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「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第8話

黒猫コムギ(2)

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ボクたちは、朝早くに見つけたそのちっちゃな黒猫ちゃんを家に連れて帰った。


じつは、ボクたち兄弟は、子供のころからずっと猫と一緒に暮らしてきていて猫のことについては少しばかり詳しいのだ。

だからと言って、猫語が分かったりしゃべれるという訳ではないのだが。

顔つきと体格をみれば、その猫が大人の猫であれば、雄か雌かの判断ぐらいはだいたいつくし。

そしてその猫の歯をみれば、だいたいその個体が若い猫か年寄りの猫かも分かる。

歳を取った猫は、歯が一部欠けて居たり、歯茎が痛んでいたりするが、歯茎が痛む原因の多くは。

ペットフード以外の、人間が食べるものを上げたりする事が原因の場合もあるので気をつけなければ成らない。

そして猫は、外猫であれば、雄猫はテリトリーを持つので自分の縄張りに侵入する他の雄猫を追い払うために威嚇や激しい咬み合いの喧嘩をする事もある。

ボクは、以前、その喧嘩を止めようとして猫を抱きかかえた時に興奮している猫に噛みつかれてかなりの怪我をした事もあった。

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それから、ボス猫が、自分のテリトリーを肩をいからせ尻尾をピンと上げてのっしのっしと歩く姿は惚れ惚れするほどだ。

しかし、いっけん自由で伸び伸びとしているように見える外猫の世界は。

じつは暑さや寒さの厳しい環境以外にも、感染症や皮膚病に寄生虫や交通事故に、農薬や除草剤などの薬剤の危険とも隣り合わせで至極過酷な世界なのだ。

だから、猫を飼う場合には、田舎だからと言って自由に家と外を行き来させることは慎むべきで。猫や人間の安全の為にも完全室内飼いにした方が良い。


そんなボクらであるので、その黒猫ちゃんが、たった1匹で2日続けて大声で鳴いている事に不自然さを感じていて。

妹のサクラは、

「たぶん、親猫とはぐれてしまったのかも知れないわね」

と言ったのだった。


そのころ連れ帰った黒猫ちゃんは、どうしていたかと言うと。

とりあえず入れておいた少し深めのダンボールの箱の中で「ミャーミャー」と可愛い声で鳴いていたのだった。

喉が渇き、お腹がすいているだろうと、最初は、少しだけ与えてみると水もご飯も喜んで食べていたのだった。


しかし、ちっちゃな黒猫ちゃんは、とっても可愛いのだが。

ボクたち2人は、さてこれからどうしたものだろうかと、じつは途方にくれていたのだった。

さて、その理由とは・・・。

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連載小説(不定期)
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連載小説(不定期)「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第8話「黒猫コムギ(2)」

終り

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コメント 2020-07-15 154257

2020.9.5




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