大体8年間ぐらい待ったオッサンのメタファー:リファンタジオの体験版:モノローグをやった感想。
「PROJECT Re FANTASY」発表、いや、アトラスが新規IPの開発スタッフ募集をかけていた時から待っていた「メタファー:リファンタジオ」が完成、TGSビジネスデイで序盤丸ごとプレイできる体験版がすぐに配信されて大興奮のワシ!
選挙魔法発動? リアルでも選挙やってるよ! 兵庫県民なので、知事選、国選、ユークロニア大陸王位継承選挙の三連選挙ですよ。もう忘れられない一日になったね! (急に休みが消し飛びました。察してください)
そして、血圧が高くなりすぎて一回気を失う。ベッドの上で良かった。
いやね、ペルソナ3リロードやってたら、あまりにもリアルな平成の高校生活を学生時代のトラウマが思い出されて、知らない間にPTSDの症状で急激な高血圧になるのよね。楽しいけど吐きそう。
あと、P3Rやりはじめてから体調が悪いと思っていたら、今日なんか下血した。便器が赤いぜ。もうすぐ終盤だが、療養せねばなるまい。
いや、ワシの話どうでもええねん。
というわけで、かなり序盤でやってみたので感想を書く。
当然、ネタバレするので注意してください。
序盤のストーリーは結構唐突(だけど、計算済み?)
アトラス大好きおじさんは開始五分で存分に重厚な設定の虜になり、完全にユークロニア大陸の世界観にハマってしまった。
序盤はストーリー的にはよくあるファンタジーの導入部分であるが、種族間の差別意識、大陸を取り巻く権謀術数、そして、含みをふんだんに持たせる設定と演出で、徐々にただ事ではない状況に巻き込まれているのではないかという焦燥感が生まれてきた。
いきなり異質な現象に見舞われるペルソナに比べて、真・女神転生シリーズで日常が徐々に侵食されていく感覚に近いが、今作はファンタジー世界が現実世界でもよく見られるような毒に侵食されているような感覚である。
被差別種族の主人公に向けられるヘイトは、純粋な暴力ではなく生々しい罵声と差別意識からくる偏見。
そして、主人公が帯びていた密命は「逆賊ルイの暗殺」である。登場人物がそれに至る経緯はわからなくないが、状況は複雑で本当にルイを暗殺していいのかわからない。
と、序盤のストーリーはかなり楽しめたのだが、よく思い返してみると、かなり唐突な印象があった気がする。なんなら序盤は主人公が説明もなしに王都に向かっているので、割と雑である。正直わかりやすくはない。
気がつけば荒野に放り出されるので、戸惑いを覚える人も多いのではないだろうか。
ワシは公式が発表している情報をほとんどすべて確認しているので、そこまで唐突感はなかったが、初めてDLしてみた人は厳しいものはあったのではないか。
王都に向かうまでは結構よく見かける冒険ファンタジーの冒頭に近いが説明が明瞭ではない。北の関所の戦い以降でようやく状況が整理されてくるが、それまでは勢いで流されているので正直陳腐さすら感じた。ミュージカルぐらい話が急。
展開の唐突さはペルソナよりも強いので、不満点になるのでは。
しかし、序盤の部分はアトラスゲーにしたら地味で大きな展開がなく、全てがじれったい。
全体的に腹落ちしない感じがするのは、後半のカタルシスに向けてのものだろうか。今作のテーマは「不安」だそうで、全体的なビジュアルもなんとなくイライラさせるものが多い。特にテキストレイアウトは通常通りではなく、ペルソナ5以上に癖があって、もはや読みづらいまであるので、全体的に「混沌」なイメージがずっとある。
敵を倒しても不満が上がれば、主人公の人気も下がって、選挙で不利になるので、常に立ち回りを考えなければならなさそうだし、常にストレスは高めなのではないだろうか。
今回のシナリオはいかにフラストレーションをいい感じにコントロールするかが評価に関わってきそうである。おじさんは「難題に挑んでいるストレス」をいい感じみせるかどうかが今回のゲームの楽しみ方とみたで。
ただ、フラストレーションがたまったころに、アーキタイプの覚醒イベントが入るので、いい感じにご褒美がもらえるのなら気にならないかなと思う。覚醒イベントはペルソナシリーズよりもかなり癖があるので、これはこれで好き嫌い別れそう。中二病というよりも演劇演出っぽい。
最早アトラスの代名詞、動くアニメ的なUIとカットインに加えて、メタファー独自のアニメ映画的な演出。
シンプルに装備画面の定常的な演出でびっくりするゲームはアトラス以外であるのだろうか。ここに力を注いでいるのはアトラスだけではないだろうか。
P5以降、アトラスのアニメ的なUIの演出は世界一といってもいいだろう。ペルソナ5でも驚かされたが、メタファーはそれまでとは次元が違う。
最早過剰すぎる程に装飾的になったアニメ的なUIは、アートの領域に達していた。初見だと、それが装備画面だと気が付かないかもしれない。
