『但願人長久 Fly Me To The Moon』
ずっと観たかったんだけど前評判が良いだけにチケットすぐに売り切れて観られていなかったのを、やっと観た。
「吳慷仁凄い」の一言に尽きた。『富都青年』も観たし、あの芝居も凄いと思ったけれど、本作も「やっぱり吳慷仁凄い」だ。20歳から60歳までを見事に演じ分けている。
『非凡熟女』で「吳慷仁って凄い俳優だ」と認識して以来、先だっての金馬奬でやっと主演男優賞を獲るまで長かった。でもこれは約束された奬だったと思う。
イメージ・ポスターが上記写真なので、結構キラキラしたシーンのある作品かと思っていたら、このイメージ全然出て来ない。最後の最後に「え?そゆこと?おいー!」ってなったわ。
吳慷仁も凄く良かったのだけれど、脚本も実に良かった。大手作品にありがちな、いろいろ伏線を回収しつつストーリーが必ず全て繋がりきる手法ではなくて、「で、この二人はこの後どうなったの?」を敢えてそのまま残しておく手法は全然ありだと思った。こういう「途切れているけど、ま、いっか」な進め方は好きだな。
上映後の分享會で監督が披露してくれた話が興味深かった。吳慷仁に脚本を渡してオファーした時は既に『富都青年』の撮影に入っていた時期だったと。吳慷仁は本作で広東語と湖南語を流暢に話す設定だけれど、実際にそこまで流暢に広東語を話せなかったので、『富都青年』の撮影現場に本作の脚本と広東語の発音素材を持参して練習してくれたと。凄い。『富都青年』では手話をこなしながら、次の『但願人長久』の為のセリフの練習をするとは。実力だけじゃなくて努力も凄い人なんだね。
どうしても Stanley Kwan 關錦鵬導演(本作ではプロデューサー)と一緒に写真を撮りたかったのでこのセッティングに無理やり入り込んだら Meg Lam 林建明もいたというおまけ付き(失礼)。髪の色もサイズも随分変化しておられて実は最初に見かけた時に「なんか見たことある顔だなぁ、誰だっけ」と思っていたのだよ。
客席に Kelvin Chan 陳建朗、Mabel Cheung 張婉婷がいたのだけれど、話をしたかった(というか今私香港にいるよアピールしておきたかった)Winnie Tsang 曾麗芬を捕まえている間にいなくなってた。残念。客席にいるのは見えなかったけれど、ロビーで Jit Man Chan 陳哲民(OAFFで上映した『散後』の導演)に先日の某所に引き続き再度ばったり。
素晴らしい作品だった。大好き。高先電影院にて鑑賞。★★★★★