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電影鑑賞記『這裡是吾家 Here』(2024)

おひとりさま聖誕節3本目は『這裡是吾家 Here』。随分前から trailer を観てとても期待していた1本。

カメラ位置(アングル)を固定し、その家で過ごした家族の物語を追いかける、というような感じの謳い文句だった。アングルを固定して描くというのがとてもチャレンジングだし、Robert Zemeckis と Tom Hanks は傑作『阿甘正傳 Forrest Gump』のコンビだし、絶対に面白いに違いないと大きな期待を胸に臨んだ。

ポスターも宣伝も全部この感じなので、てっきり Young家のお話だと思っていたら・・・(以下ネタバレいっぱいなのでご注意)

オープニングで地球が出来、氷河期が来て、ジュラ紀だか白亜紀だか知らないが恐竜が走り回る。え?なに?どゆこと?から始まる。

原始人的な男女二人が出てくるのだが、これがCG使い過ぎてアバターっぽいし(それを狙っているのだろうが)、身に付けているのが完全に「今の服」で、歴史を語る狙いなのだとしたら現代的になり過ぎていてファンタジーとして物語に入り込めない。

実はこの場所には大きな岩があって、18世紀あたりかの貴族が初めてここに家を建てる時に掘り出すことで歴史を描くことを意図したのであろうが、別にそんな小細工要らなくない?最初から平地でいいよ?

そしていくつかの家族が出てくる。Young 家の先祖か?いや違うか。と、何がなんだかよくわからないままにあれこれ進んでしまう。

そしていよいよ Young 家の話が始まる。まずは Al と Rose がこの家を買うところから。そして子供たちが生まれ、親は年老いていき、子供たちは成長していく。Richard が恋人の Margaret を連れてくる。trailer に出てくる Richard の「今夜(の残りの時間)をここで過ごしてもいいよ」に Margaret の「残りの人生をここで過ごしたい」があって、この夜のせいで奉子成婚となってしまう。なのだが、Richard、君には自分の部屋があるだろう?なぜ、Living Room のソファなのだね?カメラの前でのストーリー展開が必要だからなのかもしれないが、このシーンは必要かね?

そして Young 家の話が進む途中途中で、例の原始人夫婦や、発明家と典型的な変なテンションの妻、貴族、ヴァイオリンを弾く娘と母親、そして多分 Young 家がこの家を手放した後の買い手であろう Black の家族(ちょうど今の時代的な家具、髪型、服装なので将来のことを示唆していると想像。)などなどの生活の一瞬が頻繁に差し挟まれる。なぜに?物語の途中でだれないようにする為なのだろうが、そんなに沢山必要か?発明家と妻など、無意味に尺が長いので、早く Young 家の話に戻してくれー、となってしまう。

私としては Young 家の家族の話を時系列で描くだけで十分だと思った。なので、まず最初の恐竜時代が断然不要。原始人夫婦も不要。先立った妻は皺くちゃなのに夫はそれほど老け顔になっていないのが違和感。これも別になくてもいいよね?

そして何よりも Tom Hanks の顔の処理がディープ・フェイク的処理をしているのか、おじいさんになっているはずなのに皺が少ない。妻の Margaret の皺は上手い具合に年齢と共に刻んでいるのに、男性全般の皺処理が甘いのはなぜだ?

Richard と Margaret の別れの原因もなんとなく Margaret に責を負わせているような、ホモソーシャル的な感じがして気分悪い。

Robert Zemeckis はこの作品で何をしたかったのか?AIを駆使した近未来的な作品に仕上げたかったのだろうか?それにしては処理が甘すぎる。大昔の『Back to The Future』の方がよっぽど時代の先をいった造りになっていたぞ?『Forrest Gump』チームの再結集に期待し過ぎた私が悪いのかもしれないが、思ったほど面白く無くて驚いた。この直前に観た『教宗選戰 Conclave』が面白すぎたが故にこの作品には正直ガッカリした。

高先電影院にて鑑賞。★

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