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『破・地獄 The Last Dance』海報創作展/道具劇照展@Upper Deck Tai Nan 大南天梯 = 解説ツアーの内容と書籍販売案内を追加 =

今回のエキシビジョンは、単なるオフィシャルのポスター展ではなく、アーティストの皆さんに前もって作品を鑑賞してもらい、自分が感じたことを表現した夫々の『破・地獄』ポスターを創作するという趣旨のもの。実は会場の大南天梯、上階へ拡張していて、二樓はポスター展、三樓は衣装と小道具展となっている。一般公開は11月9日から。

大南天梯の入り口のポスターは出演者の顔が出ていないので見逃しそうになる。

大南天梯はいつ見ても床の柄と壁のボロボロ具合が可愛いのよ。

もちろん Anselm Chan 陳茂賢導演も棒場。

こういう風に、電影があって、それとコラボするこういったエキシビジョンやプロダクトが出ることで、さらに香港電影を盛り上げていく風潮ができると嬉しいと。

準備段階ではすべてのポスターがこんな風にカバーがかかっていて、それをアーティスト本人が外してお披露目(透明だから作品はもう見えてるけど)するという気の利いたセレモニー付き。

アーティストの皆さんそれぞれ電影を観て感じたこと、自分が常に考えていること、等どういう思いでこのポスターを作ったのかを披露。

ということでそれぞれの作品の揭幕とアーティストご本人の名前とお姿をそれぞれ置いておく。

Uncle / 曾昭昶 カリグラフィ 本来、カリグラフィは欧米から入ってきたものなので英文字などがメインで行われているが、Uncle は敢えて漢字でのカリグラフィを行っている。

紅色、橙色、灰色の三色は道教の衣装や電影本編の色調に合わせて使っている。文字の形は「破地獄」儀式の炎をイメージしている。

鄧達軒

Ayip 葬儀や地獄といったダークな方面の話ではあるけれど、心温まる内容だったので敢えて warm な色使いにしたと。

多くの画家が文哥を上に配置するが、この作品では敢えて道生を上に。道生は先人の死に化粧を施した時に気付きを得、自分なりの「破地獄」を遂行したのだと感じ、化粧筆を持たせた。道生の筆=文哥の剣である。円形に配置した瓦は劇中の「破地獄」の儀式から着想を得たそう。

Eric Fung 馮詩羽:噴畫 後出の Shannon Ma の工作室で働いていて、後に独立。

文哥は許冠文。Mr. Booの面白可笑しい人物というのが一般のイメージとして浸透しているので、敢えて考えの古い厳しい親父的な表情の許冠文を使った。これまで許冠文を使ったポスターで正面からの顔を捉えたものが無いので、本作品では敢えて正面からの顔を描いてみた。

基本的には噴畫なのだが、中央の二人は顔のサイズが小さすぎて噴畫では無理だとなって手描きした。それでも顔のパーツなどが小さすぎて、もう老眼入っているので描く時に本当に苦労したと。

黃宣游:書法家 ご本人が来られなかったので監督が代わりに揭幕。オリジナルの掛け軸が上階に展示されている。

「破」の字が左右はみ出ているのは地獄を破った状態を表現している。手書きで「破」の字を書き、その後「地獄」の字を載せたところ、インクの相性が悪かったのか「獄」の字が剥がれてしまった。当初はしまった、と思ったが、「地獄を突破したから獄の字が薄れた」という解釈になり得るとして、「獄」の字が剥がれたままを使った。

Man僧:破地獄の儀式では火を使うので、このポスターの角を燃やしてみようかとも思ったのだけれど、結局、紙が燃えている感じの四隅にすることで抑えた。作品中で Michael Hui 許冠文は古い考え方のオヤジなので、こんなガハハ笑いはあまりしていないのだけれど、自分が子供の頃に観て来た許冠文は常に面白いことをやってくれる楽しい人というイメージなので、敢えてガハハ笑いの表情をポスターにもってきたと。

Pen So:映画の中で杜鵑(カッコウ)が飛ぶシーンがとても印象的だったので、子華神の周りにに杜鵑を飛ばした。

上部の許冠文の周りにあるのは雲ではなく地獄の妖気。手に実は剣を持っており、剣を突き刺した紙が燃えている様を表している。二人の視線が全く絡み合わないのは、二人の性格や考え方が嚙み合わなっていないことを表現している。

孫威軍 ご本人がいなかったので老友の W Wong(李小龍會会長兼大南天梯CEO)が揭幕。

父と娘の間に道生がいることで、二人の関係性を道生が上手く解き放つ媒介となったことを表現している。

Sam Tse 謝森龍異:こちらもご本人おられなかったので監督が揭幕。

赤い部分に道生が立っていることでこの世を表し、黒い部分を見つめる文哥で自分の死を見つめる文哥を表している。

Caxton Cax

主な登場人物を全て描き、その人物同士の関連性を表すような配置にしている。

Ray Wong: 彫刻家 これは絵画によるポスターではなく、陶器を張り付けた立体ポスター。精密度が凄い。この世とあの世を対比するということで子華神を逆さまにした。陳茂賢導演が、持って帰りたいけれど家が狭くてこんな大きな作品を置けないと言うと、どのパーツが欲しいどのサイズでと言ってくれれば作りますよと応じる。

