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大学時代に学んだヘンリー・パーセル


私がパーセルの音楽と出会ったのは、大学1年生のとき。
声楽の先生から課題として貰った曲、オペラ『ディドとエネアス』のアリア「私が地に伏す時 (When I Am laid in Earth)」 がその出会いのきっかけでした。

パーセル唯一のオペラ(セミオペラというものもありますが、厳密なオペラという意味で)であり、またイギリスバロックオペラの名作として知られる『ディドとエネアス』。

この曲と出会ってからパーセルの作品をいろいろ調べ、大好きな作曲家の1人となりました。

ヘンリー・パーセル
Henry Purcell
1659年9月10日? -1695年11月21日
イギリスの作曲家

イギリスのバロック音楽といえば、まず筆頭に挙がる作曲家です。バロック音楽をレパートリーにする歌手は、必ず一度はパーセルの作品を歌うと言っても過言ではないかと思います。特にイギリスはカウンターテノールが歌い続けてきた伝統があるので、カウンターテノールがパーセルを歌うことはとても自然なことです。

カウンターテノール等の用語についてはこちらを参考にしてください。

ひとときの音楽

パーセルの音楽を調べるうちに、名曲がたくさんあることを知りました。

その代表曲、悲劇『オイディプス王』の劇付随音楽「ひとときの音楽(Music For A While)」

この曲は、イギリスのカウンターテノール、アルフレッド・デラー(1912 年 5月 31日 – 1979年 7月16日)が録音したことで現代に再注目された1曲です。デラー自身、カウンターテノールという声種を現代の世に再び知らしめた功績で有名な歌手です。


パーセルの作品の中でも特に有名で、バロックのコンサートなどでは定番曲として、よく演奏されます。私も学生時代の試験やコンサートで歌っていました。

<ひとときの音楽>
 
ひとときの「音楽」は
 
あなたの心の悩みをすべていやすだろう
 
「音楽」は自分があなたの痛みを和らげたことを不思議に思い
 
人々に喜ばれることをいぶかしく思い続けるのだ
 
復習の女神アレクトが
 
死者を永遠のいましめから自由にする時まで
 
彼女の頭から蛇が落ちるときまで
 
手から鞭が落ちる時まで「音楽」はそう思い続ける
 
音楽はほんのひとときで
 
あなたの心の悩みをすべていやすだろう
 

(「アルチーナのブログ」より、波多野睦美さん訳詞引用)


繰り返されるグランドベース(同じメロディーが低音部で繰り返される)がとても印象的なこの曲。この不思議なメロディーが、歌詞の内容と相まって、異界のものが現れそうな不気味ささえ感じさせます。繰り返されるものはグランドベースだけでなく、歌詞にもあります。それは、「頭から蛇が落ちる」の「落ちる=DROP」。淡々と続くDROPが呪文のようにも聞こえてくるような気さえします。とてもよくできた名曲です。

実はいろんな場面で使われているパーセルの音楽

映画や舞台でパーセルの音楽が使われているものがあるので、ちょっと紹介します。

2021年にアンソニー・ホプキンスがアカデミー主演男優賞を受賞した『ファーザー』。冒頭でパーセルの曲が流れ、それが強いインパクトとして残ります。

セミオペラ『アーサー王(King Arthur)』の「あなたの何の力を?( What Power art thou?)」通称「コールドソング」です。

ピナ・バウシュ『カフェ・ミュラー』。この作品のために作曲されたのかな、と思うくらいダンスに合っていると思います。

番外編ですが、私が大学時代によく練習していたお気に入りの1曲。

セミオペラ『アーサー王(King Arthur)』で、ヴィーナスが歌うとても美しい曲です。

紹介したのはほんの一部で、まだまだたくさんパーセルの名曲があります。またいつか歌いです!

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