【オープン社内報#14】前橋と嬉野ときざしの話し
日販グループで働く皆さま、こんにちは。株式会社ひらくの染谷拓郎です。
10月末から続く全国行脚ツアー、1/3が終わったところ。今回はその前半戦を振り返ってみます。タイトルは「前橋と嬉野ときざしの話し」です。
どちらの街も都市部ではなく地方に位置し、街としては決してポジティブな状況ではないはずなのに、そこには確実に”いまここで何かが始まっている”という静かなうねりと、提供する側とされる側が溶けて一つになるような一体感がありました。どちらにも共通するのが、力を出し惜しみしない大人たちがいること。そして、そこに”きざし”があったこと。その最前線にいれたことはとてもうれしいことでした。その熱量やきざしが少しでも伝わることを祈り、書いてみます。
・前橋ブックフェス(10/29,30)
正直に言えば、当日の朝を迎えるまでかなり不安でした。具体的には、前橋という場所に/本のイベント(しかも古本市ではなく新しい仕組み)で/賑わいが生まれるのかという不安。実際に蓋を開けてみれば、2日間の開催中は本当にたくさんの人手となり、中央商店街はまっすぐ歩けないくらいの大賑わい。こんなたくさんの人、一体どこにいたんだ!という驚きや嬉しさと、この賑わいを今まで自分たちが生み出せてこなかった悔しさがないまぜになりました。
・1,000円の参加費を払って会場にある本を自由にもらうことができる。
・街中で様々なワークショップやトークが無料で楽しめる。
箇条書きにするとこれだけのことですが、全国から2万6千冊以上の本が集まり、100人以上のボランティアが手を挙げ、約5万人が通りを歩いたという結果に。僕らが企画した二つのワークショップもずっと人が途切れず、たくさんの人に参加していただきました。最後は用意した資材がなくなってしまうほどで、ちょっと見積もりが甘かったと反省しました。
やりとりをしていた糸井重里さん率いるほぼ日のみなさんの、力を出し惜しみしない姿がとにかく印象的でした。そして、気づくと巻き込まれてしまう演出、対応、デザインの見せ方など、勉強になる場面が本当にたくさんありました。
来年以降の開催はオフィシャルにはまだアナウンスされていませんが、これだけの熱狂と人と本との出会いがもたらされた機会はそうないはず。もし次回があれば、僕らとしてはよりコミットしていきたいと思います。
・三服文学賞(11/3)
https://wataya.co.jp/sanpuku_bungakusyo/
前橋から帰ってきて1日置いて、次は佐賀県嬉野へ。福岡空港に到着しまずは文喫天神へ。無料ゾーンがリニューアルしたばかりで、店舗イメージがだいぶ洗練されました。同期の佐藤ヒロノブ店長も相変わらず飄々としていて、スタッフのみなさんの熱量も高い。どんどん良い店になっているように感じます。
嬉野の和多屋別荘に到着し、さっそく文学賞の最終調整。ここにいる人たちに会うと、自然と気持ちが和らぎ、頑張らねばという気持ちになるから不思議です。三服を含めた7店舗の開業1周年、そして和多屋別荘の創業72年に合わせ、よりたくさんの人にこの場所を知ってもらうために設立したのが三服文学賞です。
11月3日当日は、メディア向けの記者発表、和多屋別荘の小原社長へのインタビュー、ライターインレジデンスで10日間滞在してくださったミステリー作家の浅倉秋成先生の書き方講座とファンを囲んだサロンイベントと、盛りだくさんの一日でした。
それぞれの担当者がそれぞれの持ち場で全力でプロジェクトを成功させようとするとき、そこには自然に一体感が生まれます。そして、そこに参加するお客様もその空気を敏感に察知し影響されていきます。(美味しいレストランに入った時の空気にも似てますね)
また、浅倉先生のツイートが650以上のRTを集めるなど、三服文学賞を知ってくださる方が一気に増え、すでに作品の応募も集まってきました。きっとここから大賞発表の4月まで、よりたくさんの人に気にかけてもらえる愛される賞になるよう頑張りたいと思います。
この二つの取り組みでどちらにも共通していたのが冒頭に書いた「力を出し惜しみしない大人たちがいること」と「なにかしらのきざしがあること」でした。
僕らは一人きりではなく、他者との関係性のなかで生きているので(アドラー心理学の受け売りです)、そのきざしを受け、本人の資質以上の能力が相乗効果的に発揮されることでしょう。だとすれば、気持ちよく力を出し切る人たちといる方が楽しいに決まってるし、そういう場所にみんな集まりますよね。当たり前だ。
前橋と嬉野で感じた良いきざしのようなプロジェクトを一つでも多く手掛けられるように11月の全国行脚、引き続きがんばります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今日もがんばりましょう。
染谷
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今週の「うれしい」
僕の住んでいる街ではイチョウとプラタナスの街路樹が多く、この季節は紅葉がとてもきれい。心がほくほくしますね。毎年このシーンを目にすると自動的によしもとばななの「デッドエンドの思い出」が頭に浮かびます。読み返すわけでもないのに。