大事なものはめんどくさい

こんにちは。名古屋で伊勢茶カフェの店長をしています、松本壮真です。

ある時ふと、『大事なことってめんどくさいなぁ』と思った事がありました。


「めんどくさい」と科学

社会は「めんどくさい」で溢れてます。
「めんどくさい」を探し始めればいくらでも見つかります。

科学の進化は「めんどくさい」との戦いだと言っても過言ではないくらい、めんどくさいを解消し続けてきました。


掃除機ができて、洗濯機ができて、車ができて、最近では色んなものが自動化されてきて。
人が幸せになるために、負担を減らすように、科学は発展してきました。


…………………と、今日は科学ってすごいねって話をしたいわけではなくて、科学を否定したいわけでもありません。
苦労はした方がいいとか、エクセルの表計算ではなく電卓で計算すべきだとか、昔みたいにせっせと雑巾掛けをして現代のありがたみを感じた方がいいとか、そんな話では全くなくて。

実は今日話したかったのは、「なぜ急須で淹れてもらうのかパート2」です。
※「パート1」はこちら

お客様にご自身でお茶を淹れていただく意味 パート2

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深緑茶房ではお客様に急須で淹れていただきます。
これって「めんどくさい」か「ラク」かのどっちかで言えば「めんどくさい」と思います。
すでにお茶を淹れた状態で提供された方が飲むだけでいいから「ラク」です。
長々と説明を聞かなくていいし、お茶のウンチクも聞かなくていいし、ただ出されたお茶を飲むだけでOKな方が「ラク」だと思いますし、日本茶・珈琲関係なく、そういう形態のお店がほとんどだと思います。

慣れない急須の説明を聞いて、そもそも急須を見るのも初めて、「ユノミって何?」というお客様もいて。
でも、そんな「めんどくさい」を『楽しい』と思ってくださるお客様がいます。それは本当に年齢問わず、高校生から70代以上のお客様まで。
色んなお客様が来てくださって、そのめんどくさいを『楽しかった』と言ってお帰りいただけると嬉しくなります。

なるべく「めんどくさい」を排除していく生活の中で、それでも「めんどくさい」事には価値がある部分もある気がしていて。
ピっとボタンを1つ押せばお茶が出てくる機械があって、蓋を開けるだけで飲めるペットボトルのお茶があって、それでもなお「めんどくさい」に価値を感じていただけるカフェでありたいなと思います


追伸
実はこの「大事なものはめんどくさい」という言葉は宮崎駿さんも仰っていたそうです。

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僕はそんなにジブリ映画を観る方ではないのですが、『千と千尋の神隠し』を観ていて感動した事がありました。
(何年も前の話なので記憶が曖昧ですが…)物語の終盤で「千尋が列車に乗るシーン」でした。

千尋は列車に乗る時に、「列車のドアを一旦通り過ぎてしまって、ドアのところまで戻って列車に乗る」というシーンがありました(めちゃくちゃ分かりづらいですね、すいません笑)。

これってすごく無駄な動きだと思うんです。
物語の終盤で時間も限られている中で、そのシーンが何か物語に関係するわけでもなく、笑いが生まれるわけでもなく。
そこで千尋がドアを一旦通り過ぎて戻ってから乗ろうが、そのままドアからスムーズに列車に乗ろうが、物語には大した影響はないはずなんです。

でも僕はここに感動しました。
この千尋の動きを1つ入れる事によって「人間味」みたいなものを感じる事ができたからです。
ジブリのすごい所は「無駄が多いところ」だと思っていて、決して伏線でも何でもないシーンがたくさんあるところだと思います。
ジブリが世界中で人気な理由の1つはそこにあるのかなとも思っています。

「めんどくさい」とか「無駄」とかってきっと何でも排除すればいいわけではなくて、必要な「めんどくさい」とか「無駄」があって、「お茶を淹れる」という行為も必要な「無駄」や「めんどくさい」と思ってもらえるといいなぁと思います。
※「お茶を淹れる」という行為によって集中力が増す、という論文がありますが、そういう機能性とはまた違う部分で影響を与えていきたいなぁと思っています。

今日はここまで!
最後まで読んでいただいてありがとうございます!

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