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かわら版No.20 公共性を超えて 「タケフナイフビレッジ」「黒壁商店街」 会派管外視察③前編
いつもお読みいただきありがとうございます。1日目の福井県庁の「政策デザイン」「福井県立看護専門学校」に続き、2日目は、福井県武生市の「タケフナイフビレッジ」、滋賀県長浜市の「黒壁商店街」を視察しました。
タケフナイフビレッジ協同組合さんは、現在13社の刃物会社が共同で運営を行っていて、40名を超える職人さんたちが所属し、上は82歳から下は18歳まで、幅広い年齢層の職人さんたちで成り立っているそうです。越前打刃物の歴史は古く700年ものあいだ当地で引き継がれてきました。
高度経済成長の折、それまで越前打刃物の得意としてた農耕具の製造は、機械化が進んだことで、手作り鎌の需要は次第に低下していったといいます。60社ほどあった鎌鍛冶屋のほとんどが廃業に追い込まれ、また、包丁業界にも、錆びにくいステンレス素材の流通、大量生産の安価な型抜き刃物の台頭で、越前打刃物を衰退させる要因となりました。刃物製作所の多くは家族経営の小さな工場で生産作業を行っており、やむなく廃業する所も少なくなかったといいます。その苦境を打開するために起こされたのが、タケフナイフビレッジです。
1991年9月に10名の職人さんによる協同組合が設立され、複数の刃物製作所を一つの製造棟と見学棟を併せ持つ建築棟としました。繰り返しますが、1991年のことです。お話によると職人さんお一人お一人が3000万円ずつ借入をして元手としたそうです。最近でこそオープンファクトリー等はよく耳にする言葉ですが、約30年前のことだと思うと、とても先進的な取組だと思います。
特徴の一つは、複数の刃物製作所を一つの製造棟と見学棟を併せ持つ建築棟です。越前打刃物は、昭和54年に打刃物業界では初めて「伝統的工芸品」として国の指定を受けるほどの伝統を有するわけですが、新しい建築棟のなんと斬新なデザインであることか、と思います。
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現役でありながら伝統的な刃物製造所の緊張感で張り詰めたものづくりの現場の雰囲気と現代建築によって仕上げられた建築空間のアンバランスな空間設計がとても良い雰囲気をつくりだしていると思います。建築を、建築家の毛綱毅曠さんに依頼していることが、跳躍を生んだわけです。
30年前に果たして、同じことが、同じ発想が米沢できるか、公共性を超えることができるか? これは考えてみる必要がある問いです。
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隣接のタケフナイフビレッジ公式ショップは、建築家・長田直之さんによる建築です。
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僕は、「公共性を超えることができるか? これは考えてみる必要がある問いです。」と言いました。次回の「黒壁商店街」を含めて、この問いに答えることが今回の課題です。次回に続きます。最後までお読みいただきありがとうございました。
かわら版No.20