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研究:国境の長いトンネルを抜けると・・・「いき」の世界であった。
九鬼周造は『いきの構造』でこう言っている。
“要するに、「いき」は「浮かみもやらぬ流れのうき身」という「苦界」にその起源をもっている。”
『北国』というタイトルからはとんと想像もしていなかったのだが、本作はその「苦界」にある女を、物語の話者である男が訪ねてゆく話である。
その女は十九。ひなには稀な美しい女だった。
芸者というわけでもないが全くの素人とも言えない、ワケありの女だった。
片田
レビュー:惚れたアタシが悪いのか
走る汽車の車窓から外を眺める男。
暮れゆく雪景色を背景に、そこに映り込む乗客の娘をジッと観察し続ける目線から物語は始まる。
主人公である駒子とこの語り手の男の関係が本作の柱であるが、語り手の男・島村は「観察する者」としてこの世界に存在している。
彼の人となりを形成する背景もチラと垣間見えるが、本筋とはあまり関係なく、あくまで「駒子が惚れた男の描写」としてのみ存在するように思える。
けっく、ヒロイン