ワタシは宇宙人 「最後に見た笑顔」 #24
人生とはジグソーパズルのようなものだ。
いつもわたしはそう思っていた。
ひとつの経験で、1つのピースを貰う。次の経験で、また1つのピースを貰う。
その時は滅多に分からないのだ。それがどこにハマるピースなのかを。たくさん迷いながら、考えながら試行錯誤して、それなのに気がつくとピタリとハマっている事が多い。
それをたくさん繰り返して、人生最後のピースを手にした時、やっと、自分のジグソーパズルが完成するのだろう。
祖父が生涯かけて完成させようとした、人生のパズルの全てをわたしは愛したいと思った。
だから
どうか、わたしが帰るまで待っててね。
静かな病院のベットの上で、わたしは夢を見た。
祖父がわたしを呼ぶ声がする。
…そらちゃん。世話になったな。爺やは先に行くからな。みんないるから、大丈夫だから、心配しなくていいぞ。
祖父の後ろには、祖父の両親や兄弟らしき人が立っていた。
祖父は幸せそうな、嬉しそうな顔をしてみんなの方を見て歩いて行った。最後にもう一度、わたしの方を振り返ると笑顔のまま消えて行ってしまった。
そして目が覚めた。
爺や…行っちゃった…。
祖父のあんなに嬉しそうな笑顔を見た。ずっと会いたかった人たちに、やっと会えたことを知った。
そして何より、祖父はあの苦しみから解放されたのだと思うと少しホッとした。
そしてわたしは無意識に荷物をまとめ始めた。
それから間もなく、看護師さんが慌ててわたしのところへ来た。
祖父が亡くなった知らせだった。
それでも別れは悲しい。後から後から涙が溢れてくる。
家に帰ると、祖父は穏やかな顔をしていた。そこにある大きな手を握ると、まだ祖父の温もりがあった。
祖父はみんなに看取られて息を引き取った。わたしは看取ることは出来なかったが、夢で会った祖父の、最後の嬉しそうな顔を鮮明に覚えている。
会いに来てくれてありがとう。
2000年4月。享年84歳。
祖父は激動の時代に生まれ、何度覚悟を繰り返して生き抜いて来たのだろうか。
あの時代を生きた祖父達が、暗い歴史から明るい未来へと託してくれたお陰で、今わたし達が穏やかに暮らせること忘れない。
そんな時代に生きてもきっと、祖父の人生は幸せだったのだろう。
わたしは祖父から、ひとつのピースを貰った。
今でも、ずっと大好きだよ。
また会おうね。