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競争戦略論[Ⅰ]を読む - ⑮中小企業のフィランソロピー戦略

さあ、水曜日だ。
毎週水曜日はマイケル・ポーター著「競争戦略論」をベースに、ボクの気づきや思考をアウトプットするシリーズを展開している。
先週は「中小企業の多角化戦略」という記事を書いたが、今週は「中小企業のフィランソロピー戦略」について書いていこうと思う。


フィランソロピーとは

マイケル・ポーターは、この本の中で企業の社会貢献活動を「フィランソロピー」というワードで表現している。フィランソロピーは古代ギリシャ語の「愛」と「人間」の2語からなっており、「人間愛」を起源とする概念だ。 具体的には、個人や企業による寄付やボランティアなど、公益性のために自主的に社会課題解決に取り組むことを幅広く指す。

企業がフィランソロピーに関わるべきかどうかについては、なかなかに結論を出すことが難しい問題だ。とりわけ中小企業においては。

なぜ中小企業のフィランソロピーは進まないのか

なぜなら、企業の経済的な目標は「株主の利益を増大させること」であるべきなのに対し、社会的な目標である「フィランソロピー」を実行しようとすればするほど経済的な業績を犠牲にすることになってしまうからだ。そして、中小企業ができる寄付の額はさほど大きなものにはならず、大企業のそれに敵うはずもない。

中小企業が寄付や非営利団体への運営支援などを行うこと。そして、その行為によって自社にもある程度のメリットを享受しようとするならば、中小企業ならではの戦略が必要になる。

経営幹部の思い入れや価値観などで寄付先を決めるのもいいだろう。
それはそれで多少の社会的な意義は生まれる。そして寄付を決めた経営幹部の満足感も伴うだろう。

中小企業のフィランソロピー戦略

企業は、自社を取り巻く社会から孤立して機能しているわけではない。マイケル・ポーターは、企業の競争の能力はその事業を展開している地域の環境に強く依存している、と説いている。そして、知識やテクノロジーが事業のベースになりつつある現代においては、労働者ひとりひとりの能力を高めることが重要になっているが、そういった教育が地場の中小企業単体で実現できるものでもなくなってきている。

そうなると、中小企業がサポートすべき対象としては、地元の教育環境を向上させようとしている、もしくは地域の安全や利便性の向上に寄与しようと考えている非営利団体が適切であるだろう。そのような非営利団体に同業の複数企業がこぞって寄付などをすれば、地域環境の改善によって業界や(自社が依存する)地域にメリットが生じるからだ。

まずは、地域や業界のことを真剣に考えて、すでに改善活動に取り組んでいる非営利団体を見つけ出さなければならない。そして、彼らがどんな活動を行っているか調査する必要がある。ポイントとしては「将来的にどんな成果を出そうとしているか」と「自社の業界に関連性のある活動か」の2点だ。もちろん、その関連性は直接的なものでなくとも、広義の「テクノロジー」などであっても十分だろう。

まだまだ中小企業において、明朗に「当社は社会への貢献活動を行っています!」と宣言できる企業は少ない。そういった意味において、フィランソロピーは同業他社との差別化を図るための武器になり得ると考える。

(続きはまた来週)


(続きはまた来週)

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