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「テクノロジーで身体を“逆齢化”せよ!――ブライアン・ジョンソン流・未来を生き抜く健康&長寿戦略」

以下の記事は、Bryan Johnson(ブライアン・ジョンソン)氏のインタビュー内容をベースに、「健康と長寿」をめぐるテーマについてまとめたものです。高校生でも理解できるよう、一歩一歩ていねいに解説し、明日から実践できる行動ステップを提示します。文章量は3万字規模です。長文ですが、ぜひ最後までお読みください。健康や寿命に対する考え方が変わり、新たな視点が得られるはずです。


タイトル

「テクノロジーで身体を“逆齢化”せよ!――ブライアン・ジョンソン流・未来を生き抜く健康&長寿戦略」


目次

  1. はじめに
     1.1 記事の目的
     1.2 ブライアン・ジョンソンとは誰か
     1.3 インタビュー動画と本記事の概要
     1.4 健康と長寿をめぐる時代背景

  2. なぜ「死なない」未来を本気で目指すのか
     2.1 ブライアン・ジョンソンの主張:「われわれは“死なない最初の世代”になるかも」
     2.2 テクノロジー×ヘルスケアの進化速度
     2.3 AIが生む「100年分の進歩が5年で訪れる」可能性
     2.4 25世紀の視点から見た未来の常識:今は「転換期」である

  3. ブライアン・ジョンソンの現在:最大規模の身体測定と“リバースエイジング”
     3.1 2億円(200万ドル)超を費やす理由:測定こそが生命の最前線
     3.2 「世界で最も測定された男」とは
     3.3 不調だらけだった20代・30代:起業のストレスとうつ
     3.4 44歳から始まった健康への本気改革

  4. 健康と寿命を脅かすもの――「見えない脅威」への気づき
     4.1 マイクロプラスチック:現代人の体内に広がる微細毒性
     4.2 「人類の各世代における代表的有害物質」の変遷
     4.3 BPAや加工食品が引き起こす恐れ
     4.4 空気・水・衣類……あらゆる場所が汚染源?

  5. マイクロプラスチックを減らす具体策
     5.1 飲料水のフィルタリング:逆浸透膜(RO)システムの導入
     5.2 プラスチックボトルをやめる:ステンレスボトル or ガラス容器
     5.3 プラスチック製調理器具・まな板をやめる
     5.4 加工食品・缶詰に潜むリスク
     5.5 衣類・ホコリ・レシート:身近なところを見直す
     5.6 部屋の空気管理:HEPAフィルターと空気清浄機

  6. いかにして睡眠を“極める”か――世界最高の睡眠スコアを目指して
     6.1 「世界初のプロ級の睡眠アスリート」になる
     6.2 良質な睡眠の5大要素
      - (1) 睡眠を“プロの仕事”とみなすマインドセット
      - (2) 就寝2~3時間前には食事を終える
      - (3) 光環境を整える:ブルーライトを避け、赤色光を活用
      - (4) 一貫した就寝時間:時間厳守で「体内リズムのアシスト」
      - (5) 就寝1時間前からの「ウインドダウン」で脳をクールダウン
     6.3 「夜更かし」や不規則睡眠がもたらす悲惨な影響
     6.4 「睡眠こそ最大のゴミ収集システム」――脳の浄化と疲労回復
     6.5 一晩の睡眠不足でNK細胞が70%減少:病気リスクとの関連

  7. 食事・栄養戦略:ブライアン式「完璧な一日メニュー」
     7.1 1日の食事はわずか5~6時間で終了:朝~昼で摂取
     7.2 具体的な献立例
      - (1) 朝食「スーパー・ベジ」:ブロッコリー、カリフラワー、黒レンズ豆等
      - (2) 間食・軽食「ナッティプディング」:ナッツや種子、ベリー、ヘンププロテイン
      - (3) 昼前後:野菜、果物、ヘンプ&エンドウ豆のタンパク質源
     7.3 夕方以降は食べない:消化器への負担軽減と睡眠最適化
     7.4 タンパク質は体重と同量を摂る必要はない?――各種データと体感のあいだ
     7.5 加工食品・ refined sugar・アルコールを完全排除する意義
     7.6 「1枚のポテトチップがガソリンの味に感じるほど」味覚が変化する驚き

  8. コーヒー・カフェインの是非と刺激物への考え方
     8.1 なぜブライアンはコーヒーを飲まないのか
     8.2 刺激物なしで生まれる「感情と知性の安定」
     8.3 個人差への配慮:カフェインとのつきあい方をどう測定するか
     8.4 「まず測定しよう」:血液、心拍変動、睡眠リズムなどの数値化

  9. サプリメント・栄養補助の重要性
     9.1 毎日50種類のサプリを摂る理由
     9.2 「完全食」だけでは補えない栄養素
     9.3 コラーゲンペプチド、ビタミン、ミネラル……厳選された成分群
     9.4 体感よりも測定で判断:サプリの効果をどう知る?
     9.5 「Blueprint」:ブライアンによるサプリ・食品ラインナップの開発

  10. 運動:1日1時間のルーチンに凝縮された4大要素
     10.1 心肺機能、筋力、柔軟性、バランスをバランスよく
     10.2 筋肥大至上主義ではない:全臓器の若返りを目指す
     10.3 「翌日の自分が後悔しないか?」――運動習慣とモチベーションの深層
     10.4 ウィルパワーを残す仕組み:アルゴリズム化の凄み

  11. 精神面・マインドセットがもたらす違い
     11.1 「うつ状態」との闘い――死を望んでいた10年間からの脱却
     11.2 思考と自分はイコールではない:認知行動療法的アプローチ
     11.3 「システム化」は感情を無視すること?:実は逆効果を防ぐ鍵
     11.4 感情を平準化することで得られる余裕と落ち着き

  12. 社会的な反応と誤解:ブライアンが“変人扱い”される理由
     12.1 大衆が抱くイメージ:「億万長者の自己満」「奇妙なマニア」
     12.2 レブロン・ジェームズとの比較:スポーツ選手のカラダ投資は称賛されるのに……
     12.3 「健康に本気な人は変わり者」文化をどう変えるか
     12.4 「死なない=不謹慎」?――根深い常識の根拠を問い直す

