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株式会社T-BOXの代表,伊勢茶専門店mirume店主の松本そうまです。

全く新しい日本茶のテイクアウトサービスを開始し、TBS『がっちりマンデー!!』【儲かる!お茶ビジネス】に出演。
新しい取り組みやプロダクトが業界の話題になることも多い、伊勢茶専門店『mirume』の店主・松本壮真。

株式会社T-BOXの代表として異色の取り組みを行う彼は、今まで何をし、現在何を考え、どこへ向かうのか?そして、理念として掲げる「Cha-novative」に込めた想いとは?

インタビュー形式でまとめました。

出典:
『がっちりマンデー!!』儲かる!お茶ビジネス

家業を継ぐまで

T-BOX代表の松本さん

――まず、茶業に関わるきっかけについて教えてください。

もともと茶農家の3代目として生まれたのですが、28歳までは飲食業や営業職、キッチンカーの運営など全く違う仕事をしていました。2年間農業経営の学校に通った後に、30歳から現場でお茶に携わっています。

――もともと茶業をされていたわけではなかったのですね

大学生の頃から『何か自分で事業を始めてみたい』と思っていました。後継者の方には分かってもらえるかもしれないですが、『敷かれたレールを歩きたくない』という反抗期があったんです(笑)
あるきっかけもあり、28歳の時に家業を継ぐことを決めました

――その『きっかけ』を聞いてもよろしいですか?

『きっかけ』は親族の葬儀でした。実家のある町では、今でも故人の家に祭壇を組んで葬儀を行います。その葬儀の準備は地域住民が集まってするのですが、その準備のリーダーは80代の年配者。50代や40代の方もいましたが、誰も準備について把握していませんでした。
そんな状況を見て、『あぁ、こうやって“まち”は終わっていくんだな』と感じました。人口が減っているだけでなく、文化が継承されないことで“まち”というものが無くなってしまうように感じ、その瞬間に『継ごう』と決意しました。
それから農業経営の学校に通い、家業の会社に入りました。

家業を継いでから独立するまで

――『地域を残したい』との思いから家業を継がれたのですね。家業に入られてから、名古屋のカフェで大きな改革に携わったと伺っています。具体的にどういったことをされたのですか?

2020年3月から名古屋カフェの店長として働き始めました。赴任した当時は『抹茶パフェ』や『抹茶ラテ』を提供していたのですが、僕が店長になってから3ヶ月でそれら全てをメニューから無くしました(笑)
長期的に考えた場合に、僕たちはお茶農家なので、パフェやラテでの差別化は難しいと感じました。そして何より、60歳以上が消費の50%を以上を占めるお茶業界を考えると、『お茶農家である私たちがパフェやラテを売っている場合ではない』という使命感が強かったのを覚えています。
ただ当時お茶のスイーツが売上の8割を占めていたので、『これを捨てるのは難しいチャレンジになるだろうな』という思いはありました(笑)


リニューアル前①
リニューアル前②


リニューアル後①
※ラテやパフェをメニューから削除
リニューアル後②
※ラテやパフェをメニューから削除


リニューアル前


リニューアル後①
リニューアル後②


――売上の8割を占めていた商品を辞めたんですか!?(笑) もしよければ、そこに至る思いをもう少し詳しく聞かせてもらえませんか?

お茶業界は60歳以上が茶葉消費の約6割を占める業界です。そして消費量は綺麗に年齢に比例しています。つまり、若い人ほどお茶を飲まない傾向にあり、雑な計算ですが、20年後にはお茶の消費量が半分以下になることを示しています。お茶農家として、こうしたお茶業界の衰退に歯止めをかけたいと思っていました。そのために、まだ当時は珍しかった【ラテやスイーツを全く取り扱わない日本茶の専門店】へとリニューアルしました。

――メニューをそれほど大胆に変更するにあたって、反対の声はなかったのですか?

