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脳の「若返り」に腸内細菌が関係していた! 気になる研究の最新報告

この記事は「腸内菌が脳に果たす新たな役割を発見――腸内菌は脳で新しく生まれる神経細胞を正常に発達させるキープレイヤー――」をより多くの方に知っていただくため、専門的な内容をできるだけ身近な言葉で説明しています。正しい内容が知りたい方は、元のプレスリリースをチェックしてくださいね。

挿入画像の出典:同ページ

みなさんは、大人の脳でも新しい神経細胞が作られていることをご存知でしょうか?特に記憶や感情を司る「海馬」という部分では、新しい神経細胞が日々生まれています。最近の研究で、この「神経細胞の新生」に、なんと腸内細菌が深く関わっているということが分かってきました。

意外な発見の物語

研究チームは、腸内細菌が全くいない特殊なマウスを調べていて、とても興味深い現象を発見しました。このマウスの脳では、新しい神経細胞は作られるものの、それが大人の神経細胞として成長できない状態で止まってしまうのです。まるで、成長期の子どもが急に成長を止めてしまったような状態です。

でも、そこに3種類の「善玉菌」を与えると、驚くべき変化が起こりました。止まっていた神経細胞が成長を始め、新しい神経細胞も次々と作られるようになったのです。

なぜこんなことが起きるの?

研究チームが血液を調べてみると、3種の善玉菌を与えたマウスの血液中に、テアニンやアンセリンという物質が増えていることが分かりました。これらの物質は、脳に届いて神経細胞の成長を助けているようです。

テアニンはお茶に含まれる成分として知られていますが、今回の研究では、善玉菌がこの物質を作り出していることが判明。また、アンセリンという物質も神経細胞の成長を促すことが分かりました。

この発見は私たちの生活に何をもたらすの?

この研究結果は、私たちの日常生活にも関係があります。例えば、食事の重要性を改めて教えてくれています。腸内環境を整えることは、お腹の調子を良くするだけでなく、実は脳の健康にも良い影響を与える可能性があるのです。

ただし、これはまだマウスでの実験結果であり、人間でも同じ効果があるかどうかは、さらなる研究が必要です。また、特定の善玉菌を摂取すれば必ず効果があるというわけでもありません。

これから期待されること

研究チームは、この発見が将来的には記憶力の改善や心の健康にも役立つ可能性があると考えています。私たちの体の中で、腸と脳がどのように会話をしているのか、その不思議な関係がだんだん明らかになってきているのです。

日々の食生活を通じて腸内環境を整えることの大切さが、科学的な視点からも裏付けられた形です。バランスの良い食事を心がけ、腸内細菌と仲良く付き合っていくことが、脳の健康にもつながるかもしれませんね。

これからの研究でさらにどんな発見があるのか、とても楽しみな分野です

その疑問にQ&Aでお答えします!

腸内細菌はどうやって脳に影響を与えているの?

これまで腸と脳は別々の器官として考えられてきましたが、実は血液を通じて密接につながっていることが分かってきました。今回の研究では、善玉菌のProB3が腸の中で特別な物質を作り出していることが判明しています。

特に注目されたのが、テアニンとアンセリンという物質です。テアニンはお茶の成分としても知られていますが、ProB3の善玉菌もこの物質を作り出すことができます。また、アンセリンという物質も神経細胞の成長を助ける働きがあることが分かりました。

これらの物質は血液を通じて脳まで運ばれ、特に海馬という部分に届きます。海馬では新しい神経細胞が日々作られていますが、これらの物質がその成長を手助けしているのです。まるで、腸内細菌が遠く離れた脳に、血液という郵便を使って成長のための栄養を届けているようなものです。

なぜ無菌マウスの脳で神経細胞の成長が止まってしまうの?

無菌マウスの脳では、とても不思議な現象が起きていました。新しい神経細胞は作られるのですが、それが成熟した神経細胞になれないのです。これは、ちょうど植物の苗が途中で成長を止めてしまうような状態です。

研究チームが詳しく調べてみると、無菌マウスの血液中には神経細胞の成長に必要な物質が不足していることが分かりました。これは腸内細菌がいないため、テアニンやアンセリンといった成長を促す物質が作られていないからです。

ところが、ProB3という3種類の善玉菌を与えると、驚くべき変化が起こりました。血液中に必要な物質が増え、止まっていた神経細胞の成長が再び始まったのです。これは、まるで植物の苗に適切な栄養を与えたら、再び成長を始めたようなものです。

この研究成果は将来どんな医療応用が期待できるの?

この研究の成果は、様々な可能性を秘めています。例えば、記憶力の低下や気分の落ち込みなどの症状に、腸内環境を整えるというアプローチで対応できるかもしれません。特に注目されているのが、統合失調症の患者さんへの応用です。実際、ProB3を構成する善玉菌には、統合失調症の症状を改善する可能性があることが報告されています。

また、加齢とともに減少する神経新生を促進する新しい方法としても期待されています。これまでの研究で、年を取ると海馬での神経新生が減少することが分かっていますが、腸内環境を整えることで、この減少を緩やかにできる可能性があります。

ただし、これはまだマウスでの実験結果であり、人での効果を確認するにはさらなる研究が必要です。また、単に善玉菌を摂取すれば良いというわけではなく、それぞれの人に合った適切な方法を見つけていく必要があります。現在、研究チームは人での臨床研究を計画しており、より詳しい効果や安全性の確認を進めています。

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研究員N氏
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