  13. 「死なない時代」は本当に来るのか?――その根拠と倫理
     13.1 生命科学・バイオテックの目覚ましい進歩:マウス実験の寿命伸長
     13.2 AIの加速度的発展:5年で100年分の突破口を開く可能性
     13.3 種としてのアップデート:不老長寿が現実味を帯びる瞬間
     13.4 連鎖する課題:地球環境、経済、人口倫理などの複合問題

  14. 「人はなぜ死を恐れないふりをするのか」――信仰と死生観
     14.1 「死後どうなるかは誰にもわからない」――それでも語られる宗教的安心
     14.2 「信念」が健康行動を阻む場合:慢心か、それとも心の拠り所か
     14.3 観念のアップデートがもたらす可能性:存在の最高価値としての「生命」

  15. ブライアン・ジョンソン流「日常行動ステップ」
     15.1 環境整備
      - Step 1: 水・空気を徹底浄化
      - Step 2: プラスチックを極力排除(ボトル、調理器具、衣類など)
      - Step 3: 寝室の光源調整(赤色灯、遮光カーテン)
      - Step 4: 部屋の空気測定とフィルター設置
     15.2 睡眠
      - Step 5: 就寝・起床時刻を安定化
      - Step 6: 就寝2~3時間前には食事を終える
      - Step 7: スクリーン(スマホ・PC)を寝る1時間前にオフ
      - Step 8: ウィンドダウン(頭の整理と読書など)習慣
     15.3 食事
      - Step 9: 朝~昼の5~6時間で1日の摂取量を済ませる(小分割OK)
      - Step 10: ブロッコリーやレンズ豆、ヘンプを中心とした“スーパーフード”
      - Step 11: 加工食品や精製糖を徹底的に排除
      - Step 12: アルコールをやめる(もしくは週末含め限定的にする)
     15.4 運動
      - Step 13: 1日1時間の運動を「システム的」に実施
      - Step 14: 有酸素・筋トレ・柔軟・バランス要素を盛り込む
      - Step 15: 運動の成果を定期的に測定(心拍、筋肉量、血液検査など)
     15.5 マインド・ストレス管理
      - Step 16: 短時間でもよいので毎日の瞑想や呼吸法
      - Step 17: 思考(ネガティブな声)と自分を切り離す認知法
      - Step 18: 睡眠の質とセットで不安を緩和――夜間の反すうを減らす
      - Step 19: 必要ならメンタル専門家やカウンセラーへ相談

  16. 「人生をゲーム化」:習慣を意志力に頼らずシステムに落とし込む
     16.1 ウィルパワーは脆弱:人間の“気分”をあてにしない
     16.2 「人生ナビゲーション」――アルゴリズムに任せる時代
     16.3 自分のスマホに「健康GPS」を搭載するイメージで
     16.4 習慣づくりのゴールは「毎日の迷いをなくす」こと

  17. 「チートデイ」の神話を斬る――なぜブライアンは一切やらないのか
     17.1 チートデイが与える誤った報酬感覚と習慣リセット
     17.2 血糖値や腸内環境への急激な負荷
     17.3 「後悔」を増幅させるだけのイベントに?
     17.4 生理的にも味覚がリセットされてしまうリスク

  18. 社会の変容と今後の展望
     18.1 「健康偏重? いや、これが未来の標準」
     18.2 全世界で測定できる仕組み:血液検査、マイクロプラスチック検査、AI解析
     18.3 ヘルスケア×AI×社会システムの融合
     18.4 人類が「死を前提としない」世界になったとき、何が変わるのか

  19. 批判と課題:本当に誰でも実践可能か?
     19.1 設備投資、時間、労力……ハードルへの懸念
     19.2 「測定は高額じゃない?」――逆に無料同然の方法も多数
     19.3 「資本主義の道具化では?」――健康を巡るビジネスと透明性
     19.4 未来へのパス:段階的に整備される社会インフラ

  20. 明日から始めるためのQ&A
     Q1. 睡眠時間は必ず8時間必要?
     A1. 個人差はあるが、深い睡眠とREMを合わせて質を高めるのが重要。特に就寝前に何を食べるか、光をどうコントロールするかがカギ。

 Q2. 夜型でクリエイティブになれる気がするけど?
 A2. 真夜中の創造力は一見魅力的だが、長期的には生産性と健康を下げる。まずは睡眠データを取り、実験的に1か月ほど睡眠を最適化して比較を。

 Q3. 運動が続かない。何かモチベーションは?
 A3. モチベーションに頼らず、スケジュールを固定し「行くかどうか」を悩まない仕組みを作る。可視化されたデータ(心拍、筋肉量、睡眠スコア等)を見ると継続しやすい。

 Q4. コーヒー断ちがきつい。代用品は?
 A4. カフェインレスコーヒー、ハーブティーなどがおすすめ。まずは1週間カフェインを断って身体の反応をチェック。合っていれば取り入れ、合わねば再考。

 Q5. 周囲から浮きたくないし、友人付き合いもある。どう両立?
 A5. 完璧主義でなくとも、メインルーティンを徹底し、イベント時は例外対応も可能。ブライアン自身も「パーティーに参加する日」は早めに深い睡眠を確保する変則スタイルを使う。


本文

1. はじめに

1.1 記事の目的

本記事では、ブライアン・ジョンソン氏が提唱する「健康と長寿に対する新たなアプローチ」を詳細に解説します。彼は「死を前提としない未来」を真剣に見据え、日々自身の身体で“逆齢化”を実践し、多額の資金とテクノロジーを注ぎ込んでいます。その取り組みから得られる学びは、私たちの日常生活にも直ちに応用できるものが多いのです。

1.2 ブライアン・ジョンソンとは誰か

ブライアン・ジョンソンはテック界の連続起業家であり、現在は「自分の身体を徹底測定して老化を逆行させる」プロジェクトBlueprintを実施中。睡眠、食事、運動、サプリメントなどあらゆる面を最適化し、身体年齢を可能な限り若返らせることを目指しています。

