被爆70年 /2016/ 原爆ドーム・産業奨励館カラー3Dモデル
2016年2月、原爆ドームのスキャンデータを3Dプリンタブルデータに加工し、試作3Dプリントに成功した。
2015年に制作した3Dデータは、産業奨励館のモデルの壁を削って原爆ドームを作成したが、3Dプリントが成り立たせるためにそれぞれの壁をかなり厚くする必要があった。一方、スキャンデータから制作した3Dモデルは実縮尺の薄い壁のままで3Dプリントが成立した。さらに、プラスチックの積層による3Dプリントの窓穴等のプリントは補強を入れても難しく、2015年に制作したモデルは窓枠を刻印しているだけで窓は閉じた状態ではじめてプリントが成り立っていた。
一方、スキャンデータから制作した3Dプリントデータは一切の補強なしに窓穴があいた状態で3Dプリントが成立した。原爆ドームはその真上で原爆が爆発した産業奨励館の残骸であるが、原爆の熱線や爆風に耐え残った壁の集まりという見方もできる。原爆の爆発に耐え残った壁をスキャンしたデータば壁を厚くする等の補強なしに、その3Dデータからあたりまえのように(積層)3Dプリントが成立するのは自然の摂理と言うべきであろう。
2016年5月、スキャンによる原爆ドームと産業奨励館の3Dモデルのカラー化の作業を開始した。原爆ドームのカラー化は、スキャンから得られたカラー点群画像や写真から壁ごとにテクスチャー画像を作成し、それぞれの壁に貼り付けるという作業を行った。
産業奨励館についてはカラー写真が残っていないため画像に関する資料を収集し、銅製の屋根は緑青色、壁はコンクリート色とした。一旦、小型のカラーモデルを3Dプリント(カラー石膏)し、テレビ新広島報道部にサポートしてもらい被爆者の森富茂雄さんにプリントモデルを確認してもらい、最終的な色修正をしていただいた。
被爆71年目の2016年8月6日原爆の日、エディオンスタジアム(当時)でピースマッチとして開催されたサンフレッチェ広島のホームゲーム(名古屋グランパス戦)に安田女子大学のブースを出展し、完成した3Dプリントモデルと、日本文学科川岸ゼミの学生が作成したオバマ大統領(当時)の広島メッセージの訳詩の展示を行った。