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オススメ映画を紹介するよ! Jホラー最前線(?)編

副題何にしようかなあって考えてて、「B級邦画ホラーへようこそ」にしようと思っていましたが、それじゃああまりに失礼かなあって思って変えました。ただ、嫌味ではなくて、日本では重厚なホラーってなかなかないような気はしています。今回は最近サブスクで見た2人の監督2作品ずつ紹介します。

真・鮫島事件

佐々木菜奈は高校時代の同級生たちと毎年恒例の部活会をリモートで開催するが、仲間のひとりのあゆみが姿を現さず、代わりに画面に現れたあゆみの彼氏の匠が、あゆみが壮絶な死に顔で息絶えていたことを知らせる。20年以上前、ネット掲示板の「2ちゃんえる」で「鮫島事件」という都市伝説が流行し、事件の真相に触れたものは必ず呪い死ぬとされていたが、あゆみは仲間の裕貴、鈴と3人で「鮫島事件」の発祥の地とされる廃墟に行っていた。そして、その日からあゆみの様子はおかしくなっていた。やがて、恐れおののく菜奈たちにも鮫島事件の呪いが伝染する。

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都市伝説「鮫島事件」自体よく知りません。ネット上の流行って、ネット上の住人にはよく知られていても、一般にはあんまり広がってないんですよね。「だから結局鮫島事件って何なのよ?」という問いに対しては、映画で一応説明されているものの、なんかあやふやではありました。

設定も無理があって、呪いが伝染するのは良いとしても、リモート飲み会のメンバーの部屋が異世界に閉じ込められてしまったり、それでもネットで検索できたり、片付けたフルートが意味ありげに出てきてもその伏線は回収されなかったり。

それからマンションを舞台にしたホラーにありがちな「窓付きのエレベーターで自分の部屋に向かおうとすると、窓から各階に同じ幽霊が見える」シーンがここでも登場しました。コレって、幽霊には何のメリットもないんですよ。エレベーターのスピードに合わせて各階に瞬間移動しているか、各階に分身を配置させている、っていうことでしょ。本気で怖がらせたいんだったら、幽霊もエレベーターに乗り込めばいい話で。コレはつまり、映画を見ている人を怖がらせる効果しかないんですよね。

活躍を期待した小西桜子は途中でフルートを吹いて退場。主人公武田玲奈は、問題解決のために自分の兄に助けを求めるものの、お兄さんはまるっきり巻き込まれ被害。理由もよくわからないまま、最悪の結末へ。

ホラーとしては中途半端ですが、みんながマスクしていたり、リモート飲み会してみたり、既に忘れ始めているコロナ禍の日常を映画の中に記録したのは、この時代のホラー映画に必要なことだったのかもしれませんね。

きさらぎ駅

2004年、「はすみ」と名乗る女性が、この世に存在しない「きさらぎ駅」にたどり着いた体験をネット掲示板にリアルタイムで投稿していたが、突然書き込みが止まったことで様々な憶測を呼び、現代版「神隠し」として話題となった。それから十数年後。大学で民俗学を学んでいる堤春奈は、「きさらぎ駅」を卒業論文の題材に選ぶ。投稿者「はすみ」の正体が葉山純子という女性だと突き止めた春奈は、調査の末にようやく彼女と連絡を取ることに成功するが……。

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コチラもネット上の都市伝説を取り上げた「きさらぎ駅」。「真・鮫島事件」と同じ永江二朗監督ということですが、だいぶ整理されていて、面白く見ることができました。

主人公の堤春奈(恒松祐里)は、異世界から生還した葉山純子(佐藤江梨子)に話を聞いた後、自ら「きさらぎ駅」を訪れます。これって、ゲームで言うと攻略方法を知っている状態でNew Gameに挑んでるってことなんですよね。だからゲームオーバーになるフラグを回避しながら進行できるわけです。それでは難なく春奈がこのゲームをクリアできるのかと言うと、当然そんなわけはなく。ツイストが効いたストーリー展開となります。この辺りの脚本が「真・鮫島事件」よりスッキリしていました。