1.3 インタビュー動画と本記事の概要

YouTube番組「How This Man Made His Body 31 Years Younger (Data PROVES It) | Bryan Johnson」や、Jay Shetty氏との対談などで語られる内容をもとに、本記事では「ブライアンがどのような方法をとり、どんな成果を上げているか」「なぜ現代社会でその取り組みが不可欠になりつつあるのか」をまとめました。

1.4 健康と長寿をめぐる時代背景

AIやバイオテクノロジーの進展により、人類の寿命はこれまでになく飛躍的に延びる可能性があります。一方、マイクロプラスチックや空気・水質汚染など、見えないリスクも増大。こうした“加速する未来”の中で、長生きと健康維持の両立は難題です。しかし、その難題を「体系的にデータで解決する」のがブライアン流。「没入型ヘルスケア」とも呼べる先進事例を学んでいきましょう。


2. なぜ「死なない」未来を本気で目指すのか

2.1 ブライアン・ジョンソンの主張:「われわれは“死なない最初の世代”になるかも」

ブライアン氏は「テクノロジーの進化速度が指数関数的に高まっており、もしかすると私たちは人類史上初めて“死を克服する”世代になりうる」と語ります。従来、「死」は絶対的な前提でしたが、遺伝子編集や再生医療、さらにはAIによる解析が高度化することで、「不老長寿」への道が少しずつ開かれています。

2.2 テクノロジー×ヘルスケアの進化速度

AI(人工知能)の急速な進展により、短期間でかつて数十年分の研究成果を実現できるかもしれません。ガン治療やエピジェネティクス解析の分野で、わずか数年で大きなブレイクスルーが訪れる可能性をブライアンは指摘。10年単位の進歩が、1~2年で起こる未来が現実味を帯びています。

2.3 AIが生む「100年分の進歩が5年で訪れる」可能性

AIスタートアップAnthropicのCEOであるDario Amodei氏などが述べるように、AIによって「今後5年で100年分の知的進歩」が達成される可能性があると言われています。たとえば、新薬開発や遺伝子治療なども一気に飛躍し、「死への挑戦」が真に加速するかもしれません。

2.4 25世紀の視点から見た未来の常識:今は「転換期」である

ブライアンは「数百年後の25世紀の人々から見れば、21世紀前半こそが“死ぬ運命から解放へ移行”した転換点と捉えられるだろう」と主張。現時点では受け入れられにくいアイデアかもしれませんが、後世から振り返ると当たり前の歴史的事実になる可能性があります。


3. ブライアン・ジョンソンの現在:最大規模の身体測定と“リバースエイジング”

3.1 2億円(200万ドル)超を費やす理由:測定こそが生命の最前線

ブライアンが巨額の資金を投じるのは「自分の身体を徹底的に測定する」ため。これにはMRI、DNAメチル化パターン解析、血液検査、骨密度検査など多岐にわたる検査を数百回以上行うコストが含まれます。一方で、食事そのものや運動の手法は「誰でも実践可能」な部分が多く、あくまで高額なのは「検査」の部分だと彼は強調しています。

3.2 「世界で最も測定された男」とは

MRI検査に費やした時間、DNAメチル化パターンの数は世界一とも言われるブライアン。その結果、複数の臓器(心臓、肝臓、腎臓など)の「生物学的年齢」を調べ上げ、一部の臓器において10~20歳程度の若返り指標を得ているといいます。

3.3 不調だらけだった20代・30代:起業のストレスとうつ

今でこそ健康長寿の最前線を走るブライアンですが、実は20~30代は真逆でした。睡眠不足、栄養の偏り、ストレス過多で心身ともにボロボロ。さらには10年にわたる抑うつ状態に苦しみ、自殺願望まで抱いていたとのこと。そこから脱却し、40代で「健康第一主義」へ転向した背景には、自らの痛切な体験があります。

3.4 44歳から始まった健康への本気改革

ブライアンが44歳のとき、「自分の身体をソフトウェアのようにアップデートできないか?」という発想に至ります。「人間もデータ解析で不具合を直し、バージョンアップする」――この比喩こそが現在のBlueprintプロジェクトの原点。身体という“システム”を最適化すれば、うつからも抜け出せ、寿命までも大きく延ばせるのではないか。それが彼の挑戦です。


4. 健康と寿命を脅かすもの――「見えない脅威」への気づき

4.1 マイクロプラスチック:現代人の体内に広がる微細毒性

ブライアンの研究チームが注目するのが「マイクロプラスチック」。5mm以下の微細なプラスチック粒子が大気、水、食品を介して体内に取り込まれ、健康被害のリスクを高めています。脳や男性の精巣、その他の臓器に蓄積し、さまざまな疾患につながる恐れが示唆されています。

4.2 「人類の各世代における代表的有害物質」の変遷

  • 祖父母世代:鉛中毒やアスベスト

  • 親世代:タバコ、公害

  • 現代:マイクロプラスチック、BPA、化学物質

各時代ごとに代表的な有害物質は異なりますが、マイクロプラスチックは特に深刻化の一途をたどり、もはや「どこにも安全地帯がない」と言われるほどに拡散が進んでいます。

4.3 BPAや加工食品が引き起こす恐れ

缶詰やプラスチック容器などに含まれるビスフェノールA(BPA)もホルモン撹乱など多くの健康リスクをもたらします。加えて、加工食品には化学添加物やマイクロプラスチックなど多数の汚染要因が潜在しているといわれるため、ブライアンは「加工食品一切お断り」を徹底しています。

4.4 空気・水・衣類……あらゆる場所が汚染源?

