つらいつらいと言いながら仕事を続ける訳 【青二才の哲学エッセイ vol.8】
社会人なら誰しも一度通る道のような気がするが、今の仕事がとてつもなく嫌になる時がある。私は営業ということもあってか、それは大抵お客さんの要求があれやこれやと重なったときや、無茶な要求が来た時に起こることが多い。必然と労働時間も長くなる(ただでさえ安月給なのに!営業手当てというものにカモフラージュされて残業代は出ない)。こういう時はもう頭の中はネガティブなワードで支配される。しんどい、めんどくさい、嫌だ、疲れた、などなど。特にひどい時はやめたいとまで思う。全てを投げ出してしまいたいという感じだ。
そうやって心の中で愚痴を吐きつつも、なんだかんだ目の前の仕事をやる。別に少々手を抜いても大して支障もないけれども、完璧にしないと許せなくてやる。これは私のくそまじめな性分が影響している気がする。自分一人が多少やらかしたくらいではこの社会にも会社にもさして影響もないし、極論言ってしまえば死ぬわけでもないと思う。それでもやる。冷静になって考えてみると、よくもまあ逃げずにやっているなと思う。特に辛い時はマゾなのかと思う。いや実際そうなのかもしれない。本当にこのままでいいのだろうか。自分に負けないこと、逃げ出さないこと、投げ出さないこと、信じ抜くことが、いつも正しいとは限らない。現時点の自分を省みるという意味も込めて、今この仕事に打ち込む理由を挙げてみたいと思う。
まず、目の前の業務においては、お客さんに怒られたくない、迷惑をかけたくないということが思いつく。お客様のためになりたい、お役に立ちたい、とかそんな高尚な理由でも、褒められたい、認められたいとかいう前向きな理由でないときも正直多い。私は本当に怒られるのが嫌なのだ。何でもかんでも言うことを聞くイエスマンになるのは回避するが、私が嫌な気分になることも避けたい。
次に、会社を辞めない理由としては、今やめても生活していけないということも現実的な問題としてある。(安月給なので大して貯金もない!)また、これはちょっと大きな声では言えないが、営業で外回りすることもあって、なんだかんだ自由に時間が使える(サボれる)というのもある。こうして文章がかけるのも休みの日だけでなく、仕事中に考えたりもしている。私としてはこれが結構大きいかもしれない。でも前述したように業務は手を抜かずにちゃんとやっております。
なんだかここまでネガティブなことばっかり書くと、仕事が大嫌いなゆとりダメリーマンみたいになってしまった。そんなことはない。後付けになるが、前向きに仕事をする理由もそれなりにある。お客さんによってはこの人のために頑張りたいだとか、この仕事は面白いと思える時もあるし、やっておくと経験値として大きい、今後も役に立ちそうというのもよく考える。この先にも進行中のものでやってみたいなという仕事もある。やりがいはある方だと思う。
いろいろと理由は挙げてみたが、結局のところ、しんどい状況であったとしても、それは私が好きで選んでいるのではないかとも思える。逃げることはいつでもできる。常に選択肢として行動の手札の中にあるのだ。だが、意識的に、時には無意識的に、前述したメリット、デメリットを天秤にかけて、結局目の前の仕事にやることがベストだと判断を下している。嫌々やっているように見えて、自分が「良い」とする判断をしているのだ。そう考えると、私は私の判断を受け入れなければならない。自分で選んだ行動には責任を持たなければならない。
ただ、自分の判断だとは書いたものの、いろんな言葉の影響を受けていることは否定できない。100%自分が生み出した判断とは言い切れない。影響を受けやすい私は「石の上にも三年」「若いうちの苦労は買ってでもしろ」「努力は裏切らない」こういった言葉が常に行動の背景にある気がする。もしかしたら、しんどい状況にある自分に酔っているのかもしれない。よくある成功者の物語としては、辛い下積み時代のエピソードがあり、めげずに努力をして、ある日花が開くといったものを思い浮かべる。そして「頑張ってきてよかった」という言葉で締められる。何が言いたいかというと、自分が今、その下積み時代にいるような気になっているのでは?ということだ。「頑張ってる私かっこいい☆」という気持ちがあるのかもしれない。ちょっと若さゆえの痛さみたいなものを感じてムズムズするが、確からしいもののような気がする。それに、ただでさえ自己肯定感が少なめの私にとって、自分を好きになる気持ち自体は良いことだ。
いろいろと今の自分について考えを巡らせてみたが、不思議なもので、もやもやと思っていたことを分析して、言葉にするだけでも結構スッキリとする。頑張ればいいというものでもないし、もちろんこれで満足するのもどうかと思うが、とりあえずは一歩前進だろうか。もう少しだけでも、過程を楽しめるようになりたい。私の心の中でそういう仕掛けを考えていきたいと思う。考え方ひとつ変えるだけで、気持ちが楽になることはよくある。世の中の様々な概念は単なる思い込みでできていることが多い。もう一歩進んで、「やりたいこととは何か」とか、もっと根源的な「仕事とは何か」「働くとは何か」ということも考えていきたい。まだまだ私の手に負えない問いのような気がするけども。
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