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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第2章 謎のシスター少女編 7】

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ーフィールド リベール街道ー

リベール街道


マサアキ
HP 76
MP 0
LV.8





【マサアキは女性を地面に押し倒している!】


また動きを封じるつもりか?させるかよ

これ以上あんたに場の主導権を握らせてたまるか


「………痛いです……乱暴な方ですね…」


突然に人の体の自由を奪う奴には言われたくないね


「…こんなに激しく体を押さえつけて…日々の欲求に不満でもお持ちなのですか?…」


誰が最近ご無沙汰だよ。ほっとけ



いい加減あんたの悪ふざけに付き合うのも、もう終わりだ

何のために旅人を釣るような真似をしてんのかは知らないが、弱くてアホそうな俺達だって暇じゃないんだよ

先に進ませてもらうぞ。次はせいぜいマニュアルを熟読してもっと紳士な奴でも騙すんだな


「…はたして進めるのでしょうか?…」


は?


「…お連れの二人は…まだ動けないようですよ?…」


【グリルとウマオは動きを封じられている!】


「…可哀想に…まさか置いて行くおつもりなのですか?…」


可哀想にって、魔法かけたのはお前だろうが

だったら魔法を解け、今すぐだ


「……つーん…」


おい、おいコラ、聞いてんのかよ

恥ずかしくねぇのか、今どきそんな無視の仕方グリルでもしねぇぞ


「…そう焦らないで下さい…落ち着きのない男性はモテませんよ?…女性の気を引きたいのならもう少し何があっても動じないような自信に満ちた余裕と冷静さを身に付けましょう…」


この状況で俺がいつモテるための秘訣なんざ聞いたよ

余計なお世話だ

俺はお前とゆっくりおしゃべりする気はさらさら無いんだよ

言わんとすること分かるよな?マイペースすぎる女は男にモテねーぞ




「……魔法を解くのは簡単ですが…しかしその前に…」

「…私と…勝負をしませんか…?」


は…?勝負だと?


「…はい…もし私に勝てたらこれまでの非礼を全て詫び…ことの経緯をお話ししましょう…もちろんお仲間の魔法も解きます…」


………一体何考えてやがんだこいつ…

助けを求めてきたと思ったら今度は勝負しろだって?


もはや情緒不安定としか思えねぇよ…




「…それと…」

………?


「…いつまでもレディに馬乗りになって物を言うの…そろそろやめていただいてよろしいですか?…」

カッ…!
【女性は手の平に魔力を集中させ発光させた!】


なっ、目くらまし…!

【マサアキは目が眩んだ!】


バッ…!
【女性はマサアキから距離をとった!】


「…ふぅ……帰ったらお洗濯しないとですね…」



───────…………ちっ

んにゃろう…




「…では…簡単なルールの説明をしますね…」


「…1対1の真剣勝負……相手が参ったというか…続行不可能となったら──」


いや…ちょっと待て、勝手に話を進めんな

俺はまだ受けるなんて一言も言ってないぞ


「…あら…逃げるのですか…?」


あぁ?


「…それでもいいですよ…どうぞ尻尾を巻いてお逃げになって下さい…特に引き止めたりはしませんので…」

「…しかし…それではお仲間の魔法を解く事は叶いませんよ?…特に彼らは魔法に免疫のない単なる一般人のようですし…あなたのように時間経過で解決する可能性も低いかと思われます…」


どういう意味だ。それは


「…いえ…ただ私の魔法…タイムバインドはそんなに安っぽくはないという話です……あぁ……私が魔法を解かなければ一体いつまで動けないのでしょうね?…」

「…ふふ…もしかしたら一生動かないかもしれませんよ?…」


てめぇ……


「…ふふふ…」



「あっ…動けるようになったっす」


「おぉ~?うはは!なんだなんだ今の!?なんか思うように動けなくて面白かったぞ!なぁもっかいやって!もっかいしたい!」


【グリルとウマオにかかっている魔法が解けた!】

「こそまっ、拘束魔法タイムバインド」


カチン…
【グリルとウマオの動きを封じた!】


「…ふふふ…もしかしたら一生動かないかもしれませんよ?…」


いや無理があるだろ



今、動いたよな?


「………動いてません…一生動かないかもしれませんもん…」


焦って魔法かけ直したよね?


「……かけ直してません…あなたの気のせいです…」


いやいや、かけ直してたよ?噛むほど慌ててさ、こそまっ!って言ってたよ?

おじちゃんしっかり見てたからね?うん?怒らないから正直に言ってごらん?


「…………確かに…ちょっとだけ動いたかもしれません…」


ちょっと?かもしれない?


「……完全に動きました…」


よ~し素直だ。でもそれだけじゃないよね?うん?