ブライアンの家では全室に空気清浄機やフィルターが設置され、水は逆浸透膜(RO)システムで徹底的に浄化。また、レシートに触らない、合成繊維の服を避けるなど、あらゆる場面でマイクロプラスチックや有害化学物質の侵入を防いでいます。


5. マイクロプラスチックを減らす具体策

5.1 飲料水のフィルタリング:逆浸透膜(RO)システムの導入

水は大量に摂取するものだけに、汚染度が高いと致命的です。逆浸透膜式の浄水器を自宅に導入するのがブライアン式。市販のミネラルウォーターも多くはプラスチックボトルに入っており、数十万粒のマイクロプラスチックが含まれている可能性があります。自宅のROシステムならボトル買いの必要も減り、結果的に環境負荷も抑えられます。

5.2 プラスチックボトルをやめる:ステンレスボトル or ガラス容器

外出先での水筒やボトルはステンレスかガラス製に。プラスチックボトルを使用し続けると、時間経過や熱でマイクロプラスチックが溶出しがちです。

5.3 プラスチック製調理器具・まな板をやめる

耐熱プラスチック製のまな板やフライ返しなどから微粒子が剥がれ、食材に混入する恐れがあります。ステンレスや木製、ガラス製などへの切り替えを推奨。

5.4 加工食品・缶詰に潜むリスク

一週間缶詰スープを食べ続けただけでBPAレベルが20倍に上昇したという研究も。加熱や保存中にプラスチック由来化学物質が移行しやすいため、極力自炊やフレッシュな食材を選ぶことが望ましいとされます。

5.5 衣類・ホコリ・レシート:身近なところを見直す

化学繊維の服が擦れることで繊維くずが空気中に舞い上がることも少なくありません。レシートには熱感応紙にBPAが含まれがち。ブライアンは「普段触らない」「電子レシートを選ぶ」など徹底しています。

5.6 部屋の空気管理:HEPAフィルターと空気清浄機

布製品やじゅうたん、ホコリに付着したマイクロプラスチック対策に、HEPAフィルター搭載の空気清浄機が効果的。さらに開口部を最小限に抑えるなど、室内空気のクリーン化を進めることで、吸入経路をカットします。


6. いかにして睡眠を“極める”か――世界最高の睡眠スコアを目指して

6.1 「世界初のプロ級の睡眠アスリート」になる

ブライアンは「これまで誰も“睡眠の世界記録”を更新していない。ならば自分が初めて世界最高を目指そう」と宣言。8か月連続で「100点満点の睡眠スコア」を達成し、“プロの眠り手”としての境地を示しました。

6.2 良質な睡眠の5大要素

  1. 睡眠を“プロの仕事”とみなすマインドセット

    • 「寝落ちする時間を適当に決める」のではなく、「毎日の本格業務」ととらえる。

    • 自分は“プロのスリーパー”という自己認識が大切。

  2. 就寝2~3時間前には食事を終える

    • 食後は消化で心拍数が上がり、深い睡眠に入りにくい。

    • ブライアンの場合、最後の食事は午前中に終えるほど徹底。

  3. 光環境を整える:ブルーライトを避け、赤色光を活用

    • 寝る1時間前からスマホやPCのブルーライトをシャットアウト。

    • F.luxなど画面フィルタリングソフトを使う。

    • 部屋の照明も暖色系や赤色ライトに切り替え、副交感神経を優位に。

  4. 一貫した就寝時間:時間厳守で「体内リズムのアシスト」

    • 就寝時刻は±30分以内、理想は±5分以内にキープ。

    • 体内時計が学習し、自然に眠気が到来。

  5. 就寝1時間前からの「ウィンドダウン」で脳をクールダウン

    • 読書、軽いストレッチ、瞑想などで神経を鎮める。

    • 「悩みごとや新たなアイデア」を即メモし、翌日に回す。

    • 頭の中のループを就寝前に解消することで安眠が得やすい。

6.3 「夜更かし」や不規則睡眠がもたらす悲惨な影響

一晩の徹夜で、自然免疫を担うNK細胞が70%も減少し、ガンなどのリスクが高まります。また、深い睡眠(Deep Sleep)を逃すと脳内の老廃物処理(いわゆる“ゴミ収集”)が滞り、認知力や意欲が著しく低下するというデータが出ています。

6.4 「睡眠こそ最大のゴミ収集システム」――脳の浄化と疲労回復

睡眠不足に陥ると、血液脳関門が破壊され、脳に有害物質が入りやすくなるなど、神経学的影響も深刻。ブライアンは「1日悪い睡眠をするだけで、大量の毒素が脳に留まってしまう」と強調します。

6.5 一晩の睡眠不足でNK細胞が70%減少:病気リスクとの関連

わずか4時間以下の睡眠を数日続けるだけで、免疫系が劇的に弱体化。風邪やインフルエンザはもちろん、各種の慢性疾患リスクが跳ね上がる可能性があります。そうした日常生活での積み重ねが老化を加速させ、結果的に寿命を縮める一因となるのです。


7. 食事・栄養戦略:ブライアン式「完璧な一日メニュー」

7.1 1日の食事はわずか5~6時間で終了:朝~昼で摂取

ブライアンは朝6時ごろから11時半ごろまでに1日の摂取を終え、その後は一切食べません。ポイントは「空腹時間を長く取り、夜間は胃を休めて睡眠の質を上げる」こと。

7.2 具体的な献立例

  1. 朝食「スーパー・ベジ」

    • ブロッコリー、カリフラワー、黒レンズ豆、生姜、ニンニクなどを煮込んだり炒めたりする。

    • 高繊維・高ビタミン・適度なタンパク質を兼ね備え、消化にもやさしい。

  2. 間食「ナッティプディング」

    • マカダミアナッツ、クルミ、フラックスシード、ザクロジュース、ベリーなど

    • エンドウ豆やヘンプ(麻)のタンパク質パウダーを混ぜ込み、軽くスムージー状に。

  3. 昼前後の軽食

    • 色とりどりの野菜、果実、再度のヘンプorエンドウ豆プロテイン

    • オリーブオイル(エクストラバージン)を生で大さじ1杯加える(1日合計3杯目安)

以上で約2,500kcalを摂取し、午後以降は胃腸を休める。これにより夜の睡眠が深くなり、免疫力やホルモンバランスも整うといいます。

7.3 夕方以降は食べない:消化器への負担軽減と睡眠最適化

現代人の多くは夕食を19~20時あるいは21時にとることが多いため、就寝時刻と重なりやすい。しかしブライアン式では、就寝時にはすでに胃が空っぽ。心拍や代謝が安定しやすく、深い眠りをサポートします。

