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秋、はじめるきっかけ

こんにちは。

春に大学院を卒業し、アトリエ系設計事務所に入社して半年が経ちました。
最近はもうすっかり秋で、ごはんは美味しいし本を読むのも気持ちいいです。

さて、入社したアトリエはかなり成熟していて、無茶振りが少なく、日々の生活は想像していたよりもずっと単調です。
自分の成長も感じるし、仕事にやりがいはあるけれど、なにか物足りないと感じ、書き物を始めてみることにしました。

ずばりテーマは、建築の美意識やデザイン手法について自分中心的研究です。

これは普通科の高校を卒業し、大学で4年と、大学院で2年学んだいまもなお探求しているテーマです。
きっと探しつづけるものですが、自分のなかでもっと骨格というか、確信のようなものを持つための研究です。

まずは、面白いと感じた本や映画などのコンテンツ紹介や、建築旅行などで実際に訪れて魅力的に感じたことを文章にしていきたいと思います。
テーマについての具体的な言及も、ベースとなった本の紹介と併せて記していきます。

今回は文章の練習を兼ねて、このテーマに決めた時に参考にした本をご紹介します。

リサーチのはじめかた

「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法

著者 / トーマス・S・マラニー, クリストファー・レア
訳者 / 安原和見

実は書き物を始めたいとずっと前から思っていたのに、なにをテーマにしていいのか分からず、なかなか手をつけられませんでした。
同じく学生時代にも、論文や製作のテーマをなかなか決められずに悩んでおり、同級生達が実にクリティカルな問いを立てる姿に、何度も悔しい思いをしました。

当時は才能の差と思い込んでいましたが、そんな風に進め方に悩んだ時は本を読むといいと、最近になって気がつきました。

本はAmazonやKindleなどネットでも購入はできますが、少し前、久々に本屋を訪れてみたら改めて素晴らしい場所だなと。
ハウツー本などを十数冊も立ち読みで吟味し、いまの自分に最適な一冊を選びつつ、全体的な要点を抑えることができて大変効率的でした。

【余談】個人的立ち読みのハウツーの極意

目次から本文に飛び、太字になっている部分とその前後をザッと見通して、筆者の言いたいことの要点を理解しています。
解像度が荒いし、間違った解釈をしていることもあると思いますが、いまの自分に最適な一冊はいつも、立ち読みで目を通したとき、どうしても家に持ち帰ってゆっくり読みたくなる一冊です。


この本は、そんな立ち読みで出会った一冊です。
内なる自己と向き合うことで、探求したい抽象的なイメージを具体的に描きだし、力強い問いを立てるプロセスを学ぶことができます。

【point】 「やってみよう」で実践し、「よくある失敗」と「反響板」で振り返る構成

本著は、全体的に実践とその振り返りによって構成されています。
ここで特筆すべきは、振り返りには「よくある失敗」の項目を確認する他に、「反響板」という相談相手に自分の意見を投げかけるというフェーズが含まれていることです。

本著における「反響板」とは、自分自身を見つめなおすための工程に留まりますが、建築やデザイン分野において他者=ユーザーの視点は重要です。
芸術分野と異なりユーザーが存在するため、製作における自己と他者を行き来するプロセスは必要不可欠であるからです。
※わたしにとってこの場に書き記すことは、反響板と同様のプロセスということになります。

本著では読み手が具現化できていない、内なる「自分の問い」を見つけられるように、繰り返し『自分で実践→自分で振り返り→他者と振り返り』というプロセスを丁寧に説明しており、また実践のパターンも多種多様に用意されています。
これはまさに、わたしのように論立てが苦手な方や、建築学科・デザイン学科で研究テーマをうまく定められない人におすすめのハウツー本です。


【さらに余談】卒業制作でなにからはじめたらいいか悩んでいる人へ

繰り返しですが、やはりハウツー本に目を通すことだと思います。
はじめは書いてある内容に、当たり前だと感じるかもしれませんが、そう感じる方にこそしっかり読んでいただきたいです。
ハウツー本はほとんどが実践型です。悩んだときは惜しまずに、本を片手にメモを取りながら、内なる自分の問いと向き合う時間をとってみてください。

参考までに、こちらは何から手につけていいか分からない方におすすめの個人的バイブルです。
わたしは発注ミスで2冊買ってしまったものを家用と研究室用として愛読した後、卒業時に後輩へ譲りました。

10月に入っていよいよ卒業設計も本腰!という方も多いと思いますので、参考になれば幸いです。


なんだか中途半端ですが、今回はここまでです。最初の投稿ということで、少し力んで長くなってしまいました。
また読み返してみると、余談の多さに自分自身驚いています。
あちこちと話題が散乱している拙い文章に最後までお付き合いいただき、ほんとうにありがとうございました。

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