喜びの体験、建築の精神的な経験
少し前、ヘミングウェイの老人と海を読みました。数日かけて少しずつ読み進めたのですが、本を読みながらうたた寝すると、夢のなかでわたしは老人と共に美しい海のうえに漂っていました。
静かな波の揺れ、船が軋む音、塩の匂い、頬にあたる海風の生々しい感覚や、ふと夜の深い闇に包まれて背筋が凍るような感じがしました。
彼の文章が描く明瞭で豊かなイメージによって、読み手はまるで自分もそこで対峙しているかのように、老人と海の力強い生を感じることができます。
そしてそれはわたしにとって喜びの体験