ぞっとした話「こんばんは!」すき間亭日記
あれは、今から数十年前の、秋も深まった風の強い日の事でした・・・。
その日は、親戚の者が、踏切で事故に遭ったという知らせがあり、家の者はみな慌てて出かけていったのでした。
当時、小学校の高学年であった僕だけが、ひとり家に残り留守番をしていたのです。
僕は、茶の間でテレビを観て過ごしていましたが。
事故のことが気になって、テレビを、ただぼんやりと眺めていたのでした・・・。
知らせが来たのが、夕方になる少し前で。
時間と共に、だんだんと夕闇も迫り、辺りも薄暗くなって来た時の事です。
玄関で声がしました
「こんばんは、こんばんは」
と・・・。
僕は、誰か来たのかなと思い、玄関へ行き引き戸をガラガラと開けました。
ところが、引き戸の向こうには誰もいなかったのです。
僕は、おかしいなと思いましたが、それほど気に留めることはありませんでした。
しかし、それから少しして、また玄関で声がするのです
「こんばんは、こんばんはー」
と。
僕は、また玄関へ行き、先ほどと同じように引き戸を開けましたが。
そこには、やはり誰もいなかったのです。
辺りを見回しても誰もいません。
薄暗い空に、冷たい風が、ピューヒューと吹いているだけでした。
僕は、きっとこの風の音を、人の声と聴き間違ったのだろと思ったのでした・・・。
それからしばらくして、また玄関で人の声がするのです
「こんばんは、こんばんは」
と。
二回も、おじような事がありましたから。
今度こそ、人の声であるかどうかをよく聴いて、人の声である事に、確信を持って玄関へ行き引き戸をガラガラと開けました・・・。
すると、そこにはやはり誰もいなかったのです・・・。
僕は、
「そんなはずはない! 確かに人の声だったのに」
と心の中で叫びました。
それと同時に、僕の心を恐怖が支配し、全背筋が寒くなってゾーっとしました。
僕は、急いで玄関の戸を閉めると家に駆けあがりましたが。
しばらく怖ろしさで体の震えが止まりませんでした・・・。
昔から、よく虫の知らせ、とか言われていますが。
この体験も、後になって考えてみると。
きっと、その人が、僕の家に知らせに来たのではなかったのかなと思ったのでした。
まだまだ、この世界には、人間の科学では解明できていない、不思議な事が沢山あるのではないかと思えるような出来事でした・・・。
「すき間亭日記」は有料記事マガジンですが。投げ銭方式ですので無料で読むことができます。もしもご購入や投げ銭やサポート頂けると、クリエイター活動生活や、老猫の治療費などとても助かります。
記事やマガジンをご購入サポート頂いた皆様です。
どうもありがとうございます<(_ _)>。
るりぼん様 自分のために泣いてくれた先生の話
ai様 マガジン 押し花
ももまろ˚✧₊⁎ Kakuhito⁎⁺˳✧様 聞く耳を持たない人も放っておく
みけ*るーちぇ様 【オンライン展覧会】 しずえ.T 絵画展
ももまろ˚✧₊⁎ Kakuhito⁎⁺˳✧様 まろの日記
宮島廣子様 遠い記憶 十七話
アルプ・スナフキン(Alp・Snufkin)様 note復帰のお知らせ
菊地正夫様 雨あがりⅡ【エッセイ】六〇〇字
宮島廣子様 遠い記憶 十一話
ももまろ˚✧₊⁎ Kakuhito⁎⁺˳✧様 未来の自分へ、今の自分から申し送り
空cassava様 ダブルレインボー
ももまろ˚✧₊⁎ Kakuhito⁎⁺˳✧様 差別は要らないので ももまろ拝
なぐなぐ様 なぐツー(旅日記)
アルプ・スナフキン(Alp・Snufkin)様 アルプ・スナフキン スケッチカフェ
小太郎様 忘れられないこと
ai様 ハッピーバレンタインデーの押し花カードを作りました♡
宮島廣子様 子供に教えられた事
ボトルの中のメッセージ様 O.M.Y.
ももまろ˚✧₊⁎ Kakuhito⁎⁺˳✧様 今日を生き抜いたら、それで充分
3階のネコ様 マガジン 僕の世界は美しい
菊地正夫様 結核病棟(5の5)【エッセイ】三〇〇〇字
宮島廣子様 今日は、クリスマス。
ボトルの中のメッセージ様 地上を見上げて
ももまろ˚✧₊⁎ Kakuhito⁎⁺˳✧様 マガジン まろの日記
使用画像 ACイラストより
2023.3.11 3.13加筆
この記事が参加している募集
ご無理のない範囲で投げ銭や記事のご購入やサポートでの応援を頂けましたなら幸いです。高齢の猫(定期的な抗生物質注射が必要な為)の治療費に使用したいと思っております。投げ銭や記事のご購入やサポート頂けた方には、X(ツイッターフォロワー合計7万)で記事を共有(リポスト)させて頂きます。