三百四十六話 ペットボトル

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


あっという間に期末試験も終わり…。

冬休みも明日からという日のこと…。

明日から冬休みということで…。

宮園花子さんが住んでいる寮に…。

ご招待された私…。

学校の裏にある寮は、古びた洋館で…。

今の学校の前身に当たる学校を…。

リフォーム?した寮ということで…。

よく言えば味のある洋館なのだった…。

洋館の壁にはびっしりと蔦が絡まっており…。

悪く言えば、何か出そうな雰囲気の建物で…。

私は怖いなーやだなーと思いつつ、中に入るのであった。


花子さんに案内されつつ…。

寮の中に入った私だけれど…。

寮の中は薄暗く、月明かりを頼りに歩かなければならない。

そのぐらい足元が不安なのであった…。

花子さんは慣れているらしく、スイスイ歩いて行ってしまう。

必死に着いていく私…。

花子さんの寮の部屋は3階にあるというので…。

階段を登りつつ、どうにか3階についた私たち…。

3階についても廊下は裸電球がちらほら付いてるだけで…。

廊下も薄暗いのである…。

そのとき、私のスマホが振動していることに気づいた…。

スマホを取り出し見てみると…。

グレモリーからSNSのDMが届いていて…。

グレモリーというのは私がお世話になっている女性の名前だ。

グレモリー曰く、花子さんは生命エネルギーが低下していて。

生と死の間にいるような存在になっており…。

非常に危うい状態なのだという…。


その文面を見た私は、ハッとして花子さんの手を離してしまった。

花子さんは私の手を引いて、寮を案内していたのだ…。

私は花子さんが霊的な存在になってるのかと思って…。

思わず手を離してしまったのだ…。

私はそういうのが苦手なのである…。

花子さんはやはり、身体が半透明になっており…。

身体が透き通っている…。

これが生と死の狭間の存在なのか…。

でも見ているうちに、花子さんの可憐な姿に…。

私はいつの間にか見惚れてしまうのであった…。


花子さんの部屋に入った私…。

花子さんはもう過ぎてしまったけれど…。

私とクリスマスをお祝いしたいと言って…。

紅茶とケーキを振る舞ってくれた…。

クリスマスも終わっていたので…。

チキンがなかったので、唐揚げも持ってきてくれた…。

ケーキに唐揚げか…。と私は思ったのだけれど…。

唐揚げが異様に美味しくて…。

いっぱい唐揚げを食べてしまう私…。

なんと、この唐揚げ花子さんの手作りだという…。

うまいうますぎる、この唐揚げ…。

ありがとう花子さん…。

手作り料理を久しぶりに食べた私…。

感動してしまうのであった…。


ご飯も出してくれて、たらふく唐揚げを食べた私。

そのあと、ケーキも食べ紅茶も飲み寛ぐ私…。

何か大事なこと忘れているような?

紅茶を飲んで、尿意を催した私…。

「ごめんなさい、トイレ貸して…」

私は花子さんにそう言い、トイレを案内してもらった…。

トイレに入り下着を脱いで、便座に腰掛ける…。

そのとき、ハッとして私は思い出した…。

花子さんが生と死の狭間の存在になったので…。

グレモリーは花子さんを助けてとDMに書いてあったのである。

花子さんと初めて会った時…。

花子さんは天使側の人間たちによって…。

生命エネルギーを抜かれた状態だったのだ…。

そのとき、私は花子さんを助けてあげたのだ…。

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