アインシュタインが語る「宇宙的宗教」とは
物理学者アインシュタインが神や宗教をどのように語っていたのかという興味深い書籍『アインシュタイン、神を語る(原題:Einstein and the Poet, 1994年刊)』より引用。著者は詩人・社会学者のウィリアム・ヘルマンス。
この対話は1948年9月14日にあるキリスト教牧師となされたものの一部である。つまり、第二次世界大戦、ユダヤ人のホロコースト、原子爆弾の使用といった出来事の数年後におこなわれている。そして、アインシュタインは、人の福利を国家や教会への忠誠に優先させねばならず、そのためには「宇宙的宗教(cosmic relegion)」が必要だと述べた後に上記の引用が続く。
アインシュタインが神を語るとき、スピノザがよく登場する。基本的にはスピノザが考えたような「第一原因(first cause)」としての神、能産的自然としての神を彼は考えていた。それは彼の相対性理論や宇宙観とも合致するものであっただろう。
牧師がキリスト教とユダヤ教の違いなどにこだわる議論を展開するのに対して、アインシュタインの述べる「宇宙的宗教」のほうがより大局的観点に立っているように思える。神が実際に存在するとしても、それは擬人化されたものではないだろうし、宗教・宗派の違いを超越するような、より普遍的なものだろう。