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オススメ映画を紹介するよ! 異国の香り漂うホラー編

邦画がハリウッド映画ばかり見ていると、世界がそれだけのように思ってしまいます。いやいや、世界は広いんですよ、ってことで、タイとノルウェーが舞台の、しかもホラーを紹介します。

女神の継承

タイ東北部の村で脈々と受け継がれてきた祈祷師一族の血を継ぐミンは、原因不明の体調不良に見舞われ、まるで人格が変わったように凶暴な言動を繰り返すようになってしまう。途方に暮れた母は、祈祷師である妹のニムに助けを求める。ミンを救うため、ニムは祈祷をおこなうが、ミンにとり憑いていたのは想像をはるかに超えた強大な存在だった。

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最初に言っておきます。犬が酷い目に遭います

國村隼の怪演が印象的な「哭声 コクソン」のナ・ホンジン監督が製作に関わっていると聞いて納得。ネチネチと謎が深まり、解決を見ない作風は似ています。


冒頭はリアルドキュメンタリータッチ。聞き慣れぬタイの言葉で語られるニムのインタビューなんかは本物の素人と見紛うほど。ジャイアンの母を思わせるニムの密着取材を軸に前半は展開します。

中盤からは異常行動をとるようになった姪のミンにも取材班がつくようになります。ミン役の女優さんはかなりの美人さんなんですが、終末に向けての変化は鬼気迫るもの。

ニムは友人の祈祷師サンティとともにミンの除霊をしようとします。除霊の儀式までの堰を切ったようなホラー展開が終盤。犬が酷い目に遭うのもこの辺り。ドキュメンタリータッチで静かな前半衣をかなぐり捨て、暗視カメラからのジャンプスケアスプラッタな殺害、ゾンビ的な危害など、やりたい放題です。衝撃のラストは実際に映像を見てください。


「女神の継承」はされたのか、「何」が「誰」に憑いていたのか、◯◯はなぜ死んだのか、盲目の女性の意味は、などなど、多くの解決されない謎が残され、深掘りしたくなる映画です。考察サイト見に行っちゃいますが答えは出ません。

最大の謎は、取材班が撮影したはずの映像を、編集したのは誰なのか、ってところかもしれません。

イノセンツ

ノルウェー郊外の住宅団地。夏休みに友人同士になった4人の子どもたちが、親たちの目の届かないところで隠れた力に目覚める。子どもたちは近所の庭や遊び場で新しい力を試すが、やがてその無邪気な遊びが影を落とし、奇妙なことが起こりはじめる。

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最初に言っておきます。猫が酷い目に遭います

こちらはノルウェー映画。「ミッドサマー」「LAMB/ラム」などと並べて「北欧系ホラー」と言われているとか言われてないとか。雰囲気はそれぞれ違っていて、共通するのは「冷えた感覚」くらいでしょうか。

大友克洋の「童夢」(未読)を下敷きにしているとのこと。大事にされる姉のために引っ越しをせざるを得ないイーダ、自閉症で言葉を発することができない姉のアナ、顔に白斑があり、親との関係も微妙なアイシャ、移民の子であるベン。心に何かしらの傷を抱えた子どもたちが念動力や精神感能力を持ち、子供特有の無邪気さでその力を発し始めることで起こる悲劇と、史上最も静かなサイキックバトル。大人も登場するものの、巧妙に介入が避けられたストーリーで、あくまで子供の世界で「解決」まで進んでいきます。

主人公はイーダでしょうか。ヒロインである彼女ですら、姉をつねったり、割れたガラスを靴に入れたりと、「幼い残虐性」を見せます。蟻を踏んづけたりした経験、みなさん、あるでしょ。ベンが「猫を酷い目に遭わせた」ことにより、彼女の何かが変わります。そこを素通りするのか、踏みとどまるのか。残虐性と、善悪の判断。いずれにしても、彼女は物語を通して成長していきます。今気がついたけど、大人の介入がないところでも子供は成長している、ってことなのかな。

サイキックバトルの際、靴が踏みしめている場所の砂がじりっじりっと動くところが最高でした。結構心に響く作品なので、余裕のある時に見てください。

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