映画考察: ラストマイル
さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日なのだが、先日映画「ラストマイル」を観てきたので、今日はその感想と考察をネタバレにならない範囲で書いていこうと思う。
ま、今日は祝日だしね。
映画「ラストマイル」とは
映画「ラストマイル」は、主演 満島ひかり、そのほかに、岡田将生、阿部サダヲ、ディーン・フジオカ、火野正平などが出演し、脚本 野木亜紀子、監督 塚原あゆ子で制作されたサスペンス作品だ。
TBS系列で放映されていた「アンナチュラル」と「MIU404」のキャラクターが登場し、同一世界線上でストーリーが進んでいくところも、この作品の見どころなんだと思う。この映画のエンディングで使われる曲は米津玄師の「がらくた」だが、ドラマ2作品のテーマ曲も米津作品であったことを考えると、ここでも統一感を持たせているように感じる。
「ラストマイル」とは、物流においてお客様へ荷物を届ける最後の区間のことを指し、ここ数年間で物流業界や通販業界で浸透してきたワードだ。
DAILY FASTという世界規模のショッピングサイトの倉庫から発送された荷物が、届け先で爆発する連続爆破テロが発生、その犯人を見つけ出していくというサスペンス映画なのだが…
取材に時間をかけたんだろうな
ボクはこの映画を見て「よく取材してるな」と感じた。
DAILY FAST社が某A社をモデルにしていることは間違いない。ちょっとオーバーに表現されている感は否めないが、まああんなもんだろう。それと元請けとして「羊急便」という大手運送会社が出てくる。それはS社かY社をモデルにしたものと思われるが、ボクはどちらかと言うとY社っぽい印象を受けた。
そして、意外とキーマンになっていたのが「ラストマイル配送を請け負う個人事業主のドライバー」だが、彼らもかなりリアルに描かれていたと思う。あんな職人タイプの人は、以前はちょくちょく見かけたけど、最近は減ってきたよなあ…なんて思いながら映画を観ていた。
ストーリーの中心となる物流施設、およびマテハン類の部分は「トラスコ中山」が全面協力しているようだ。ロケ地は埼玉県幸手市の「プラネット埼玉」と群馬県伊勢崎市の「プラネット北関東」だったようだが、その施設内に映画用のセットを組んだんだろう。おそらく最新式のもので。
トラスコ中山は、2023年度の売上が2,464億円、営業利益146億円の企業で、会社四季報では「工具・消耗品の専門商社」にカテゴライズされている。東洋経済新報社が発行している「業界地図」に初めて企業名が載ったのが2017年、その年の売上高が1,665億円だったので、6年で売上を148%伸ばした会社だ。
そうなると、当然A社やS社やY社からトラスコ中山に転職した人は多いはずだ。おそらく彼らから取材したんだろうな。特にラストマイル配送の部分はリアリスティックに描かれていたと思う。あんな感じでクライアントに振り回されることは、まあ業界あるあるだ。
ボクの率直な感想
ボクは物流業界に精通していて、ラストマイル部分にも詳しいと自負している人なので、この映画は非常に楽しめたが、一般の人はどうなんだろう。本編のかなりの部分を物流の表現で割いていたので、そこに関わったことのない人には「なんのこっちゃ」って感じにならないだろうか…と、ちょっと心配になった。
特に、肝心の「どうやって倉庫内に爆発物を持ち込んだか」というトリック部分は、大手ECの商品のサプライヤーやベンダーの仕組みに精通していないと(A社の社員であっても)「???」ってなるような気がする。
ひょっとすると、野木亜紀子氏自身もそう思ってアンナチュラルやMIU404と絡めたのかもしれない。それぞれのドラマのメイン登場人物が軒並み出演しているし、このシリーズが好きな人には思いっきり刺さる映画だと思う。
今年のブラックフライデー
「ブラックフライデー」とは、アメリカで始まったクリスマスシーズン向けの大規模なセールのことを指す。起源は諸説あるが、アメリカの小売業者が感謝祭の後の金曜日に大々的なセールを開催して、店頭が黒山の人だかりになり、黒字が見込めるセールであったことから「ブラック」が冠されるようになったとか…
このワードを日本に持ち込んだのは、例の某A社で間違いないだろう。しかし、決してA社のオリジナルのものではない。最近では、日本の他のECサイトや、国内大手スーパーマーケットなども「ブラックフライデー」と銘打ったセールを開催するようになっている。
2024年のブラックフライデーは11月29日の金曜日だ。
全国で無差別テロが起きないことを祈る。
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