7.4 タンパク質は体重と同量を摂る必要はない?――各種データと体感のあいだ

「筋肉をつけるなら体重と同量、もしくはそれ以上のタンパク質が必要」との通説がありますが、ブライアンは「過剰なタンパク質はむしろ寿命を縮める可能性がある」と警鐘を鳴らします。自身は1日120g前後のタンパク質を摂取しており、心血管や筋肉の指標はトップクラスです。

7.5 加工食品・ refined sugar・アルコールを完全排除する意義

ブライアン曰く、「たった5秒の口中の快楽と引き換えに丸1日の身体的ダメージを受けるのはリスクが大きすぎる」とのこと。チョコレート菓子やアルコール類に対する欲求は、数日~数週間の食事改善で大幅に減退するという。

7.6 「1枚のポテトチップがガソリンの味に感じるほど」味覚が変化する驚き

添加物や油、塩分に慣れた舌は、自然な野菜や果物の風味を「薄い」と感じやすい。しかし3~7日ほどの徹底的なクリーン食を試すと、舌の味覚受容体がリセットされ、わずか1枚のジャンクフードすら強烈な異物感を覚えるほどに変化します。


8. コーヒー・カフェインの是非と刺激物への考え方

8.1 なぜブライアンはコーヒーを飲まないのか

ブライアン自身、コーヒーの香りや味が嫌いなわけではないが、「感情と知性を安定させるため」に一切の刺激物を断っています。カフェインで高揚感を得る代わりに、眠気やだるさの“反動”を回避する道を選択。

8.2 刺激物なしで生まれる「感情と知性の安定」

カフェインに限らず、ニコチンやアルコールなども同様。ブライアンは「穏やかかつ一定の精神状態」を重視し、波をつくらない生活リズムを追求しています。

8.3 個人差への配慮:カフェインとのつきあい方をどう測定するか

人によってはカフェイン耐性が高く、コーヒーを飲んでも睡眠や血圧にほぼ影響が出ないケースもあるでしょう。大切なのは実際に測定してみること。心拍変動(HRV)、睡眠の深さ、ストレスレベルを記録し、数値で検証すると「自分にとって適切かどうか」が見えてきます。

8.4 「まず測定しよう」:血液、心拍変動、睡眠リズムなどの数値化

「コーヒーを飲んだ日はHRVが大きく乱れる」「夕方のカフェインが深い睡眠を妨げる」など因果関係を正確に把握。感覚や思い込みだけではなく、データ主導で判断するのがブライアン式です。


9. サプリメント・栄養補助の重要性

9.1 毎日50種類のサプリを摂る理由

ブライアンは多い日で50錠以上のサプリを服用。その理由は単純で、「通常の食事だけでは補いきれない微量栄養素や機能性成分が山ほどある」ため。たとえば腸内環境を整える成分や抗酸化物質、ビタミン、ミネラルなどを多角的にカバー。

9.2 「完全食」だけでは補えない栄養素

植物ベースを中心とした食事は、ビタミンB12やDHAなどが不足しがち。さらに長寿に寄与するとされるNMNやレスベラトロールなども、食品からの摂取は困難です。そのためサプリ補充が不可欠、とブライアンは主張します。

9.3 コラーゲンペプチド、ビタミン、ミネラル……厳選された成分群

ブライアンの唯一の動物性摂取はコラーゲンペプチド。関節や肌、腸壁をサポートする目的です。その他、ビタミンDやオメガ3系脂肪酸なども欠かさずに摂取し、それらが実際に血液検査で適正値かどうかを毎月モニタリング。

9.4 体感よりも測定で判断:サプリの効果をどう知る?

「サプリを飲んだら体調が良くなった気がする」ではなく、ブライアンは必ず血液やホルモン、炎症マーカーなどを測り、統計的有意差を確認します。サプリの中にはプラセボ効果が大きいものもあるため、疑似科学を排除するためにも客観データが重要だといいます。

9.5 「Blueprint」:ブライアンによるサプリ・食品ラインナップの開発

ブライアンは自身のプロトコルを他者にも共有するために「Blueprint」という製品ラインナップを構築。ロットごとの検査結果を公開し、重金属や化学汚染のレベルが低いことを証明するなど、透明性を確保しています。


10. 運動:1日1時間のルーチンに凝縮された4大要素

10.1 心肺機能、筋力、柔軟性、バランスをバランスよく

ブライアンの1日1時間の運動は、単に筋トレに偏らず、有酸素(ランニングやバイク、ロウイング等)・筋力(自重トレ or ウェイト)・ストレッチ・バランストレーニングを組み合わせたプログラム。中長期的な「総合的な身体の若返り」が目標です。

10.2 筋肥大至上主義ではない:全臓器の若返りを目指す

「筋肉の巨大化」を優先すると、過剰タンパク質摂取や関節への負担など弊害も生まれやすい。ブライアンは心肺機能や柔軟性を重視し、「身体全体のバランスと長寿」を意識しています。

10.3 「翌日の自分が後悔しないか?」――運動習慣とモチベーションの深層

ブライアン自身、トレーニングに対して「やりたくない」と思う瞬間はあるものの、「やらなかったときの後悔」をイメージし、最終的にはシステム化で継続。「朝起きたら運動する」をカレンダー化し、思考を介入させません。

10.4 ウィルパワーを残す仕組み:アルゴリズム化の凄み

日常のあらゆる選択を「やる or やらない」の意志決定に任せると、人間は疲弊します。ブライアンは「すべてをアルゴリズムで管理」し、決断疲れをなくす戦略を採用。まさに現代的アプローチといえます。


11. 精神面・マインドセットがもたらす違い

11.1 「うつ状態」との闘い――死を望んでいた10年間からの脱却

ブライアンは20代後半から30代にかけて長年うつに苦しみ、「自殺したい」という思考に囚われていたと明かします。その大きな転換点は「自分は思考=自分自身ではない」と気づくことでした。