画面を切り替えるトランジションも近年のペルソナシリーズでもひと手間加えたシーン移行が特徴的だったが、メタファーは全く異なる画面への遷移にアニメ的な要素のトランジションを多用することで、シーンの切り替わりをあまり意識することなく作品世界に没頭させることに成功していた。びっくりしっぱなし。
もはやプレイするアニメ映画である。
体験版の範疇では、ここはスポットスポットで適当に使っているだけではなく、盛り上がりのときにしっかりとアニメで魅せてくれる。UIが元々アニメ調なので、ゲーム画面からアニメ画面への移行も視覚的にスムーズで革新的だと思った。UIをガッツリ作りこんでいる効果がはっきり見える。
ただし、演出に凝りすぎたせいか、一部の文字が読みづらい。英語を読める人は装備画面やステータス画面で困ることはあまりないだろうが、補足的な説明は普通のテキストであるため、大きな要素はデザインで強調されているが、細かい部分はあまりにも普通であるので、落差が大きい。
アーキタイプの覚醒がクセある。
戦闘システム的にはペルソナに相当するアーキタイプであるが、かなり癖がある。もう一人の自分というよりも、こうありたい自分に近い。
覚醒シーンは圧巻で、胸に手を突っ込んで、鉄の心臓を取り出す。心臓は拡声器(≒マイク)になっていて、決意表明すると、アーキタイプが覚醒する。
演出が癖があって、舞台的なところで演説し始めて、急に観衆のような人だかりが現れたり、どや顔で決めポーズとったりする。かっこいい。
ペルソナは背後に立つジョジョのスタンドスタイルだが、今作はアーキタイプに変身する。要するに変身ヒーローになれる能力といってもいいのかもしれない。(ARMSのジャバウォックとかに近いかも)
ペルソナだと、状況に振り回されてとことん自分と向き合って覚醒するというやや受動的で手間がかかるのだが、今作は自ら決意を表明するという方法なので幾分かインスタントな印象がある。
登場人物の心が決まったら発動するような感じなので、結構唐突である。ストーリー上かなり伏せられた情報がある状態からアーキタイプ能力に目覚めるので、特に登場人物の掘り下げがペルソナほど深くはないため、説明不足感は否めない気がする。体験版の時点では謎の能力であるため、ペルソナと同等の見方をするといまいちに見えるのかもしれない。
ゲームシステム上は、ペルソナとさほど変わらない印象である。初代ペルソナのように付け替え可能であるが、イメージとしては世界樹の迷宮のジョブシステムをペルソナに落とし込んだような感じ。逆に見た目はペルソナやメガテンに似ているが、そこまで似ている感じでもない。シビアさやリトライ性を考えると世界樹に近い。強力な相手はFoEに近いので、「お手軽な世界樹」という印象で、同作のファンならイメージは付きやすいかもしれない。
戦闘自体が真女神転生シリーズのプレスターンに近いので、アトラスのターン制コンバットのエッセンスは存分に活かされている印象。良く落とし込んでいると思う。
正直やりすぎてて画面は見にくい。
画面の構成については、ちょっと文句を言いたい。
かっこいいけども情報の密度が高すぎる。ちょっとした文字や図形にもアニメーションや工夫が施されているので、全体的に圧が強い。ペルソナが漫画だとすると、メタファーは美術の画集に近い圧がある。
全体的に画面上の効果の演出として何となく不安感や苛立ちを煽るようなデザイン方針になっているとは思うが、効果の演出の範囲を超えているように見える。プレイしていて気力と釣り合わない時がくるので、気が抜けるシンプルな画面をどこかに作ってほしかった。20分に一回、胃もたれするぐらい味がこってりの画面。数分の間は演出が華やかでよさそうに見えるが、それ以降は画面が見にくく結構気が散るので疲れる。
今作はおそらくある程度のしっかりした大きさのディスプレイでプレイすべき情報の密度になっている。小さい画面だと要素が圧縮されすぎて、かなりのストレスを感じた。20インチ以上でも視線誘導を頻繁に行わないといけないので、この情報量だと見るのに苦労するのではないだろうか。
「あー、ゲームでもすっかな」のテンションだとすぐに疲れるので、「ぐへへへー! 今日はゲームやっちゃうぜー!」ぐらいのテンションがないとゲームに食われそう。
特に気になったのは魔力の結晶であるマグラ(六角形の白い靄みたいなやつ)が空中を漂っているのは世界観の補強的にいい演出なのだが、長時間見ていると目が散るのでもう少し調整してほしかったと思う。コンフィグでマグラ演出を調整できるようにしてほしい。
戦闘シーンも常に何かが動いているし、カメラもかなり近いので目がきつめである。
でも、その「クサさ」が売りでもあるからな……魅力として直すべきかどうか、その辺はどうともいえないな。
戦闘システムやアクションは進化しているのか……?
