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電影鑑賞記『爸爸 Papa』(2024) @東京国際映画祭&@香港 謝票場
翁子光導演は私が観た限りの作品で言うと重い題材の作品がホンマに上手。『風再起時』はかなり不満が残った。『正義迴廊』は実はまだ観られていないのでどんなだったかわからない。
なぜまた猟奇殺人の作品を?の質問に「こういうのが上手いのはお前だからやってくれと言われた」と答えた導演。私も「だってそうだもんね」と制作者に心から同意。
劉青雲の芝居については何も言わなくても良いでしょう。この役はラウチンしかありえないもん。私はラウチンの細かい芝居が気になり過ぎて、話の大きな流れやトリックをしっかり読み切れていなかった。港產片迷仲間に解説してもらって、なるほどそういうことか、と合点したという間抜けっぷり。
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この Dylan So 蘇文濤は下手に擦れていなくて、だからこそこの役を演じきれたのだね。日本語を結構解するようで少し話してくれた限りは上手だったけれど、流石にQ&Aで全て喋りきるほどではなかったよう。日本のアニメとかゲームが好きです系なのかな。
香港パーティーには谷祖琳もいたのに登壇しなかったのね。パーティー会場で「話しかけてもらってもいいよ」オーラを出してくれてたんだけど、実は私、谷祖琳のことを知らなくて(ごめん)、全然お話しなかったのよ。次にどこかで出会ったら、素敵な演技でしたよって話しかけよう。
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導演、実は最初暫くは下向いていたのだけれど、奥様か經理人なのか、常に横に付いておられる女性がいて、その方に客席から「話していない時も上を向いて」とカンペ出されてからはとりあえずずっと上向いていたのが笑えた(上の写真)。
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これとかもそうだけれど、他のQ&Aも私が通訳やりたかったな。東京国際映画祭には私のことを知っている人があまりいないのと、香港ベースで生活している私が今回はたまたま東京にいただけなので、香港から呼んでいただけるわけがない。今回は仕方ない。実は通訳者が知り合いなので心臓に悪かった。
翁子光導演は猟奇殺人系サスペンス系が得意なのに、物腰柔らかでとても優しい人。『踏血尋梅』の話をした時に、「私の友人の友人が『踏血尋梅』の白只がやった犯人の本人と同じ監房に入ってたことがあったらしくて・・」で「ええっ!」とガッツリ掴みはOK。「出所してから映画を観たらしいんですが、もう白只がその本人そっくりだったって言ってたらしいんですよ」「ああ、かなり似てるでしょ?」「いや、容姿だけじゃなくて動き方とか喋り方とかがそっくりだったって・・・」「えええ!?そうなの!?」と驚いておられた。けれど、私だってこの話聞いた時はマジで驚いたよ。白只の役作りの完璧さにも驚いたけれど、その前に、あなた(私の友人)、そんな友達がいたんですか・・・ってことに。
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この作品はラウチンの演技は当然お勧めだけど、脚本の腕も更に上がっていて、作品として素晴らしかった。これは配給付くの難しいかなぁ。
東京国際映画祭(TOHOシネマズ・シャンテ)にて鑑賞。★★★★(サスペンスもの苦手なの)
【追記】2024年12月7日 映前分享謝票場
東京国際映画祭には登場しなかったらうちんこと劉青雲が登壇するということでチケット購入。謝票のニュースが流れてすぐに買ったので自分の好きな席で取れた。
劇場には二種類の大海報が設置されていた。入場プレゼントは海辺の写真の方のポストカード。
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そしていよいよ生らうちん。あれこれ参加してきた私だけれどらうちんにはなかなか巡り合えず、今回やっと初の生らうちん。感激。ここは短い動画をそのままアップできない(短いものを YouTube にアップするの面倒なだけだけど)なので写真のみで。動くらうちんを観たい方は私の Twitter(まだこの呼称を使う)へどうぞ。
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結構むすっとした顔のままで自己紹介も「我係劉青雲。爸爸。」しか言わない。それがまたいかにもらうちんらしいのだけれど。
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それでも時々いい感じでジョークを挟むらうちん。
