日々過ぎていく
夏目漱石の作品が好きで、よく読んできた。中でも、次に引用する『硝子戸の中』は、朗読カセットブック(のちにCD盤も)まで、購入して愛読、愛聴するほどの作品だ。
ここは、漱石が、彼の持病について、他人から容態を訊ねられたことから、思索したことの抜粋である。読者の自分には、太字の部分が、ものすごく心に響いた。朗読版の日下武史さんの渋い声で、今でも、いつでも、思い出すことが出来るほどである。
誰もが、必ずいつか死ぬ。それを知って、ものすごく怖くなった小学生の時、誰もが、みんなそうなんだと気づいて、妙に安心した時、今60代半ばに差し掛かる自分は、49歳で亡くなった彼の達観に驚く。平均寿命が短いからこそ、早く悟るのだろうか。青空文庫で、ネットに繋がれば、すぐに再読できる幸せを感じながら。
余談 青空文庫は、ルビまで振ってくれているので、漱石の当て字の漢字の誤用も面白い。