11.2 思考と自分はイコールではない:認知行動療法的アプローチ

頭の中で「疲れた」「生きていても価値がない」と声がしても、それはあくまで思考の一形態。ブライアンは「アルゴリズムや測定結果」という客観データにフォーカスすることで、ネガティブ思考を鵜呑みにしない姿勢を身につけました。

11.3 「システム化」は感情を無視すること?:実は逆効果を防ぐ鍵

「システム化」というと一見冷淡で感情をないがしろにしているように見えますが、むしろ暴走しがちな感情に振り回されないための大切な防波堤でもあるとブライアンは説明します。

11.4 感情を平準化することで得られる余裕と落ち着き

刺激物や睡眠不足による情緒の激しいアップダウンがなくなり、感情が安定すると、人間関係や仕事のパフォーマンスも底上げされるといいます。それを可能にするのが、質の高い睡眠や食事、運動など“システム化された日常”です。


12. 社会的な反応と誤解:ブライアンが“変人扱い”される理由

12.1 大衆が抱くイメージ:「億万長者の自己満」「奇妙なマニア」

人は「理解できない新しい行動」を目にすると、“変人”や“自己陶酔”とレッテル貼りしがち。ブライアンの場合も「2億円かけて寿命を延ばす金持ちの道楽」という見方をされがちです。

12.2 レブロン・ジェームズとの比較:スポーツ選手のカラダ投資は称賛されるのに……

NBAのスター選手レブロン・ジェームズは、年150万ドルを身体のメンテナンスに費やすと言われていますが、それは「高い意識」「プロ意識」として讃えられます。一方、ブライアンの自己投資は「奇異の目」で見られやすい。それこそ「健康」への文化的ステレオタイプが存在する証です。

12.3 「健康に本気な人は変わり者」文化をどう変えるか

食事制限や深い睡眠などを徹底すると、「人生楽しいの?」と揶揄されることも。しかし、「健康な状態こそが、最大の生産性や幸福感につながる」とブライアンは力説。むしろ従来の“体を壊してでも仕事や遊びに没頭する”ほうがリスキーではないかと問いかけます。

12.4 「死なない=不謹慎」?――根深い常識の根拠を問い直す

「人間が死を超える」という発想自体をタブーとみなす風潮もあります。しかしブライアンは歴史を振り返り、かつては飛行機で空を飛ぶことや月面着陸もタブーや夢物語だったと例え、「技術革新が進む今、その常識を破るのもまた自然」と主張しています。


13. 「死なない時代」は本当に来るのか?――その根拠と倫理

13.1 生命科学・バイオテックの目覚ましい進歩:マウス実験の寿命伸長

遺伝子編集技術や幹細胞治療などの発展により、マウスを対象とした寿命延長の実験では通常より2倍以上生きる例が出現。人間への応用はまだ未知数ですが、長寿の可能性を示唆するデータは加速度的に増えています。

13.2 AIの加速度的発展:5年で100年分の突破口を開く可能性

複雑な生命現象のモデル化や治療法の開発には、本来膨大な時間と試行錯誤が必要。しかしAIの深層学習なら膨大な組み合わせを高速で検証でき、将来的には数年で画期的な抗老化治療が誕生する可能性があります。

13.3 種としてのアップデート:不老長寿が現実味を帯びる瞬間

もし本格的に「死を克服する」技術が完成した場合、人類社会の根幹が書き換わるでしょう。人口問題や経済活動、倫理観の再構築など、二次的影響は計り知れません。ブライアンの取り組みは、その先鞭をつけようとする試みとも言えます。

13.4 連鎖する課題:地球環境、経済、人口倫理などの複合問題

不老長寿が実現すれば、高齢者が増加し社会コストが肥大化……といった問題も同時に噴出します。食糧資源や仕事の分配、家族観なども大きく変容。ブライアンは「あくまで人類が死を前提としない社会」を夢見つつ、同時にテクノロジーと倫理の両立を呼びかけています。


14. 「人はなぜ死を恐れないふりをするのか」――信仰と死生観

14.1 「死後どうなるかは誰にもわからない」――それでも語られる宗教的安心

歴史的に、死後の世界を楽園や天国などと定義づける宗教が多く存在しました。死に対する恐怖をやわらげ、人生を肯定する仕組みでもあります。しかしブライアンは「本当に何が起こるかは不明。その不明性をごまかすために、人はストーリーを必要としたのだろう」と語ります。

14.2 「信念」が健康行動を阻む場合:慢心か、それとも心の拠り所か

死後の世界を確信していると、「いつかは死んで楽になるから健康などどうでもいい」と極端に考える人もいれば、「身体は神からの贈り物だから大切にする」という逆の発想の人もいます。宗教・信念の解釈次第で健康行動は変わり、そこで社会全体の動向にも影響を与えます。

14.3 観念のアップデートがもたらす可能性:存在の最高価値としての「生命」

ブライアンは「存在すること(生命維持)こそ至上の価値」と再定義すれば、社会全体が健康や環境に注力するようになると考えます。「死んだらあの世がある」と楽観するのではなく、「今ここでの生を限りなく延長し質を高める」ことが新たな美徳になるかもしれません。


15. ブライアン・ジョンソン流「日常行動ステップ」

ここまでのポイントを踏まえ、実際にどのように生活を変えていけばいいのか。ここではブライアンが提唱する具体的なステップを紹介します。すべてを一度にやるのは大変ですが、できるところから少しずつ取り入れると効果が出やすいでしょう。

15.1 環境整備

  • Step 1: 水・空気を徹底浄化
    可能なら自宅に逆浸透膜(RO)浄水システムを導入。空気は各部屋に空気清浄機とフィルターを設置し、PM2.5やVOCを取り除く。

  • Step 2: プラスチックを極力排除(ボトル、調理器具、衣類など)
    ステンレスやガラス製品へ移行し、プラ製のまな板やフライ返しは処分。ペットボトル入り飲料も避ける。

