四十女、涙のワケ
(1,400文字程度)
先日、同級生T子と久しぶりに飲みに行ってきました。T子は幼稚園からの付き合いで、こ洒落たレストランも良いけど、神々しいパイロットランプの灯る老舗のお好み屋へ。そこで”しっぽり”と話した「四十女、涙のワケ」について綴ります。
■T子の職場での話・・・
T子の職場に、皆んなから頼られる1人の優秀な女性がいました。リーダーでもある彼女は、最近体調を崩して会社を休んでいました。
T子自身、3年前に管理職のストレスからメンタルを壊し、1年の通院を経て退職した経験があり、その女性のことを、以前から気にかけていました。
数週間後、彼女は職場に復帰し、T子と2人になったタイミングで「迷惑かけたね。今日からまたお願いね。」と、穏やかに笑ったそうです。
そんな彼女を前に、T子は、ただただホッとして、涙が止まらなくなってしまいました。休んでいた理由は聞いていなかったのですが、過去の自分の姿を重ねていたのだと思います。
T子は、レモン酎ハイを飲みながら、
「元気な姿を見ただけで、泣けてきたんだ。」
と笑いました。
■己の涙に不安になる
「心配ないよ。そりゃ歳だ(笑)」
そう言って2人で大笑いしたのですが、T子は続けてこんなことを言いました。
「こういう時に涙とか出ると・・・」
「もしかして、私またメンタルやられてる?って心配になる。」
溢れでた本音に、最近わたしも友の顔を見た瞬間、言葉に詰まって涙があふれた時のことを思い出しました。
ひと月ほど前、手術をしたと聞いていた友人に、お見舞いを渡しに行った時のこと。久々に会う友は少し痩せていて、でも変わらず太陽みたいな笑顔で、もうそれだけで言葉に詰まってしまい、涙があふれてきました。
「やだー、何で泣くのよー(笑)」
とか言うから余計に泣けてきてしまって、その時ふと「あれ、わたし今、情緒不安定?」と、一瞬不安になったのでした。
■四十女、涙のワケ
今もこれを書きながら、思い返しただけで少し涙が出てきます。でも「自分大丈夫かな?」と不安になる事はありません。
最終的に、いまを心穏やかに生きていて、良い状態だからこそ、こういう涙が出るんだという結論に至ったからです。
悔しいや苦しいだけじゃなく、嬉しいや良かったーという安心感でも涙は出ます。と同時に、自分のメンタルに一瞬不安を覚えたりもします。
”安堵の涙”は、きっと歳を重ねるほど増えていく
”慈愛の涙”も、”平和の涙”も、この先増えていく
そこにはもう、愛しかない
こんな風に、幸福を感じてあふれ出る涙が、四十女らしい涙だと思うんです。ホッとして、何か温かいものが込み上げるような、そんな涙です。
■Surrender:諦めて受け入れる
涙は、私たちの体に必要ないものをリリースする過程と言われています【Resilience:回復力】。と言うことは、ほほ笑みながら泣けるなんて最高じゃない?不安になる必要もないし、 情緒不安定でもない。
歳を重ねた経験が、相手の背景をよりクリアに想像させてくれるから、誰かを想って、相手に寄り添えるようになったからこそ流せる涙。そう考えると、自然に涙がでることは尊く、涙もろさも愛おしく思えてきます。
出るものは出る。
だから私は、諦めて心ゆくまで涙だだ漏れで行きます(笑)
【Surrender:諦める・降参する】