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音楽の道へ進む決心
出会いは人生を左右する
私の通っていた真和中学・高等学校は中高一貫校で、熊本市の中心地にあります。今振り返っても、学友、先生方に恵まれ、本当に楽しく充実した6年間でした。この6年間がなければ、音楽の道へ進んでいなかったかもしれません。中学時代を記した「人生の歯車が動き始めた瞬間」、と一緒に読んで頂けたら幸いです。
中学3年生の時に工藤宏子先生からの薦めで、文化祭や他の学校行事でも歌っていましたが、高校に進んだころは、変声期が終わればこの声も出なくなるんだろうな、自分には音楽の道は難しいな、という寂しさと、歌への希望が混在した気持ちでいたように思います。
そんなとき、その後の人生を左右する最大の出会いがありました。高校時代の私の歌の指導者でもあった浦田玲子先生です。浦田先生は臨時でいらっしゃった先生で、今思えば本当にタイミングとは不思議なものです。
初めてのコンクール
高校1年生の音楽の授業の初日、浦田先生が自己紹介をされ、少し歌を歌ってくださったとき、その美声と声量に圧倒されました! 私の母もソプラノで、私が幼いころから一緒に歌ってくれていましたが、細く軽いソプラノでした。
浦田先生の歌声は全く異なり、身体で振動を感じるくらいの力強さと美声、優しく穏やかな話し声とのギャップにも驚き、あの日のことは今でもよく覚えています。私は早速休み時間に先生の所へ行き、ボーイソプラノであることを伝え、歌を聴いてもらいました。そして少しずつ休み時間にミニレッスンをしていただき、そのままコンクールに出てみようかな、という流れになっていきました。
私が参加した熊本県高等学校独唱コンクールは、参加費無料ということもあり、熊本全域の高校から200人程が出場する大きな大会でした。結果は何と銀賞。更に歌への情熱はたかまり、それまでほとんど知らなかったクラシックの声楽という世界に魅了され、どんどんと色んなオペラや歌曲を聴くようになりました。
大切な音楽仲間
浦田先生のおかげで、私の中での音楽、声楽がより大きな広がりをもつようになるなか、実際に音楽の道へ進む決心をした大きなきっかけは、同じく真和中学から真和高校へ進学した同級生の渡辺千春ちゃん、那須亜紀子ちゃん二人の存在が大きいです。
二人はヴァイオリンを習っており、我々は音楽という共通の話題で仲良くなり、情報共有もするようになりました。一般大学へ進学するか、音楽大学へ進学するか、相変わらず進路には悩んでいましたが、当時ヴァイオリンからヴィオラに転向し、音楽への道をより確固に決意した千春ちゃんが、「一緒に藝大受検しよう! 音楽の東大目指そうよ!」と背中を押してくれました。
ちなみに千春ちゃんのお兄さん弾楽さんは同じ中高の2コ上の先輩で、チェロ奏者。藝大を目指している先輩の姿が私たちには励みになりました。このような、色んな状況が重なり、私は藝大を受験する決意をしました。
藝大受験の意思を、浦田先生と工藤先生に報告し、本格的に勉強スタート。お二人は全力でサポートしてくださいました。浦田先生は、私をボーイソプラノからカウンターテナーやソプラニスタという方向性を見据えて的確に指導をしてくださり、千春ちゃんと同時に藝大へ無事合格することができました。先生、友達に感謝、感謝です。
コラボ動画「Amazing Grace」をどうぞ!
そして、緊急事態宣言下で音楽活動が制限されていたときに、千春ちゃんからリモートでの動画コラボの誘いを受け、Amazing Graceを演奏しました。
共演者は渡辺兄妹、那須さん、初共演の黒木健太さんです。是非ご覧ください。