CtoCサービスからSaaSのPMになって苦労した4つのこと
※こちらは STORES Advent Calendar 2022 19日目の記事です。
(初見の方は初めまして、昔からのお知り合いの方はご無沙汰しています。久しぶりのブログで緊張していますが、お手柔らかに読んでください〜)
2022年8月に STORES 株式会社 へプロダクトマネージャー(以降PMと記載)として入社しました曽根です。現在は STORES 予約 のPMとしてアプリ(予約者向け/オーナー向け)とWebを含めた一部の新規機能のプロダクトマネジメントを行っています。
前職ではCtoCプラットフォームのPMをしていました。現在2社目になり、僕自身SaaSプロダクトに携わるのは初めての経験です。5ヶ月間担当してきて感じることは、本質的にPMとして必要となる素養は変わらないが、役割や求められるものは異なるということです。
今回はSaaSプロダクトに関わり始めたこの5ヶ月間で、個人的に苦労した点に関して、どのようにキャッチアップしたのか(しようとしているのか)を含めて4つの観点から記載していきます。
1. ビジネスモデルの考え方
(初っ端から当たり前のことを言います)
前職のCtoCサービスでは手数料で収益をあげるモデルでした。
しかし、SaaSでは収益モデルが全く異なります。そのため目指すべきKPIや、ユーザーが認知してから継続的な顧客になるまでのセールスファネルも異なります。SaaS事業においてプロダクトがどのように機能し利益を生み出しているか、成長を測定するためのメトリクスを何と置いているかを把握するのに最初は苦労しました。
SaaSプロダクトに関しての用語に関しては認知していたものの、完全に理解していない部分もあったため、最初は概念の把握に数日間かかりました。ただ、SaaSは一定勝ちパターンや判例が多く出回っているため本や記事を読み漁ることでキャッチアップを進めることが出来ました。偉大なる本に感謝です。
2. プロダクトマネジメント業務における優先順位
CtoCではいかにスピードを上げて顧客に対して価値を提供するかの「機敏さ」を求められていました。そのため速くプロダクトを開発し、受けたフィードバックを改善に活かすための仕組みを整えることに多くのリソースを割いていました。そのためマーケットインだけではなく、プロダクトアウトでアイデアを出して、A/Bテストを通してPDCAを回していく開発方式を多くの場面で選択していました。
SaaSでも「速くプロダクトを開発し、受けたフィードバックを改善に活かすための仕組みを整える」部分は不可欠であると感じています。
しかしそれ以上に、SaaSをスケールさせるためにはよりターゲットを明確にし、提供価値を正しく捉え、届けることを求められます。そのためにプロダクトビジョンを掲げ、ロードマップの策定および優先順位付けにリソースを割くことが多くなっています。プロダクトビジョンやロードマップの策定に関しては、これまでより一層深く携わることを自分の中の新たな挑戦として設定し、日々具象と抽象を行ったり来たりしつつ、議論を重ねて進めています。
正直ロードマップには正解はないというのがこの5ヶ月間の感覚です。アプローチ方法に関しても、事業フェーズやプロダクト組織の思想、規模感、扱っているプロダクトによって異なります。そのためドキュメントやmiroを見ることを通して、他のPMの方の考えをインストールして自分の中に落とし込むことでキャッチアップをしています。
3. ステークホルダーの多様性
CtoCに比べて関わるステークホルダーの数はより多くなりました。社内に関して言えば、新規MRRやチャーンMRRに関わってくるためセールスやカスタマーサクセスのビジネスサイドの方とのコミュニケーションを密にし、要望を吸い上げた上で施策の優先度付けを行なっています。
また社外に関しては組織全体としてミドルやエンタープライズの顧客企業への向き合い方を考える必要もあります。
さらにデリバリーの観点でも異なる部分があります。CtoCの場合は即座にユーザーが使ってもらうことが多かったですが、SaaSに関しては業務する上での価値を認知してもらってから利用してもらう必要があります。デリバリー部分に関してはPMMの方やカスタマーサクセスの方と協力して進めています。
ステークホルダーを理解するためには、社内における各部署のミッションおよびPMとの関係性を把握する必要があります。こういった部分は組織図からはどうしても見えてこないため、入社直後に予約事業の各部署の方と1on1をさせてもらうことでミッションの理解とPMとの関わりを1つずつ紐解いていきました。
4.プロダクトに対する解像度の上げ方
toCの場合、エンドユーザーとなるのは個人単位になります。そのため、自分自身が利用することでプロダクトが提供している価値の解像度を上げることができました。また定量ログを見ることで一定ユーザーの行動は把握可能です。ターゲットに関してもペルソナを立てることもありますが、多様な用途を想定して抽象度の高いニーズを持つように余白を持たせることがありました。そのため規模感は万単位になることが多かったです。
一方 STORES 予約 に関しては自ら利用をすることもできますが、実際どのようにプロダクトを利用してくださっているかの細かなユースケースまで把握するには、業界全体やオーナーさん独自が持つ特有の商習慣に対しての洞察を持つ必要があります。
ユーザーインタビューや実際にオーナーさんが業務を行っている場に来訪するなど、定量データだけでなく定性的なデータを通してインサイトを得るようにしています。(この記事を書いている直後にもオーナーさんの元へ来訪することになっています。)
ターゲットに関してもセグメントを選定して展開されることが多くなります。結果、ターゲットの数は少ないもので数十社、多いものでも数千社の規模になることが普通です。数をこなして慣れるしかないのですが、この感覚に慣れるまで少し時間がかかりました。
また、STORES 予約 は予約者から見ると「予約」をするという行為だけですが、マルチバーティカル戦略をとっていることもあり、オーナー側から見ると多くのユースケースが存在しています。実際入社前に想像していた10倍くらい考えることが多く、奥が深い領域だと実感しています。(それがPMとして面白い部分でもあります)
最後に
今回はSaaSのPMを初めて担当するにあたって、苦労した点を記載していきました。まだ携わって半年ではあるので僕自身が見えていない範囲の観点も多く存在すると思っています。今回は割愛しましたが、toCを経験したことでtoBに活かせる部分も多くあります。(いつか書きます)
現在 STORES 予約 を担当しているPMは僕含めて3名です。顧客セグメントやプロダクトが多層化しやすいビジネスモデル上、プロダクトの成長に伴ってPMに求められる能力の幅は広がっていくことが想定されます。プロダクト戦略の観点で来年はより他プロダクトとの連携が求められるので、僕自身も求められる能力を伸ばしつつ、プロダクト組織全体での多様性を磨いていく一助になればと思っています。
色々書きましたが、何はともあれ作りたいものたくさんあるぞーって感じなので2023年も頑張ります。STORES 予約 のプロダクト開発に少しでも興味をもってくれた方がいたらTwitterでDMでもください〜!それでは〜
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