ただ恐怖を煽るべきCGでの表現が、やっぱりチープな感じかしてしまうのが残念でした。作り物感が出ちゃうんですよね。

そしてなんと、まさかの「きさらぎ駅」続編が決定しています! 本作にも出演した本田望結が再登板。チープな部分が改良されていれば、さらに面白い作品になっているかもしれませんね。

忌怪島

南の島を訪れたVR研究チーム「シンセカイ」のメンバーたちに、不可解な死や謎が次々と襲いかかる。非科学的なことを信じないシンセカイの天才脳科学者・片岡友彦は、父の死をきっかけに島にやって来た園田環とともに真相を解き明かすべく奔走するが……。

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監督は「恐怖の村」シリーズの清水崇。「恐怖の村」シリーズについては別記事で書きました。

別記事でも書いたように、清水監督は、純粋に怖がらせるだけの映画ではなく、過去の因縁などを丁寧に描写する方向性になっていると思います。ホラーとしてはどうなのかは置いておくとして、清水監督の最近の作品を見るときには覚えておいた方がいいでしょう。

で、今回も過去の出来事が発端となっています。それ以外にVR世界とか、ユタのおばあさんとか、面白い要素はたくさんあるんだけれど、盛り込みすぎな気もしました。「女神の継承」みたいに、民間信仰とホラーは相性がいいと思うので、そちらに重点を置いたほうが良かったと思います。

主役の西畑大吾は、悪くはないですが「天才脳科学者」という設定はどうかな。売り出し中の當真あみ、ベビわるでお馴染みの水石亜飛夢、元乃木坂の生駒里奈などのキャストも頑張っていました。それより「恐怖の村」シリーズファンの方ならご存知のあのキャラクターが転生して登場したのが一番盛り上がったポイントだったりして。

ミンナのウタ

人気ラジオ番組のパーソナリティを務める「GENERATIONS」の小森隼は、ラジオ局の倉庫で「ミンナノウタ」と書かれた古いカセットテープを発見する。その後、小森は収録中に不気味なノイズと少女の声を聞き、行方不明となってしまう。事態の解決を急ぐマネージャーの凛は、元刑事の探偵・権田に捜査を依頼。メンバーたちに話を聞くと、彼らもリハーサル中に少女の霊を見たという。やがて霊の正体は「さな」という女子中学生であることが判明するが、彼女が奏でる呪いのメロディによって恐怖の連鎖が引き起こされていく。

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同じく清水崇監督作品。そして「GENERATIONS」のメンバーが本人役で登場するというある意味企画物の作品。「GENERATIONS」メンディーしか知らない(と書いていたらご結婚のニュースが飛び込んできました。おめでとうございます!)。

でもこの映画、普通に面白く見ることができました。設定は「恐怖の村」シリーズ、「忌怪島」と変わらず、過去の出来事が現代の呪いを引き起こします。で、「GENERATIONS」のメンバーが一人ずつ消えていくというストーリー。マネージャーの早見あかり、探偵役のマキタスポーツらがアクセントをつけています。

面白かったんだけどイマイチ突き抜けなかったのは、結局「GENERATIONS」のメンバーが本人役というそもそもの設定によるかもしれません。結論から言えば、メンバーは死にません。消えていたけど戻ってきて最後ライブまでしちゃいます。ホラーなんだったらやっぱり登場人物の死が最大の恐怖のはずなのに、そうはならないことがうっすら観客にもわかってしまう。あくまでフィクションなんだから、思い切って何人か殺してしまっても良かったのでは・・・。

途中中務裕太演じる中務裕太が霊感があることがわかったりして、これで霊能力バトルになったら熱いのにって期待しましたが、そうはなりませんでした。残念。

エンディングのライブ場面では、恐怖は続く的な余韻を残しました。そしてどうやら「あのコはだぁれ?」という作品に受け継がれたようです。ちょっとだけ楽しみにしています。

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