見出し画像

【景気動向】物価上昇を上回る賃金アップの兆し!景気は「緩やかな回復」が続く - 2024年9月の月例経済報告を解説

記事に利用している画像は「復興庁」の資料から切り抜いたモノを使っています。

引用:月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料

みなさん、経済の動きって気になりますよね。特に、物価が上がっているなかで給料はどうなっているのか、景気は本当に良くなっているのか...。今回は、政府が発表した最新の月例経済報告(2024年9月)をもとに、日本経済の今をわかりやすく解説していきます。

今月の景気判断はいかに!

「一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」これが今月の景気判断です。前月から表現は変わっていませんが、細かく見ると変化が起きています。

とくに注目したいのは、実質賃金の動き。長いあいだ物価上昇に追いつかなかった賃金が、ようやくプラスに転じ始めました。企業収益も過去最高を更新し、その恩恵が少しずつ私たちの暮らしにも及び始めているようです。とはいえ、すべてが順調というわけではありません。世界経済の不確実性は依然として高く、国内でも業種や地域によって景況感にばらつきが見られます。前置きはこれぐらいで、生活に身近な賃金と物価の動きから見ていきましょう。

実質賃金、プラス転換がもつ意味とは

賃金に関しては、明るいニュースが続いています。

フルタイム労働者の定期給与は、春闘での賃上げが着実に反映され始め、高い伸びを示しています。特別給与(ボーナスなど)も6-7月を通じて大きく伸び、特に中小規模の事業所での伸びが目立ちます。また、パートタイム労働者の時給も前年比でプラスが継続。7月の実質賃金は2か月連続でプラスとなり、特にボーナスを除く定期給与でも着実な持ち直しが見られます。

さらに興味深いのは、転職市場の動向です。転職により年収が1割以上上昇した人の割合が、特に若い世代で増加しています。これは労働市場が活性化している証しと言えるでしょう。

最低賃金、全国で大幅アップへ

賃金上昇の追い風となっているのが、最低賃金の引き上げです。

今年の最低賃金は、全国加重平均で1,055円となりました。これは現行制度で最大の引き上げ幅です。注目すべきは、17の都道府県で1,000円の大台を突破したこと。地域間での賃金格差の是正も、少しずつ進んでいます。

ただし、ここにも課題があります。最低賃金引き上げへの対応として、企業の約半数が価格転嫁を考えている一方、設備投資による生産性向上を検討している中小企業は4分の1程度にとどまっています。賃上げの持続性を確保するためには、生産性向上への投資を如何に促進していくかが鍵となりそうです。

企業収益、過去最高を更新!

2024年4-6月期の企業収益は、営業利益、経常利益ともに過去最高を記録しました。ただし、その中身を見ると興味深い傾向が見えてきます。中小企業では、収益が増えた分を人件費にまわす動きが見られ、従業員への分配(労働分配率)は維持されています。一方、大企業では収益の伸びに比べて人件費の伸びが小さく、従業員への分配が徐々に低下している状況です。

企業のお金の使い方に変化あり

では、企業が稼いだお金はどこへ向かっているのでしょうか?

ここから先は

1,925字 / 7画像 / 1ファイル
SNSではあまり出回らない情報を手に入れるチャンスです!「プレゼン形式のまとめ」など。振り返りに最適な内容も用意しています!

国の公表している「読みにくくて難しい資料」を分かりやすく解説。月20以上更新される記事が読み放題になります。ニュースや新聞で満足できない人…

いただいたチップは日本の「研究最前線」を製作するために使わせていただきます🙇‍♂️