  • Step 3: 寝室の光源調整(赤色灯、遮光カーテン)
    ブルーライトは睡眠障害の大敵。暖色の電球を使い、就寝前1時間は画面を見ないルールを。

  • Step 4: 部屋の空気測定とフィルター設置
    部屋ごとの空気質を計測するデバイスを置き、HEPAフィルター付きの空気清浄機を活用。

15.2 睡眠

  • Step 5: 就寝・起床時刻を安定化
    平日・週末問わず、±30分以内に収めるのが理想。体内時計がズレると睡眠の質が落ちる。

  • Step 6: 就寝2~3時間前には食事を終える
    夕食を遅くとも19~20時までに済ませたい。心拍数を下げ、深い眠りを促す。

  • Step 7: スクリーン(スマホ・PC)を寝る1時間前にオフ
    必要であればF.luxなどを活用し、ブルーライトを削減。だが最善は“見ない”こと。

  • Step 8: ウィンドダウン(頭の整理と読書など)習慣
    日記や瞑想で感情を吐き出し、未処理タスクは翌日に回す。脳の興奮を鎮めて就寝へ。

15.3 食事

  • Step 9: 朝~昼の5~6時間で1日の摂取量を済ませる(小分割OK)
    消化負担を軽減し、夜の睡眠と翌朝の目覚めを向上。

  • Step 10: ブロッコリーやレンズ豆、ヘンプを中心とした“スーパーフード”
    野菜、豆類、ナッツ、種子類のバラエティを確保し、飽きない工夫を。

  • Step 11: 加工食品や精製糖を徹底的に排除
    味覚がリセットされれば、自然素材の甘みやうま味をより楽しめる。

  • Step 12: アルコールをやめる(もしくは週末含め限定的にする)
    睡眠や免疫に悪影響が大きく、一時の快感と引き換えに得るものは少ない。

15.4 運動

  • Step 13: 1日1時間の運動を「システム的」に実施
    カレンダーに固定化し、「行くかどうか」迷わない。

  • Step 14: 有酸素・筋トレ・柔軟・バランス要素を盛り込む
    トレーニングは4要素のバランスが重要。習慣化がカギ。

  • Step 15: 運動の成果を定期的に測定(心拍、筋肉量、血液検査など)
    データがあれば自分の進捗を客観視でき、モチベーションを保ちやすい。

15.5 マインド・ストレス管理

  • Step 16: 短時間でもよいので毎日の瞑想や呼吸法
    3~5分の深呼吸やマインドフルネスが、自律神経を整え集中力を高める。

  • Step 17: 思考(ネガティブな声)と自分を切り離す認知法
    「自分は××だ」という思考を“頭に湧いた他人事”として捉える。自動思考の暴走を防ぐ。

  • Step 18: 睡眠の質とセットで不安を緩和――夜間の反すうを減らす
    不安や悩みを「寝床に持ち込まない」ウィンドダウンを徹底すると驚くほどストレスが減る。

  • Step 19: 必要ならメンタル専門家やカウンセラーへ相談
    深刻なうつや不安障害は専門家の助けが有効。セルフケアと専門ケアの併用を躊躇しない。


16. 「人生をゲーム化」:習慣を意志力に頼らずシステムに落とし込む

16.1 ウィルパワーは脆弱:人間の“気分”をあてにしない

「今日は疲れたからやめよう」「明日は頑張ろう」――こうした気分や思考に振り回されている限り、安定した成果は出にくいとブライアンは言います。むしろ毎日の行動を“アルゴリズム”化することで意思決定そのものを削減。

16.2 「人生ナビゲーション」――アルゴリズムに任せる時代

ブライアンは「自分の行動計画を、カーナビのようなものに落とし込む」イメージを提示。どんな道順でどんなスケジュールをこなすかはシステムが自動的に指示し、人間はそれに従うだけ。こうした「外部アルゴリズム頼み」は、今後ますます一般化すると考えられています。

16.3 自分のスマホに「健康GPS」を搭載するイメージで

すでに歩数計や食事記録アプリ、心拍数モニターなど、さまざまなヘルステックサービスがあります。ブライアン流に言えば、これらを“統合”し、総合的に行動を誘導する仕組みが「健康GPS」。いつ何を食べ、何時間運動し、何時に寝るのかすべて指示を仰ぐのです。

16.4 習慣づくりのゴールは「毎日の迷いをなくす」こと

結局、健康の大半は「迷い」という形で破綻します。「今日は夜更かししようかな」「お菓子をつまんでしまおうかな」という場面で、「どうしよう?」と考える時間が長いほど誘惑に負けやすい。システム化すれば迷いの余地がなくなるため、長期的に成功率が高まります。


17. 「チートデイ」の神話を斬る――なぜブライアンは一切やらないのか

17.1 チートデイが与える誤った報酬感覚と習慣リセット

一般に「週1回は好きなものを食べてストレス解消しよう」というチートデイ理論がありますが、ブライアンは「体に負担が大きく、元の習慣を壊すリスクが高い」と否定的。むしろ体内環境のリズムを崩し、味覚や欲求を再び乱す行為といえます。

17.2 血糖値や腸内環境への急激な負荷

チートデイにピザやドーナツを大量摂取すれば、血糖値や炎症マーカーが急上昇。それらが睡眠や免疫を妨げ、結果的に翌週のパフォーマンスを下げるのです。

17.3 「後悔」を増幅させるだけのイベントに?

チートデイ翌日は「体が重い」「肌荒れが出た」「調子が悪い」といった声をよく聞きます。するとさらにもう1日さぼりたくなり、そのままズルズルと悪循環に陥る可能性も否めません。

17.4 生理的にも味覚がリセットされてしまうリスク

辛うじて野菜中心の食生活に順応していた舌が、チートデイの高塩分・高糖分食で再び感覚を狂わせられるケースがあるといいます。ブライアン流に言えば「リスクに見合わない」。


18. 社会の変容と今後の展望

18.1 「健康偏重? いや、これが未来の標準」

現状では「そこまで健康にこだわるなんて……」と思う人も多いでしょう。しかしブライアンは、テクノロジーが進むにつれ、それが当たり前のスタンダードになると予想。かつてスマホやインターネットが「特別」だったように、今後は「徹底した健康管理」が普通のレベルへと引き上がる可能性があります。

