2011年の、就活生は。 <その1>
2011年3月11日。
まもなく卒業を迎える学生時代の私は、焦りと諦めがないまぜになった心で、都内某所の「ラストチャンス!合同就職説明会」みたいな名称の就活イベントに参加していました。そう、もうすぐ卒業なのに、まだ就活をしていたのです。
「ゲームとか、ITの仕事がしたいなあ」と思いながらのふわふわタイム(なんもしてない期間)が災いし内定を得られず、ずるずると活動を続けて既に3月。「新卒採用」のステージはもはや後輩の2012年卒に移っています。いつもみんなからワンテンポ遅れがち、初めて買ったポケモンは赤でも緑でもなく青バージョンな私も、いまだに「無い内定」はさすがにヤバい!と気づいていました。
そのイベントに参加していた就活生は100名ほど。ほの暗い目をした「無い内定」の仲間たちが会場に集まり、誰もが「こんなに就職決まってないやつ多いんだ」という謎の安心感と「三週間後にはもう学生じゃなくなってしまう…」という当然の焦燥感を共有しているようです。内定が得られない、それだけで人の心は千々に乱れてしまうのです。
そんなゾンビのような気持ちで企業ブースに並んで面談を待っていると、「ミシッ」と変な音がしました。
おや?と思い天井を見上げれば、すぐに立っていられないほどの強い揺れが建物全体を襲います。一瞬、ざわついていた会場内が静まり返ったように感じました。
やがて、止まない揺れに耐えきれず誰かがあげた甲高い悲鳴を合図にするように、阿鼻叫喚の大混乱に包まれる合同説明会。さっきまで沈んだ顔をしていた就活生たちは叫びながら会場出口に殺到します。
「みんな元気やん!声出していこ!」そんな不謹慎な突っ込みが心の中に去来するも、叫びだす元気すらなかった私は丈夫な就活用カバンを頭に乗せながら、照明が揺れる高い天井を眺めていました。なんかもう、茫然。
館内に流れる「この建物は安全です!落ち着いてください!」というアナウンスを聞き、ようやく(どうやら、大変なことになっているぞ)と思い至ったのです。
【今回の反省ポイント】
就職・転職活動は軸がブレていたり、動機がはっきりしないままだと長期化してしまう可能性が高いです。そして、長期化しなくても不意のトラブルはつきもの。「こんなはずじゃなかった…」という茫然自失からは早めに立ち直ろう!
■コロナ禍に感じるシンパシー
就職・転職中の皆様、先行きの見えないもやもやした日々をいかがお過ごしでしょうか。
新型コロナ影響広がり8割近くが就活継続 https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu431/
これまで「就活が2011年でめちゃくちゃ大変だったんですよー!」ということを持ちネタにしていたのですが、コロナの影響は同じく歴史の教科書に刻まれることになるでしょう。苦労した方、されている方、ぜひお友達になってください。ともに恨みつらみを吐き出しましょう。
あの3月11日を境に世界は変わってしまい、以降戻ることはありませんでした。そして私が「ラストチャンス!合同就職説明会」(仮)で出会った企業も震災影響で採用を停止し、私は内定を得られないまま「変わってしまった世界」に放り出されることになったのです。ここから、私の職探しの旅路が始まったのでした。
もしかしたら、これから誰かに起きる苦労や災難を先取りしているかもしれません。
成功している人の体験談もモチベーションアップにつながりますが、失敗談からも学べることはあるはず!ということで、就活・転活の骨休めにトホホなエピソード集にお付き合いください。
(次回・【飛び込み営業編】に続く)
【この記事を書いた人】
NAME:こなごな
新卒で就活先なし・転職3回と華麗な(失敗をしてきた)経歴と失敗談を持つライター。ITスキルはギークに憧れるナードレベルだが、なぜかテクノロジー系の執筆機会が多く焦って勉強中。好きなYouTube動画は動物が捕食しているやつ。
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