香水/瑛人 自己満足解説
今流行っているアーティスト瑛人の『香水』ですが、なぜ人気になっているのかを自分なりに解説したいと思います。
私がこの曲を聴いて一番最初に持った感想は、『他人への記憶は様々な経験や思い出よりも匂いの方が残りやすい』ということ。
街中ですれ違った誰かの香水を嗅いで「あ、これアイツの匂いだ」という経験、これは誰もが経験したことがあるのではないでしょうか?少なくとも私はあります。その時の儚さや切なさは言葉に出来ないことが多いと思います。そう、一瞬で忘れかけていた記憶が走馬灯のように蘇るのです。
この『香水』という曲は、主人公と元彼女、両方が変わってしまった気がします。しかし、元彼女の香水だけは変わっていなかった。だから主人公は変わっていないようで変わっている現実に戸惑っているのではないのでしょうか。歌詞から紐解いていきたいと思います。
夜中に いきなりさ いつ空いてるのってライン
君とはもう三年くらい会ってないのにどうしたの
あの頃 僕達はさなんでもできる気がした
ふたりで海に行ってはたくさん写真撮ったね
ここは特に突っ込むところありませんが、私個人的な意見を申しますと3年ぐらい会っていない相手にいきなり「いつ空いてるの?」ってラインを送れる人の精神力がすごいなと感じました。昔の2人を思い返しているのですね。
でもみてよ今の僕を
クズになった僕を
人を傷つけてまた泣かせても
何も感じ取れなくてさ
この主人公は何も感じられなくなるぐらいに心が死んでしまったのでしょうか?でも心が死んだ人間が自分のことをクズだと認識できるものなんでしょうか?私は、まだこの主人公には綺麗な心が残っていると思っています。
別に君を求めてないけど
横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの
その香水のせいだよ
結局、主人公は元彼女に会ってしまったのですね。そして横にいられるような環境に居る。元彼女を求めてないけど、香水のせいで昔の綺麗な思い出がすぐに蘇ってしまい混乱しているのでしょう。それがまだ「好き」の感覚なのかは主人公本人は分かっていないでしょう。
今更君に会ってさ
僕は何を言ったらいい
かわいくなったね
口先でしか言えないよ
どうしたの、いきなりさあ
タバコなんかくわえだして
悲しくないよ悲しくないよ
君が変わっただけだから
この文章はとても複雑な心境を表していると思います。主人公は何を言えばいいのか分からなくなっています。元彼女はタバコを咥え出したり、主人公が知っている元の彼女ではなくなっているのですね。でも容姿は昔よりも可愛くなり、きっと経験を経て今主人公の隣にいるのでしょう。そして何も感じなくなったはずの自分の心が微かに「悲しい」と感じているのでしょう。ですが主人公は無理やり「悲しくない」と自分に言い聞かせて、彼女が変わっただけで自分は変わっていないと自己暗示をかけます。きっとお互いが変わったのに…。
でもみてよ今の僕を
空っぽの僕を
人に嘘ついて軽蔑されて
涙ひとつもでなくてさ
この主人公はどれぐらい心が枯れてしまったのでしょうか?嘘をついて軽蔑されても涙ひとつでない人間なんて沢山いますが、本人はやっぱりそんな自分を「空っぽ」と表現するぐらい人間性は失われてないのでしょう。
別に君を求めてないけど
横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの
その香水のせいだよ
別に君をまた好きになる
ことなんてありえないけど
君のドルチェ&ガッバーナの
香水が思い出させる
主人公は自分は元彼女のことをまた好きになることがあり得ないと言っていますが、果たしてそうなのでしょうか…。基本的にこの歌詞に出てくる主人公は天邪鬼のような気がしますので、本当は好きになりそうなのではないかと思います。
何もなくても
楽しかった頃に
戻りたいとかは思わないけど
君の目を見ると思う
別に君を求めてないけど
横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの
その香水のせいだよ
別に君をまた好きになる
くらい君は素敵な人だよ
でもまた同じことの繰り返してって
僕がふられるんだ
結局主人公は期待してますよね。例え好きになったとしても結局は僕が振られるから意味ないと。この曲はあまり細かく主人公の心情を描いていませんが、とても沢山の隠された思いが主人公にあるなと思いました。この甘酸っぱい恋の言葉に出来ない表現力はスタンディングオベーション級です。
そしてもうひとつ、私がこの曲を評価したいのはこの作曲方法です。実はこの曲、最初から終わりまでたった「4つのコード」しか使用していないのです。
A♭、B♭、G7、Cm7
上記のコードしか使用していないのです。専門的な話にはなってしまいますが、この曲のA♭はⅣのコード(サブドミナント)、B♭はⅤのコード(ドミナント)、Cm7はⅥのコード(トニック)になります。ではG7はなんのコードかといいますとこれは「借用属7の和音」と呼ばれる和音になります。ここがこの曲のミソ。この「借用和音」と呼ばれるコードをちょこっと入れることがこの曲のミソになります!その他は基本的には3つのコードで歌が進行しますが、サビの「ドルチェアンドガッバーナ」のところにもこの借用和音は使用されております。まぁ、これは音楽をやっている人にしか分からない少しマニアックなことなのですが…笑
まぁ何が言いたいかといいますと、たった4つのコードでも美しい曲が成り立つということですね!!!笑 本当に音楽の世界はとても深いです!実際に演奏で表現できればいいのですが、、、今回は文字だけで失礼します!笑
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