#7 「カーム・テクノロジー」を読んで
参考本
きっかけと読んだ感想
QAエンジニアとして「ユーザビリティテスト」に興味を持ち、UXの本を読みたくなった私は、「カーム・テクノロジー」という書籍を手に取りました。
前半は主にUXのこと。「カームテクノロジーとは何か」ということを語っており、デザイナーやフロントエンド系のエンジニアにとても参考になるような内容となっていました。
後半は主に「一般生活でのカームテクノロジー」の在り方について語られていました。QAエンジニアとしてはこちらの方が、勉強になる内容が多く、自分の固定概念を覆してくれる内容でした。
(基本的に、固定概念が覆る本は良い本だと思っています。自分の世界を広げてくれるので)
一つ、「面白いなあ」と思った点としては、技術書は主に”技術”に関して書かれていることが多いのですが(当たり前)この本は”人間”について書かれている”技術書”なんですよね。
それでは学んだ内容をここに記していきます。
学んだこと
「最も深淵なテクノロジーは、その気配を消すことができる」
これが「カーム・テクノロジー」を表した一文です。直訳すると、「穏やかな技術」となるわけですが、その意図しているところは、「テクノロジー」が人間を邪魔してはいけない。ってことなんです。
ここで悪い例として挙げられているのは「自動水栓の蛇口」です。蛇口を触れずに水を出すことができるのは便利ですが、手を洗っている間は狭いエリアに手を出し続けていないと手を洗えない(水が出てこなくなる)ので、自動化というテクノロジーが仇となっているデザインパターンだと本書は指摘しています。
カームテクノロジーの法則の一つとして、「テクノロジーは、技術と人間らしさの一番いいところを増幅させなければいけない」としています。
ここで語ったのはごく一部の法則ですが、非常に勉強になりました。
カームテクノロジーを組織やプロジェクトで利用する
カームテクノロジーの考え方を適用すると、組織の考え方も変わってきます。本書では以下のようなルールが記載されています。代表していくつか紹介させていただきます。
【5人ルール】
6人以上のチームは、コミュニケーションが円滑ではなくなり、組織に足を引っ張られやすくなる。自分たちで何かを決めるのも難しくなる。
【マネージャの考えを変える】
・機能は多い方がいいに決まっているという考えを壊す
→成功を収めたプロダクトの歴史を教える。どんなプロダクトも根気よく1シーズンに1つか2つの機能を増やし、ファンを作り出している
・以前からある機能を全て残さなくてなならないという考えを壊す
→市場のユーザーが機能を本当に全て使っているかを確認する
・大量のステークホルダーの扱い
→プロダクトのテストをしてもらう。内部のステークホルダーの数が増えれば増えるほど、作っているプロダクトは社外のユーザーのためのものではなく、内部のマネージャーの顔色を伺いながら作ったものになる。
まとめ
このように一風変わった技術書でしたが、ところどころ共感できる部分と、固定観念を覆してくれる部分があり、良書でした。
直近でUXに関わるテストの予定はないのですが、プロダクトを作成する”開発者”側としてこの本を読むと、”ものを作る”上でのユーザービリティを深く意識することができるかもしれません。
是非、開発者の皆さん。マネージャの皆さんは手に取ってみてはいかがでしょうか?