「……焦って魔法…かけ直しました…」


そうだろう?嘘はいけないよ嘘は


「……はい…すみません…」


……お母様に連絡しようか?


「…そ…それだけは勘弁してください!…」


「あんたら何やってんすか……万引きした女の子の取り調べみたいになってるっすよ」


「今のはいまいちだったなー、すぐ動けるようになったぞ。なぁもっかい!」


【グリルとウマオの魔法が解けた!】


何だ、今度は随分早いな


「はい、四秒くらいですかね?金縛りにあった程度で済んだので」


四秒って………

安っぽいなーお前の魔法


「……うぐ…こんなはずじゃないのです……お願いします…もう一度だけ時を止めさせて下さい…」


おう、好きに止めてみろよ


「…ありがとうございます!…」


「いや自分らの時間なんすけど…何でマサアキさんが了承してるんすか」


「もっかいやってくれるのか!?してして!」


「…いきます……拘束魔法…タイムバインド!…」


【グリルとウマオは魔法にかかった!】

「…あ…今少し頭がぼ~っとするっす。ただ動けなくなるとかはないっすね」


ぼ~っとするだけ?

はーい商店街で叩き売りされてるレベル〜


「どうしたねーちゃん!ちっともおもしろくないぞ!しっかりしろよ!」


「…すみませんすみません!…もう一度…もう一度だけあなた方の時間をお譲り下さい…お願いします…ちゃんとお返ししますから…」


時間を返すってどういう事だよ

動きを止めるよりそっちのがすごいだろ


「良いっすけど…時間を奪うのは本当にこれで最後っすよ?」

「次はちゃんとうばえよー」


そんで少しずつ慣れてきたこいつらもこえーな



「…すぅ~……はぁ~……」

「……落ち着けば大丈夫…落ち着けば大丈夫なのです……集中…集中…」

「…このままでは私の印象が魔法を使えない…ただのクールビューティーなおもしれー女になってしまいます…それだけは回避しないといけません…」


心配すんな、お前の第一印象は既に最悪だよ

今より下はねぇ。思いきってやりな


「なんていう思いやりのない応援してんすか…」


「あ、フレアトンボ!マサアキ見て!フレアトンボだ!」

フレアトンボ


グ~リ~ル~、ちょこまか動くな

今おねーちゃんが頑張ってんだろ

動けなくなるまでそこでじっとしてろ


「わかったマサアキ!」


「質悪い命令っすね…どう転んでも動けないじゃないすかそれ」


「…では…いきます………拘束魔法…」

「…タイムバインド…ッ!!…」


【女性はタイムバインドを放った!】

【しかしMPが足りない!】


なんつーか…神様って残酷なのな


「…うぅ…違う…こんなの違います…私じゃありません…いつもはもっと…」


わかった、わかったよ

もう泣くな、お前は頑張ったよ

こういう事もあるって覚えておきな


「……ひっく…ひっく…」


「完全に泣いちゃったっすね…どうすんすかマサアキさん?」


「あーあー…マサアキ泣ーかした~」


待てよ、俺が悪いってのか?

そもそもお前らが悪いタイミングで動き出すからあいつの中のシナリオが狂ったんだろうが

空気読んで動けないフリでもしておけよ


「無茶言わないで下さいよ!本当は動けるのにマネキン気取ってろって言うんすか!?」

「そーだ!そーだ!おいら達は人形じゃないんだぞ!バカマサアキ!」


あ!?

ふっふっふ……言うようになったじゃねぇかグリルちゃ~ん?

ポロポロポロポロ脱着可能なオモチャみてぇな体してるくせによぉ


「なに~!?おいらのどこがオモチャだ!アホマサアキ!」


こういう所だろ?そぉーれ!

ブチィッ!!
【マサアキはグリルの尻尾を手に入れた!】

グリルの尻尾


「ギャアァァァァ!!何すんだマサアキ!!もう許さないぞ!おいらのムテキの牙で噛みついてやる!!」


どこが無敵だクソガキ!その牙も全部引っこ抜いてお前の口ん中差し歯だけにしてやるよ!


「ちょちょっ!ケンカはやめましょうよ二人とも!」


「…で…では…!」


あん?
「はい?」
「ん?」


「…では…お二方が動けないところまでやりとりをさかのぼる…というのはどうですか?…」


ではの意味がわかんねーよ
「何がでは、なんすか?」
「ではってなんだ?」



「…お二方が動けず…彼らを元に戻すには私と一騎討ちをして勝つしかない…そこまで戻りましょう…いいですか?…いいですね?…」


「良くないっすけど!?何であんたの勝手な脚本に自分らが協力しなきゃなんないんすか!」


「そーだ!そーだ!おいら達は操り人形じゃないんだぞ!」


「…やってくれないと泣きます…間髪入れずに泣きます…」


「面倒臭いっすね!もう泣いてれば良いっすよ!!」


「……ふぐぅ…ぅ…」


「ホントにまた泣いちゃったぞ~」


「あぁ…もうめんどくさい。どうするっすかマサアキさん?この子結局何なんすか」


いまいち俺もわかんねーけど

なんか一対一のタイマンを張りたいらしいんだよな


「じゃあやってやったら良いんじゃないか~?」


は?