正直ありました。
社内で「ソフトクリームだけでも残した方がいいんじゃないか」という声もありましたし、お客様からも「なんでパフェをやめたんですか」というお声は多かったです。
そのためリニューアルしてから4ヶ月ほど、入口で、ご来店のお客様全員に「メニューが変わったこと」を写真付きでお伝えし、「新メニューでOK」のお客様だけをお席にご案内していました。

――来店客全員ですか!? それはすごく労力が掛かりそうですね。どうしてそのようなことをされていたのですか?

理由は3つあります。
1つは、シンプルに「お客様とのミスマッチを減らしたい」と思いました。パフェやラテを楽しみに来られて、急須のお茶しかないとガッカリされるかな、と。席に座ってからメニューが変わったことに気づいても帰りづらいと思い、入店後、お席に案内する前に入口で皆さま一人ひとりにお伝えをしていました。

2つめは、「当店はお客様に誠実に対応する」というメッセージをお客様にも、そしてスタッフにも浸透させるためです。席に座ってしまえば、思っていたメニューとは違ったとしても帰りづらくて注文してくれるかもしれません。そうすれば一時的に売上は上がります。しかし当然そのお客様は良い気はしないし、スタッフも気分の良いものではないありません。そうして得た売上よりも、お客様やスタッフにネガティブな感情を抱いてほしくないと思いました。

3つめは、「気持ちを新たに、地道に1つ1つ積み重ねていく」という気持ちになってもらうためでした。それまでのカフェも土日は行列になるほどの人気店でした。だからこそ、リニューアルには驚かれたお客様も多かったと思います。そうした新しいチャレンジの中で、『一人ひとりのお客様を大事にする』ということを、言葉ではなく実体験としてスタッフに感じてほしいと思いました。


最後に


――株式会社T-BOXの代表である松本さん。家業から独立したきっかけにはどういったことがありましたか?

2020年から『新型コロナウィルス』が日本でも猛威をふるいましたが、父の会社でもモロにその影響を受けました。当時は名古屋駅前に店舗があったのですが、感染が広がり緊急事態宣言が発令され、駅前からは人がいなくなり、来店客も激減し、店舗撤退が決まりました。そのまま父の会社に残り、お茶の生産に従事することも考えたのですが、常連のお客様のこと、そして働いてくれているスタッフのこと、そして長期的に観た場合に会社にとって何が最も意味があるのかを考え、独立して名古屋での事業を継続することに決めました。


駅前時代の店舗(2020.04.04)
人で溢れていた駅前も閑散(2020.04.04)


――最後に、mirumeなってからのことを教えてください(2023年5月時点)

『正しいよりも、楽しさを』をコンセプトに、名古屋市西区に伊勢茶専門店『mirume(読み方:みるめ)』をオープンしました(2021年5月)。
取り扱うお茶は、2006年に天皇杯を受賞し、伊勢志摩サミットにも提供した実家の伊勢茶
mirumeカフェの最大の特徴は、お茶に触れたことがない20代のお客様がたくさん訪れること。そんなお客様が急須で自らお茶を淹れる光景は、他のどの日本茶専門店にもないものです。
次に『朝ボトル』というサービスは、『日経クロストレンド』、TBS『がっちりマンデー!!』にも取り上げられ、全く新しい日本茶のスタイルとして注目していただきました。
1階の広いお買い物スペースでは、ゆっくりと試飲していただきながら、お茶に詳しいスタッフや日本茶インストラクターである私が、お買い物のお手伝いをさせていただきます。

『Cha-novative Cafe & Store』を掲げるmirumeは、これからも本格的な伊勢茶を取り扱いつつ新しい日本茶のスタイル提供し続けます。

Media 掲載実績


――ありがとうございます。新しい取り組みを続けるT-BOX & mirumeですが、今後はnoteでどういった情報を配信するのでしょうか?

今後は、T-BOXのビジネスモデル、実際の取り組みの裏側、マーケティング、スタッフへの2000文字日報などなど、切れば血が噴き出るような生々しい実体験を通した経験談を配信していきます!!
今後ともよろしくお願いいたします。


mirume店舗外観
mirume店舗内観(1階お買い物スペース)
店舗内観(2階カフェスペース)
『朝ボトル』
カフェメニュー例
mirume店舗外観(夜)

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