David Lo 盧永強 こちらもご本人不在の為監督が代わりに揭幕。

ヨーロッパの映画祭の雰囲気で描いてみた。中文は小さくし、真ん中のタイトル名は英文タイトルを使った。t の文字は全て十字架になっている。

咳神

戇男

道生と文哥が談笑しているシーンを描いているが、道生はカラーにしてこの世を表し、文哥のモノクロはあの世を表している。

Jerry Cho 曹志豪 映画を観た時に Michelle Wai 衛詩雅がこれまでにない芝居を見せてくれて印象深すぎた。鑑賞前にある程度の構想を考えてあったのだけれど、衛詩雅がどうしても頭から離れず、もう仕方ない!と彼女だけを描くことにした。主演のお二人さえ出現しないこんなポスターは怒られちゃうかな、とお茶目な解説。

Shannon Ma 馬富強:噴畫 広告業界の神イラストレーターとしても有名、龍迷には更に言わずとも知れた彼。リアルさと立体感は群を抜く。絵・イラストはまずは本人に似ていなくちゃ話にならない、リアルさが最低限であり全てであると。今回は時間があまり無かったこともあり、Michelle Wai 衛詩雅を途中まで描いたもののやっぱり完成できなさそうだから消すかな、と思ったこともあったけれどなんとかやり遂げられました、と笑いながら話してくれる馬哥。龍哥はもう描きすぎて飽きちゃったので、今回違う人物を描くのは楽しかった。実は最近とあるアーティストの凄い技を見て自分も練習してできるようになったので、リアルさが増強され、これまでと違った色の使い方ができるようになった。今、いろいろな人物を描き貯めているので、いつか発表できるといいなと思ってるんだよね、とこっそり見せてくれた人物画が凄いパワーだった。画集にして出す日が必ず来ると思うので皆さん乞うご期待。

Felix Yip 葉偉青
「破地獄」の儀式では火花が散る。この絵に散らばる火花は、文哥の為に文玥が「破地獄」を行った際の火花をイメージしている。

Terence Choi 蔡耀東 黒がメインでプラスチックのカバーを被せてあるので、どうしても反射して上手く撮れず。

白い部分はこの世。上部に惹かれた水平のラインは様々な人と人との関係性が断絶していることを表す。そして最後に文玥が父の為に「破地獄」を行ってそれぞれの断絶を溶かしたことを曲がりくねった金色の線で表現した。

鄺志傑

漫画家として非常に優れた技術を持つ。大小さまざまなドットを背景に散らすことで卓越した画風を作り出している。

ひとしきり紹介し終わって、陳茂賢導演がオフィシャルからの注文でいろいろとポーズ。

そして三樓の服裝道具展へ。

上がりきったらまた可愛い床が見えてきますよ。

入り口の解説ボード。

紅磡が葬儀屋が集まってる地区って知ってるよ。monthly apartment があって、そこに宿泊してる人たちを毎日送り迎えしてたから。やっぱりちょっと独特な雰囲気があった。

そして中はこんな感じ。

この掛け軸が素敵すぎて好きすぎて、バーン!バーン!バーン!バーン!ってトラック・インかけちゃったよ。

下階にあった Shannon Ma 馬富強のポスターの原画。新しいテクニックを取得して、子華神の肌感とか許冠文の額の皺が更にリアルに描けるようになったと喜んでいた。

こちらは写真。

香港の優先場でも東京国際映画祭でもチケット取れなかったので、私は実は未見。今夜の特別包場のチケットを監督がくれたので今夜観てくる。感想はまた別途アップすると思う。

『破・地獄 The Last Dance』海報創作展/道具劇照展
Upper Deck Tai Nan 大南天梯(大南街173號)にて
11月9日から12月1日まで

【2024年11月17日追記】
「破・地獄」電影全集 予約開始 $188 11月21日頃配本予定
電影スチル、クルーへのインタビュー、脚本完全収録
ハード・カバーで書籍表紙はポスター、その上に別途カバーが付く(下記4種類から予約時に選択)

カバー選択肢は下記(左から衛詩雅、許冠文、黃子華、朱柏康)

会場では、その他これまで発売されてきた映画関連書籍も同時に販売中。

阿Dee サイン入り「毒舌大狀」電影劇本は残り2冊。阿Dee ファンはお早目に。

以下は本日の大南天梯。解説ツアー前からこの熱気。

解説ツアー中は皆真剣に話を聞いてくれていた。


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