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司会が「二度目の鑑賞の人〜?」と言うので手を上げた。謝票のカメラマンと司会が友人だったので「あー、ソフィ〜!」って名指しでマイク渡されて「なぜ二度目を観ようと思ったの?」って聞かれた。おいおい、二度目の鑑賞の人がいるかどうか聞きたかっただけじゃないの?心の準備無かったけれど、とりあえず色々話してみたら、特別ポストカード6枚セットを貰っちゃった。ありがとう。
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この謝票ではなく新聞のインタビューで読んだのだけれど、らうちんは谷祖琳の出産シーンでの迫真の演技が凄すぎて谷祖琳が本当にBBを産んでしまうんじゃないかと心配になったと。らうちん、笑かしよる。
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東京国際映画祭での上映で鑑賞済みの日本のファンもいると思うので、少々ネタバレな感想を。私は東京に続き二度目の鑑賞。ストーリーがわかってから観ると、それぞれのシーンがなぜこうなるのか、なぜこんなアングルなのか、なぜこの表情なのかがよくわかる。一度目の鑑賞時より好きになった。
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オープニングで永年が茶餐廳門口で上を見上げる。そういうことだったのかと二度目の鑑賞で理解した。現在と過去のつなぎ方も上手いので、現在のこの状態がなぜなのかがよくわかる。
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東京国際映画祭で鑑賞した方に聞きたい。東京国際映画祭上映版では看更(ビル警備員)の叔父さんがモップで永年の家の血の海の始末をしていた気がするのだけれど、今回の本編ではそれが無かった。映後のQ&Aが無くて導演に質問するチャンスが無かったのだけれど、東京国際映画祭での本編にはありましたよね?それとも私の記憶違い?と今日も悶々としている。
楊偉倫の芝居は鉄板なのでもう何も言わないが、造型がガチで茶餐廳伙記にありがち過ぎて楊偉倫だということを忘れそうになった。あまりにガチの茶餐廳伙記だからか、なんとなーくなんとなく今回の上映版でどこかカットされたような気がしてならない。ただの気のせいかもしれないが。
映前分享の時に「劉青雲のファンなのだけれど、長らく劉青雲のラブ・ストーリーを観ていなかった(そういう作品への出演が長らく無かった)ので、本作の愛情部分に期待している」というコメントがあった。永年と金燕の愛を描いた部分が、清々しくてキュンとなる描き方でとても素敵だった。こんなにいつまでもお互いのことを大好きでいられるなんて素敵だなぁと羨ましく思い、だからこそこんな別れが突然やって来たことに心張り裂けた。
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ストーリーとは関係無い私個人の事情だけれど、永年のお母さんが、私が大好きだった姑媽(夫の伯母)にもう本当にそっくりで妙に思い入れしてしまって、ちょっと sentimental になってしまった。
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本日收獲。嬉しいので自慢しとく。
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そしてこれは『淺淺歲月』の謝票で来ていて高先電影院のFelix Tsangとお喋りしてた陳果導演に突撃して書いてもらったサイン。らうちんにもしかしたらサイン貰えるかもと前出の新聞とサインペンを持って来ていたのだけれど、さすがに陳果導演がいるとは知らず(『淺淺歲月』の謝票場があるのをチェックしていなかった)陳果導演作品の物は準備していなかったので、ええい、これでいいや!と『爸爸』のポストカードを差し出した。「これ爸爸のじゃねぇかよ」と言われ「だって今手元にこれしかないんだもん」とわけわからん理由で無理やりサイン貰う私は無敵。「じゃあ爸爸は良い映画だって書いとくよ」と乗ってくれる陳果導演。お喋りし過ぎて導演と写真撮るの忘れたのが痛い。『破・地獄』に続いての失態。
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陳果導演は『淺淺歲月』を東京国際映画祭に出したかったらしいのだけれど、時期的に間に合わずだった模様。であれば是非とも今エントリー中の大阪アジアン映画祭にどうぞ、とお誘いしてみた。陳果導演も「大阪アジアン映画祭も国際的に価値のある映画祭だからそれもありだな。」とやはりノリノリの返事。私、まだ観ていないので鑑賞後に暉峻さんにプッシュしてみますよと言ったところ、高先電影院の中の人 Felix が「じゃあ次の謝票場のチケット押さえてあげるよ。」と速攻で手配してくれた。鑑賞したらまた鑑賞記書くね。
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高先電影院にて鑑賞。★★★★★(より理解が深まったことと、二度目の鑑賞なので前回ほど怖くなかったので評価上昇)