「そうっすよ。それでこの子が納得してこの場が収まるんならパパっとやって終わらせましょうよ。別に自分らが動けるからといって一騎討ちを中止する必要はないっすもん」


冗談抜かせよ馬鹿共

何の理由も無しに女と殴り合いなんかできるかよ



「……ぐす…私はそれで構わないです…それがいいです…」


「ほら、彼女もこう言ってるっす。やってあげてくださいよ」


あんたがやればいいだろ


「自分は無理っす。非戦闘員っすから」


俺だって言っちまえば戦闘員じゃねぇよ


「じゃあなんなんすかこの旅!?本当に単なるお出掛けじゃないすか!あなたは少なくとも戦ってくださいよ!」


じゃあ仕方ない、グリル


「マサアキ~…そこに落ちてる木の実食べたら気持ち悪くなってきた~」


【グリルは毒に犯されている!】


お前なにしてんだよ

落ちてるもんホイホイ口に入れるなっていつも言ってんだろうが

荷物の中に毒消し草あるから食ってろアホ


「うん…」


「グリル君も無理みたいっすね。ではお願いするっすマサアキさん。自分はグリル君の様子を見とくので」


マジかよ……


「……ぐす…ぐすん…」


はぁ…

……仕方ねぇ…気乗りはしないが

おい、あ〜………


あんた、名前は?


「………名前……リリアルです…」


リリアルな

怪我しても文句言うなよ。それでもいいならやってやる


「……本当ですか?…」


あぁ


「……あ…ありがとうございます…!…」


ルールは何つったっけ?どっちかが参ったと言うまででいいのか?


「…はい…あと気絶しても負け…それでお願いします…」

「……あ…ただ手を抜かれて適当に負けを宣言されたら困るので……勝った方が負けたほうに何でも一つ命令出来るという条件も加えましょう…」


いや何を命令する気だよ。お前


「…細かいことはお気になさらずに…真剣勝負を茶番劇にしない為のスパイスのようなものです…」

「…それに…男の人はこういうので興奮するものではないのですか?…」


あのなぁ…さっきから男に対する見解がちょっと偏りすぎだぞ

そんな何でも命令って……ばかお前

何でもってさ………何でもって言った??


「…はい何でも…どんなことでも構いません…」


…命令……何でも……


ウホッ


「……おおよそイメージ通りではないですか…」



いやいやいやいや、しかし

一瞬揺らいだが…優先順位を見誤るなよ、俺

今の最善は、この場を何事もなく収めて一刻も早くモンバルに向かうことだ

変な勝ち方をして、何かしらいちゃもんをつけられたりしてもまた無駄に長引くだけで面倒臭い

負けた後の命令ってのは気になるところだけど、適当に一発貰って気絶したふりでもするか


ふふ…俺ってば優しー


「…そちらの準備はよろしいですか?…」


あぁ、こっちはいつでもいいぜ

どっからでもかかって来な


「…はい…では始めましょう…」


ギュイィィィィィン…!!!
【リリアルはチェーンソーを装備した!】


すいませーん。ルールの再確認いいですか?



「…え…はい…参ったというか気絶した方が負けですが…」


気絶しそうなんですけど

あ~…と、何からだろう

まず武器はありなのでしょうか?


「…武器??…」


ギュイィィィィィン…!!!
【チェーンソーは力を溜めている!】


いや、可愛らしく小首かしげられてもすんごい唸ってるから

それ武器ですよね?


「…ああ…これですか?…この子は違いますよ…紹介します…私の相棒…惨鬼ざんき君》です…」


紹介されても知らねーよ

は…?相棒?じゃあ相棒はありなの?


「…相棒は相棒なのでありです…あ…でも大丈夫ですよ…見た目は少しチェソってますけど中身は大人しい良い子なので…」


やっばぁこいつ!!言うこと全部ぶっ飛びすぎだろ!

大丈夫な訳あるか!少し所か完全にチェソってるだろうが!

つかどっから引っ張り出して来たんだよそれ!


「…心配しなくても惨鬼君の切れ味は切り口の断面がとても綺麗に残るほどに秀逸です…」

「…なので運が良ければ痛みすら感じずにあの世に逝けることでしょう…」


逝かせるつもりなの!?勝った方の言うこと聞くルールは!?


「…では改めて…まいります…」


何こいつ!?話聞けよ!おい!


エンカウント発生!

〜To be continued〜

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