病院の受付お嬢の思うこと
私の仕事は病院の受付事務である。
仕事柄、いろんな方とお話をするのだけれど、仕事の内容だけではないことを話してくださる患者さんもけっこういらっしゃる。
お天気のこと、政治のこと、ご家族のこと………………そんな他愛のないお話をしてくださることは、私としても嬉しいし、ありがたいことだと思っていつも伺っている。
今日も書類の件で先生とお話にきた患者さんから、診察のあと、なんてことない立ち話から熱い人生観を伺うことができた。
おばあちゃん「今はね、みんなほらさ、私は使わないんだけど………………なんだっけこう………………あればっかりじゃない?面と向かって話さないのよねぇ」
(大きめの四角いなにかを表すアクション)
私「うーん…………なんだろ…………」
「ほらあれよ!!持ち運んで使う………こう………こんな感じの………………」
「…………タブレットですか?」
「ううん、ちがうやつ!!あのほら!!ネットで…………調べたりする……………みんな持ってる…………」
「あ、スマートフォンですか?」
「そうそれ!!それでみんな話すからね、こうやって顔を見て話さないのよ。あとはね、今の若い人はみんなこう……………ぶっきらぼうな感じでね、大変な時だけ大変だ大変だって言うじゃない?年寄りの言うこと聞きゃしないのによ!?で、いまなんでも出来るけど、もっとこう、人生っていうのはね、こういう漢字を書くでしょ…………………」
このあと約15分独壇場だったおばあちゃん、会話が3ループくらいしたけれど、とにかくいまは人間関係が希薄でいけない、ということを仰っていた。
それから、「夫婦であっても所詮他人なんだし、いい距離感と思いやりを持たなきゃだめよぉ~」ということも強く仰っていた。
……………………今日帰ってきたら、夫に優しくしてあげよう。
人生の大先輩の血の通ったお言葉は、経験してきたからこその金言ばかりだった。
でも私としては、そんな話をしてくださること自体がとても嬉しかったですよ。
フレッシュに昨日、新年度にむけ、個人面談をしていただいたばかりだったのを思い出す。
面談していただいた方から、
「Sad Girlさんは、どうしてこの仕事をここまでつづけてこられたんですか?」
と聞かれて、
「そうですねぇ………………患者さんがいらっしゃるからかなぁ…………」
と、有名な登山家の名言みたいな答えをしてしまったのだが、まさにそう思っている。
この仕事に就いて、早くも10年弱。
いろんな患者さんとお会いして、学ぶことがたくさんあったし、いまでも毎日学ぶことばかりだと思う。
慣れないうちはいくつもミスをして周りの方に迷惑をかけてしまったけれど、だんだん細かい部分までわかってきて、同時に「お馴染みさん」がどんどん増えていって、あたたかいご挨拶やお言葉をいただけるのが嬉しかった。
去年、ちがう科の受付へ異動になったけれど、顔見知りになった患者さんは、いまでも私を見かけると声をかけてくださり、ほんとうにありがたく思っている。
よっし、来月からもまた頑張れそうな気がしてきたぞ。
とりあえず今日は夫の好きな唐揚げでも買って帰ってあげよう笑