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【🇩🇪ドイツ一人旅日記②】ホストファミリーとご対面
14時間のフライトは、思ったよりきつくなかった。これまでの経験を踏まえて、搭乗前に酔い止めを飲み、機内にセブンのおにぎりを持ち込んだおかげだ。ちなみにお腹の悪調子も見事にストッパしてくれた。助かった。
2月5日午後5時。
フランクフルト空港まで、ホストファザーのカワさんが迎えに来てくれた。彼はイラン出身のクルド人。中東の血がしっかり流れたコワモテだったので一瞬ひるんだが、太い親指を立て、「お は~」と日本語で挨拶してくれる彼を見て、緊張の糸はほぐれた。
お互いたどたどしい英語でも、すぐに話し込む仲になった。なんせ彼がすごくいい人だからだ。この人の前では、私の考えこむ性質もなぜか吹っ飛ぶ。過剰な気遣いがなく、でも思慮深く、風通しが良い人だった。
これまでもこれからも、この人以上に「いい人」に出会うことはないだろう、と言い切れるくらい素晴らしい人だった。これを人間国宝と言わずに誰を言う。
ホストファミリーのお家は、フラットの2階にあって、バタークリーム色の外壁に赤茶の窓枠がおしゃれなフラットだった。階段の踊り場ごとにドンと置かれている大きなベゴニアや柑橘の木が花屋心をくすぐる。
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家につき、ホストマザーのシーレー、娘のヴィアンにもご挨拶。ヴィアンは私の3つ下で、まだ高校生。私と同い年の息子もいるそうだが、今は隣町の大学に通っていて、寮生活をしているらしい。
カワによるルームツアーを受けた後、私は留守にしている息子の部屋を使わせてもらうことになった。やっと一人の時間だ。と思いきや、夕食ができたから食べようと招集のお声が。軽く荷解きして、日本のお土産を引っ張り出し、足早にダイニングへ向かった。
夕食はサーモンポキ丼だった。なかなかのサイズ感。日本人の私を歓迎してくれてのメニューだそうで、これは何が何でも完食しないと、と私は胃袋と契りを交わす。私の席の前にだけ箸が置かれており、「おうおうこれは日本人もスプーンで食うぜ」と思いながらも、そんなこと言えず、箸にトライ。
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これが意外と合う。おいしかった。
キッコーマンの醬油瓶を勧めてくれたので、「Wow!!! Japanese soy sauce!!!」とオーバーリアクションののち、醬油をかけすぎて辛かった。
ちぎれそうな胃袋と、しょうゆの辛さに侵された舌、聞き取れない英語の三重苦に、情けなさが募っていく。どうしようこれから2週間も・・と凹んでいると、なにやら聞き覚えのある音楽が。
顔を上げると、カワが「Japanese song !」と日本のヒットソングメドレーをスピーカーでかけてくれていた。
外堀から固めようとしてくれている、その気遣いの方法にあやうく涙が出そうになる。ああ、やっぱりこの人がいるからきっと大丈夫だ。
ここはドイツ。家族囲んでの食卓で、「かわいいだけじゃだめですか?」が大爆音で流れる世界線。悪くなかった。
無事完食し、片づけをして、自分の部屋へ。ドアを閉めた瞬間、全身のスイッチが切れ、ベッドに吸い込まれるように倒れこみ、そのまま寝てしまった。
初の1人海外、ホームステイ1日目が終了した。