『絶対帰還。』クリス・ジョーンズ著(光文社)書評
*本稿も、時事通信で書かせていただいた書評の再録です。本稿で触れている本書の内容に一部誤り(ないしは誤解)があることを、SF翻訳家の大野典宏氏にご教示いただきましたが、初出のままの収録とさせていただきます。
アポロ十一号の月面着陸は私が六歳のときだ。その後長い間、宇宙開発とは「未来」「進歩」と同義語だった。その一方でアポロ一号の惨事や十三号の危機、スペースシャトルの二度にわたる爆発事故など、そこにはつねに危険や犠牲がつきまとうことも学んだ。本書の原語の副題「宇宙における生