不幸で不運


みんな人の不幸とか不運の話好きでしょ?


人の不幸をエサにして「下には下がいるもんだなぁ」と優越感に浸りながら高笑いするんでしょ????


知ってるんだからな!!世の中そういう人間しかいないことを!!!!!知ってるんだからな!!!!!そこのお前ェ!!!!!お前だよ!!!目を逸らすな!!!!!こっちを見んかい!!!!なんだその哀れみの目は!!!やめろ!!見るな!!!!!


というわけでみなさまに僕の不幸歴をお伝えしたいと思います。不幸というか不運というか、間が悪いというかどんくさいというか、結果的に悲しい話なんだけれども。

需要があるかどうかは置いておいて、笑ってほしい。悲しかった出来事はせめて笑い話にして笑顔になって欲しい。


だって、人は笑顔が一番、美しいんだから。






01.産まれる時


さすがにこれは嘘だと思うが、一発目なのでジャブくらいの感じで流して欲しい。

予定通りに陣痛が来て病院へ搬送されたのだが、なかなか出てこない。長時間陣痛に耐えながらも一向に出てこないため、緊急帝王切開をすることに。

そしたらどうだ。
へその緒が体にぐるぐる巻きになっているではないか。そりゃあ出てこれないわと、術後に話を聞いた母は笑ったらしい。

分娩が停止される理由の中に回旋異常というものがあると、調べてわかった。通常、産道に合わせて頭を回しながら出てくるところが、上手く回れずに産道が通れなくなるようだ。

母は冗談半分で話していたので真偽は定かではないが、一応エビデンスはある。

僕が方向音痴なのも、多分この時の名残なんだと思う。地図を回転しないと読めないタイプ。Google Mapには本当にお世話になっている。




02.帰省直前


まだ保育園か幼稚園に通っていたころの話。夏休みに、父の実家がある四国へ帰省することに。早朝から支度を済まし、父は先に出て駐車場から家の前まで車を向かわせていた。

父の到着に合わせて母と家を出た時に、悲劇が起こる。

僕の実家は市営の集合住宅の1階で、家の前に出るには段差15cm程の階段を、5段降りる必要があった。戸締まりをしている母を背中に、我先に階段を降りて行った僕は、何を思ったか残り2段をジャンプで飛び降りた。

着地が出来ずに顔を思いっきりコンクリートの地面に打ち付けた。


そしたらどうだ。
右の眉尻から血を流しているではないか。
急遽行き先が四国から地元の総合病院に変更。まだ朝方で通常の受付窓口は開いておらず、緊急搬送扱いされる。6針縫った。

当然僕は帰省どころではなく、父だけお盆の挨拶で帰らせることになってしまった。

その傷は今もしっかりと残っている。




03.豆腐工場見学 : 前夜


小学5年生の夏休み、中国地方の親戚の家に2泊3日で遊びに行った。豆腐工場を営んでいるということで、2日目に自由研究のテーマとして工場見学をさせて貰えることに。

1日目の夜、食事の後にみんなで花火をした。
豆腐工場なんて滅多に見れないので、自由研究と言えども、とてもわくわくしていた。

花火も楽しい。明日の工場見学のためにお祝いしているみたいだ。

雲がなく星がよく見える田舎の夜空。
座って空を見上げようと、上半身を支えるために腕を体の後ろに伸ばして手を地面に置いたその瞬間。


ジュッッッッッ!!!!!!


という聞いたことのない音がした直後、左手がじんじんする。左手を見ると、人差し指の付け根の対角線上にある掌のふっくらした部分に、5mm程の黒い歪な円があるではないか。

ほくろではない。
花火の残りカスで、焦げていたのだ。

皮膚が炭化して固くパリパリになり、少し触れると炭が崩れて、本来皮膚の下にある薄いピンクの「身の部分」が顔を出した。暗闇の中でも黒いと思える程のかつて皮膚だった炭と、不気味な鮮やかさを放つ普段は見れないピンクの「身の部分」のコントラストを、今もハッキリ思い出せる。めちゃくちゃ怖かった。

掌の焦げと痛み。初めは何が起こったのかわからなかったが、次第に増していく痛みで現実を把握した時に、夜空へ泣き叫んだ。

当然花火は中止。

翌朝の工場見学も辞めようかとなだめられたが、それだけは頑なに断り、工場見学は強行された。いや、わがままと変な意地で強行させた。




04.豆腐工場見学 : Dejavu


朝の5:30。
泣き腫らした目を開けて、工場を営む母の姉と母の3人で、工場へと向かう。

全身を除菌し、顔の半分を隠すマスク、上半身を覆う白い割烹着のような作業着、帽子、ゴム手袋、膝まである長靴に履き替えて工場内に足を踏み入れる。

壁や床に、蒸気を逃がすためのダクトが張り巡らされているが、めちゃくちゃ熱いから充分気をつけてねと言われて、母の姉、母、僕の順で歩き始める。

最初の機械の前に到着して説明が始まろうとしたその瞬間。


ジュッッッッッ!!!!!!


という聞いたことがある音がした直後、左足の脛がじんじんする。恐る恐る左足を見ると、脛の真ん中付近に、白に近い薄ピンク色の縦長の楕円跡が付いているではないか。

もうこのパターン、知ってる。
ダクトに触れて爛れているのだ。

大人用の最も小さいサイズの長靴で足は隠れていたものの、やはり小学生にはぶかぶかで、足を浮かす時に長靴を置き去りにしていた。

つい数時間前に経験した痛みなので、瞬時に状況を理解して泣き叫んだ。抱き抱えられて工場から連れ出して貰い、処置をして貰った。

当然工場見学は中止。

最低限の既成事実として、完成した状態の豆腐を両手に乗せて写真を撮って貰った。顔は死んでいる。

どうやって完成させたかはもう覚えていないが、その年の自由研究は「豆腐工場見学ツアー」みたいなタイトルで提出した。全然見学してないのに。なんて図太いガキだ。





まだまだあるが、思ったより文字数が多くなってしまった。なので今回は不幸話 : 怪我編として、ここで一旦終わろうと思う。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。少しでも貴方に笑顔を提供できたでしょうか。

笑って頂けるなら、過去の痛い経験も報われるってもんです。


それでは次回、病気編
こうご期待ください。





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