18.2 全世界で測定できる仕組み:血液検査、マイクロプラスチック検査、AI解析

ブライアンが取り組むマイクロプラスチックの検査が大規模化すれば、各地域・各個人がどのくらい汚染されているかを正確に知ることができます。情報が可視化されれば、政策や個人の行動も変わるでしょう。

18.3 ヘルスケア×AI×社会システムの融合

将来的には、医療機関や公共機関、テクノロジー企業が連携し、人々の健康データをAIで統合管理する世界が想定されます。プライバシーの問題はあるものの、「死を遠ざける」ための巨大インフラが整備される可能性は十分にあります。

18.4 人類が「死を前提としない」世界になったとき、何が変わるのか

もし本当に平均寿命が大幅に延び、何百年も生きられる時代になったとしたら、教育、働き方、結婚や子育ての在り方、人間関係の意味まですべてが変化しそうです。ブライアンの行動は、その先を見据えた“社会実験”といえるでしょう。


19. 批判と課題:本当に誰でも実践可能か?

19.1 設備投資、時間、労力……ハードルへの懸念

RO浄水器の導入費や毎月の血液検査、ジム通いなど、費用や手間はかかります。しかしブライアンいわく「少なくとも加工食品をやめる、就寝前のスマホを控えるなど、無料で始められる施策は多数ある」。

19.2 「測定は高額じゃない?」――逆に無料同然の方法も多数

以前に比べて血液検査やウェアラブルデバイスもコストが下がり、「月数千円程度」で主要バイタルを把握可能な時代になりつつあります。逆に言えば、何もせずに医療費をかさんだり寿命が縮んだりするほうが長期的に大きな損失かもしれません。

19.3 「資本主義の道具化では?」――健康を巡るビジネスと透明性

「健康産業」には常に“金儲け”の香りが付きまとうのも事実。ブライアン自身はデータのオープン化を進め、プロダクトを透明にしようと試みています。資本主義で生じる歪みを極力なくすには「ラベリングと第三者検証の徹底」がカギ。

19.4 未来へのパス:段階的に整備される社会インフラ

ブライアンは「すべて個人まかせではなく、いずれ行政や企業が健康インフラを提供する時代になる」と予測。たとえば集合住宅にROシステムや空気清浄装置が標準装備されるなど、公共レベルで支援が広がればハードルは下がるでしょう。


20. 明日から始めるためのQ&A

Q1. 睡眠時間は必ず8時間必要?

A1. 個人差はあるものの、深い睡眠とREM睡眠を合計3~4時間確保できるかが重要。就寝前に食事や光を制限すれば、より短時間でも質を確保できます。大切なのは“時間”ではなく“質”。

Q2. 夜型でクリエイティブになれる気がするけど?

A2. その場のひらめきは得られるかもしれませんが、長期的に見ると健康や日中のパフォーマンスが落ちることが多いです。1か月だけでも早寝早起きを試し、データを比べてみることを推奨。

Q3. 運動が続かない。何かモチベーションは?

A3. まずは小さな単位でもよいので、毎日決まった時間に行う。「やるかどうか」を悩むフェーズをなくし、“システムに従うだけ”にしてしまうと習慣化が容易です。可視化されたデータ(体重、血液数値、心拍数など)が一番のモチベーション源になります。

Q4. コーヒー断ちがきつい。代用品は?

A4. ハーブティーやデカフェのコーヒーを試してみてください。1週間だけでも完全カフェインフリーにして、その間の睡眠の深さや日中の疲労感を記録し、比較。効果が出れば続けると良いでしょう。

Q5. 周囲から浮きたくないし、友人付き合いもある。どう両立?

A5. パーティーや外食の予定がある日は、前後で帳尻を合わせる戦略も可能。ブライアン自身、社交パーティーのある日は“早寝早起き”を2部構成にして深い睡眠を確保。上手にアレンジしながら「健康軸」は維持するのがポイントです。


参考文献

  1. Bryan Johnson インタビュー関連動画

    • 「How This Man Made His Body 31 Years Younger (Data PROVES It) | Bryan Johnson (YouTube)」

    • 「The Mind & Body Connection for Longevity | Jay Shetty Podcast」

  2. Blueprint オフィシャルサイト

    • Bryan Johnson’s Blueprint

    • 食事プランやサプリメント、各種測定サービスなどの情報を公開。

  3. 関連科学論文・書籍

    • Walker, M. “Why We Sleep: Unlocking the Power of Sleep and Dreams.” (2017)

    • Sinclair, D. “Lifespan: Why We Age – and Why We Don’t Have To.” (2019)

    • Longo, V. “The Longevity Diet.” (2018)

  4. AI・バイオテックの進歩に関する情報

    • Anthropic公式ブログ(Dario Amodeiの発言など)

    • DeepMindの研究論文各種

  5. マイクロプラスチックに関する国際研究

    • Galloway, T.S. et al. “Interactions of microplastic debris throughout the marine ecosystem.” Nature (2017)

    • World Health Organization (WHO) “Microplastics in Drinking-water” (2019)


おわりに

ブライアン・ジョンソン氏の取り組みは極端に見えるかもしれませんが、その本質は「健康でいることを最優先にし、テクノロジーと測定を駆使して身体を最適化する」というシンプルなものです。睡眠を大切にすること、加工食品やプラスチックを減らすこと、一定の時間に食事と運動を行うこと――いずれも明日から始められる要素が含まれています。

もちろん一足飛びに彼の生活すべてを模倣するのは難しいかもしれません。ですが、「1日7時間以上の良質な睡眠を確保しよう」「プラスチックボトルをやめてみよう」「電子レシートを活用してレシートに触らないようにしよう」――こうしたステップなら誰でも取り組めます。

本記事が、あなたの健康と人生観をアップデートするきっかけとなれば幸いです。無意識に当たり前と考えていた“死への道筋”を疑い、存在そのものをより長く、より豊かに保つことができるかもしれません。もしそれが実現できるのなら、その第一歩は**“今日のあなたの睡眠”**なのです。

ぜひ明日から、この「システム」を一つでも取り入れ、自身の体調の変化を記録してみてください。長寿社会の先駆者となるかどうかは、あなたの選択にかかっています。

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