード・モーター社からル・マンでの勝利を命じられる。敵を圧倒する新車開発に励む彼は、型破りなイギリス人レーサー、ケン・マイルズに目をつける。時間も資金も限られた中、二人はフェラーリに勝利するため力を合わせて試練を乗り越えていく。
今作品の副題を付けるとしたなら「男はつらいよ」となるだろう。打倒フェラーリに燃える二人の男の友情と熱き魂を描くだけでなく、フォードという企業組織に何度も裏切られ、のみこまれてゆく哀愁も描かれている。ルマン66でフォードが勝利するシーンで終わると思いきやその先の史実も描かれているので苦い想いが刻み込まれ、余韻が残る傑作に仕上がっている。
以前、シェルピー役をトム・クルーズ、ケン・マイルズ役をブラッド・ピットという案が挙がっていたようで・・・。トム・クルーズのシェルピーも観てみたかった。
フォードは、1966年のル・マン24時間レースに8台もの大量のエントリーを行ったことにより、最終的にル・マンでフェラーリを破ることになるのだが、ここまでヘンリー・フォード2世がル・マンでフェラーリを破ることにこだわったのは、エンツォに買収交渉を袖にされたことだけではなく、当時不倫をしていた(その後1965年に結婚)イタリア人の貴族の愛人、マリア・クリスティナ・ベットーレ・オースティン が、フォードのマシンではなく、フェラーリの大ファンであったことが影響していると言われている。また、このような愛人にいいところを見せようと莫大な資金にものを言わせ勝利をもぎ取った話は、ヨーロッパをはじめとする各国では「恥ずべきこと」と受け取られ、現在でもヨーロッパではフォードとアメリカの評価は決して高くない。
実際に、映画化された『フォードvsフェラーリ』はヨーロッパではその題名では受け入れられず、イタリアやイギリス、フランスなど主要なヨーロッパ諸国では『ル・マン66』と作品名が変わっている。
又、今作品の見所はレースシーン。爆音轟かすエンジン音を体感できる「IMAXレーザー」で鑑賞することをお勧めする。
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