底知れぬインド人
留学を目的にインドに滞在して3ヶ月目。
最初こそ日本とは常識レベルから全く異なる強烈なインドの刺激にスリルと充実感を感じていたが、良くも悪くも慣れてきたこの頃、単調な勉強中心の生活に退屈さを感じていた。そんなある日の授業中、普段はストイックに授業を進める講師と授業の初めから終わりまで雑談をした。初めてのことだった。
内容は他愛の無い話から始まったが、インドの政治の話や歴史の話、インド人のメンタリティについてとだんだん深くなっていった。
インドは一つの国であるにも関わらず地域によって言語が違う
日本の方言とは違って、全く異なる言語というのだ。
共通語はヒンドゥー語と英語。だから英語を話すための教育はインドでは大切。
UNITY OF DIVERSITY 多様性の連合
インドと言えばこの言葉。衝撃を受けるほどヒンドゥー、ムスリム、キリスト教などがお互い仲良く共存している。下はクリスマスのキリスト教のモニュメントの真隣にヒンドゥー教の寺院。
ヒンドゥーでは崇め祀られている牛をヒンドゥー教の寺院前で牛肉にして売り捌く店。もちろんムスリムが経営している。
一つ間違えば殺し合いでも起きそうなシチュエーションだが、みんな平和に暮らしてる。
ところが、2019年年末に可決された市民権改正法(他国からの宗教的に迫害されている移民を受け入れる但しムスリムを除く)
によりインドのアイデンティティが揺らがされているという。
インド人講師はムスリム。彼女は熱く語る。インドのタージマハール、首都デリーのレッドフォート(首相が重要な式典や演説の際に使われる城)はムスリム、ムガル帝国が築いた。これまでインド人として長くインドに生きてきたムスリムを除外しようとしている。
インドの大多数を占めるヒンドゥー教。現首相モディはヒンドゥー教徒。
国の大多数はヒンドゥー教徒だから選挙をすれば自ずと国の要職はヒンドゥー教徒になるのでは?
と質問したが、これは意外にもムスリムやクリスチャンも要職に就くという。
…これは、スゴいことではないかのか?
自由と多様性の大国アメリカでも黒人が大統領になったのはあのオバマ氏が初でありそれはセンセーショナルな事だった。
講師は言う
ヒンドゥーだろうがムスリムだろうがクリスチャンだろうが関係ない、私たちはインドを故郷とするインド人。インドを愛していて家族の絆を何よりも大切にする。離婚?そんなものは例外以外はあり得ない。
そんなこんなで授業は終わった。
日本とはあまりにもかけ離れた世界に生きるインド人。底知れぬインド人、自分は非常に重要かつ重大な時にインドにいる気がしてきた。
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