お客さんにご自身でお茶を淹れていただく意味

こんにちは。名古屋で伊勢茶カフェの店長をしています、松本壮真です。

今日は『なぜ深緑茶房ではお客様ご自身に急須でお茶を淹れていただくのか』という話をしたいと思います。

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深緑茶房では急須のお茶に関しては、僕たちが説明をしながら一緒に淹れていただきます

日本茶カフェも色々あります。
お店のスタッフが淹れたお茶を提供する日本茶カフェ、急須セットに紙を添えて自分で淹れてもらう日本茶カフェ、そして深緑茶房のようにお客様に説明をしながら一緒に淹れてもらう日本茶カフェ。

色んな方法が考えられましたが、僕は「一緒に淹れていただく」という方法を取ることにしました。今回はそのお話をしたいと思います。

珈琲はカッコいい?

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何かの記事で読んだ事があります。
「なぜ日本茶は地位が低いのか」みたいな話で、コーヒーの世界ではバリスタが「憧れの対象」としてカッコよくコーヒーを淹れているのに対して、日本茶はお客様に淹れてもらったり、裏で淹れて提供する事が多く「気軽というイメージ」を与える、または「カッコいいとは思えない」のでは?
というものがありました。

確かにそれはそうかもなぁ、と思う一方、個人的にはどこか引っかかる部分はありました。

実際、東京の日本茶カフェではお店のスタッフが淹れてお客様に飲んでいただくスタイルが多いように思います。

説明をして一緒に淹れてもらうことのデメリット?

深緑茶房 名古屋では、リニューアル前からずーっとスタッフが説明しながらお客様に一緒に淹れていただいています。僕はこれはこれでスゴく良いスタイルだと思っています。
確かに、一見短期的な視点&経理的な目で見ればマイナス面はあります。

①人件費がめちゃくちゃかかる
②プロが淹れた方が美味しい(かもしれない)

①人件費がかかる?

一組一組のお客様に説明をする必要があるので、非常に人件費がかかります。『接客』『キッチン(?)』『レジ』『物販』などの業務に、『説明』が入る(しかも一組あたりの時間が長い)となると想像していただくよりもコストが大きいかもしれません。

席数から考えてレジ対応のみであればスタッフ1人でような日でも、説明をするだけで2人は必要になります。3人でよいような日も4人は必要になります。

カフェチェーンのように、レジで注文をもらってレジでお渡しする方が人件費を削減できます。

レジで注文を受けて『急須のセット』&『淹れ方の紙』をお渡しすれば深緑茶房 名古屋でもこのスタイルは出来ると思います。

また、そもそもカフェ経営というのは「人件費率をいかに削るかが大事」なんて言われたりします。そう考える人にとっては、僕たちがやっている事はめちゃくちゃ非合理的に見えるかもしれません。

②プロが淹れた方が美味しい?

確かに「プロが淹れた方が美味しい」かもしれません。
『この道何十年』みたいな方が淹れた方が目にも美味しく映るし、実際美味しいかもしれません。

でも僕にはもっと大事にしたいものがあります。

もちろん味は大事です。美味しく飲んでもらう事が前提です。

そのための工夫は最大限します。茶器を選んで、お湯の温度や茶葉の量を計って、沸騰させたお湯を使って、お客様への淹れ方の説明も丁寧に行い(言葉ってなかなか100%は伝わりづらいので)一緒に淹れていただきます。

味はどうでもいいという話ではなく、味を追求した上でさらに大事にしたいものがあるという話です。

一緒に淹れていただく事で大事にしたいこと

人件費を削減する事よりも、その瞬間に美味しいお茶を飲んでもらう事よりも、大事にしたいものがあります。
それは「嗜む人を増やすこと」、そして「お客さんの『楽しい』という体験を奪わないこと」

嗜む人を増やすこと

たとえ余分に人件費がかかっても、お茶を嗜み楽しむ人が増えればいいなぁって思います。
そのためには美味しいお茶を出すだけでは足りないと思っていて、その方法の1つとして「お客様に自分でお茶を淹れてもらって、淹れてもらいながらお話をする」事だと思っています。

みなさまの身近な飲み物の中に美味しいお茶があればいいなと思っていて。
そしてその中に深緑茶房のお茶があれば嬉しいなと思っています。
珈琲を飲みたい時には珈琲を、紅茶が飲みたい時には紅茶を、ジュースが飲みたい時にはジュースを、美味しいお茶が飲みたい時には美味しいお茶を。

お茶だけを飲んでもらいたいってわけではなくて、色んな選択肢のある毎日に「お茶を飲む」という選択肢があればいいなと思っています。

お客さんの『楽しい』という体験を奪わないこと

お茶を淹れるって楽しいです。
お湯を入れて、蓋をして時間が経つのを待って、注ぐ。

文字にすると作業的に見えてしまいますが、淹れることを続けてみると小さな変化が楽しくなります。

昨日淹れたお茶と同じ茶葉なのに味が違ったり、「今日のお茶は美味しく淹れられた!」なんて思えたり。
お友達が淹れたお茶を飲んだり、自分が淹れたお茶を飲んでもらったり。
そういう体験を、僕たちが奪ってはいけないなと思っています。

まとめ

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もちろん、お店側が淹れてお客様に提供するスタンスを否定するつもりは全くありません。深緑茶房が出来る事として、一緒に淹れていただくのがより良いと考えたという事です。

憧れられたいわけでもなく、特別なものだという演出をしたいわけでもありません。

以前の記事でも書きましたが、「お茶の楽しさを伝えたい」というのが深緑茶房 名古屋の大事にしている価値観です。

会話をしながら淹れていただく事で、お客様との距離が近くなり、お茶のことを何でも聞いてもらえるようになれば理想だなぁと思っています。

まだまだ一方的な説明になってしまったり、『あーあのお客様にはこれを説明すればよかった』と思う事は多々あり、模索中ではありますが、これからもお客様に説明をしながら一緒に淹れていただくというスタンスは続けていきたいと思います。

今週はこれまで!
ではまた来週!

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