ゲームの快適性や戦闘システムは古臭さを感じざるを得なかった。
個人的にはゲーム部分に複雑さや斬新さを求めていないので、さほどマイナスではないのだが、ストーリーやキャラクターなどのアニメ的なコンテンツを抜きにした純粋なゲーム性というところで見ると人によっては退屈な印象を受けるのではないかと思った。
ワシのような世界観や設定に魅了された人は大絶賛であるが、ゲームとして見ている人はおおよそ良くて70点で留まるような印象なんじゃないか。いつものアトラスゲーであって、ハマれば面白いタイプのゲームで万人に勧められるゲーム性はあまりない。
特にアクション部分を作るのはかなり苦手な印象で、他社に比べて10年前の水準から進化していないイメージである。結構ぎこちない印象である。
いつものアトラスゲーという印象で、悪く言うと、ゲームのアクション部分はペルソナ5からあまり進化していないように見えるし、戦闘システムに至っては真・女神転生Ⅲからあまり進化していないように見える。(プレスターンのシステム自体がⅢで完成されすぎていたともいえるので、進化する必要があるのかとも思うが)
アクション部分が弱いのはアトラスの永遠の課題、というよりも、力はあまり入れないんだろうなというところ。触っている印象的に剣を振るモーションやカメラワークなどはP3Rの方がましである。新女神転生Ⅳに毛が生えた感じのアクション水準な気がする。アーキタイプのバリエーションで攻撃が変わるので、これで印象が変わるのだろうか?
全体的にうまく見せているので演出にごまかされているものの、ゲーム自体のプレイ感覚としては実は凡庸だったりする。少なくとも、エフェクトとUIと音楽で騙されているような印象を受けた。60点が120点になっているからOKだから問題はないんだけど、目と耳がなれるとマンネリにならないか。
今作のファスト&スクワッドも、画面上の見栄えはいいものの、少しややこしい。演出面は敵をガスガス叩いて、強敵が出て来たらカットイン(ぴきーん!)で戦闘入りが本当に気持ち良すぎるのだが、ファストとスクワッドを切り替える際にやや入力にてこずる感覚があった。ファストとスクワッドどっちで戦闘するかという判断は常に要求されるので、慣れるまで結構グダグダする印象である。
見栄えほどスムーズに移行するわけでもない。ワンボタンで誰でも軽快にかっこよくというわけではなく多少の練習がいりそうな感じもあった。おそらく、低難易度よりも高難易度にすると噛み合ってくるんじゃないかと思う。低難易度だとプレイヤーの感情的なリターンが少ないので、結構辛さが出てくる印象。悪いシステムではないけども、根本的に雑魚戦に何を求めるかで印象が変わってくる気がする。(雑魚戦とは哲学なのだ)
文句もあるが戦闘入りのカットイン演出と音楽が鳴るタイミングが気持ち良すぎる。ピキーンからのカットインで脳から変な汁が出て、ワシ的に全部OKにしたくなるぐらいにはおつりがくるのでこれでもかまへんかまへん。
あと、フィールドではシンボルエネミーと戦うシステムになっているがFF12のフィールドでのリアルタイムバトルに少し似ているなという感じ。フィールドで殴り合うFF12と違い、コマンドバトルをいかに有利にするかという感じファスト&スクワッドが導入されているので、やっていることは真逆ではあるが、やりたい方向性はかなり似ていると思う。ガリカの妖精眼で敵の強さ格上、同格、格下と分かるのもっぽさを感じる。
まとめ
結局、買いなんですか? と問われると、アトラス好きなら間違いなく買うべき。ほとんどアトラスのお祭りゲーといっても差支えはないので、ファンは買うべき。(というか、予約購入しとるじゃろ)
多分、デザインやUIからかなり癖があるゲームだと思われているが、アトラスの中でも(少なくとも体験版の時点では)結構マイルド目であるので、入門にオススメかもしれない。ゲーム性は結構平凡なので特に特殊な操作はいらない印象。
ファンタジー好きにもおすすめできる。ただし、剣と魔法の世界というには癖が強いので、ややSF的な要素やオカルト的な要素が許せるのであればおすすめできる。特に異世界感が強いファンタジーなので、世界観を考察する人ならかなりおすすめできると思う。
一般的なRPGが好きであっても、あまりおすすめできない。そこまで一般的な王道RPGではない。ファンタジーRPGが好きなひとはオカルト臭がかなりするのでむしろ癖が強くて苦手かもしれない。ゲームシステムはルールが分かりやすいのだが、基本的に先制されたら大損害、不利にならないためにアクション要素(ファスト&スクワッド)で先制するのが基本プレイのゲームなので、面倒なひとはとことん面倒だと思う。
一番近いRPGはニーアシリーズやDODシリーズだが、それらよりはいくらかマイルドである。登場人物が元気で明るいので、さほど暗くはないので、さすがにニーアシリーズ程深い絶望があるわけではないが、世界全体的に病んでいる空気感がある。
ファンタジー好きの間でたびたび話題になる中世暗黒時代みたいな雰囲気ではあるが、実際は現代の格差社会や国防問題などの現代社会問題を暗喩した世界感なので、持って回った感じがある。ここがストーリーのコア部分なのであるが、ここまで考察するとなると骨が折れそう。
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